第35話:厄神様はかく見送り
まえがきに何を書けばいいのかわからない。
というまえがきはいかがでしょうか?
実は今日、極めて個人的な理由で打ち切りの危機だったのです。
その危機を無事乗り越え、これからも暫くは続けられるようで、読者の皆様にももう少しお付き合いしていただきたく………
あ、まえがきが長い。そうですね。
では第35話です。どうぞー!
「おっはよー!」
「おはよう」
「おはようございます」
「お、おはようございます!」
「…………」
「貴様らには言っておらーん!!」
「きゃあーーー!?」
「わらわはなにも言っておらぬーーー!!」
「アメリカでは台風に女の名前を付けるんだっけ……」
母さんが来て3日目の月曜日。いつも以上に騒々しい朝を迎えることとなった。
「直樹、あんた随分元気ないわね」
「母さんが帰って来てな」
「ああ……なるほど……」
「なに!? 狭山の母上が!?」
「お前も気をつけろよ。いつ気が変わって襲いに行くかわからん」
俺と藤阪、碧海にとってはもはや天災に近い存在となった母さん。一応自分を倒した奴はもう襲わないそうだが、いつその宣言が破棄されてもおかしくない。
「……もしや、小夜もやられたのか」
「はい……」
藤阪が去った後、碧海が厄病神に尋ねる。ちなみに玉藻もやられたぞ。
「……もういやなのじゃ……もう逆えびもこぶらついすともいやなのじゃ……」
「……大変だったようだな……」
今日の朝になって家にはいたくないと泣き付いてきたからやむなく連れて来た。
一方で母さんは死神とはかなりの友好関係を築き上げているようで、朝も熱心に話しかけていた。
「中々面白い人だ。お前の親だと実感出来る部分もあるな」
意味が分からん。母さんから譲り受けている部分などないと思うんだがな。
「おうおう、どうした狭山。顔が暗いなー」
「母さんが帰って来てな」
「おば……若菜さんが? ああ、お前が事故ったからか」
「そういうことだ」
母さんは俺の友達などに『おばさん』と呼ばれることを激しく嫌う。よって名前で呼ぶことを強制しているのだ。
「まあ実際めちゃくちゃ若いもんな」
この歳になって親の若さを誉められても嬉しくないぞ。相変わらず自然災害みたいな性格だしな。
「でもよ、俺の姉貴よりマシだって……」
「……そうかもな……」
「お前ら、もう授業始まるぞ」
「直樹さん、放課後ですよ」
「わかってる。……っと、メールだ」
確認画面を開く。
「『今日は部活休んで帰って来てね♪』……。『何故だ』、と……」
数秒後、再び着信。
『退屈だから♪』
「『帰れ』」
「な、直樹さん、いいんですか……?」
問題ない。どうせ暇ならビデオでも借りに行くだろ。
「さ、部活だ。藤阪、行くぞ」
「はいはい」
おや珍しい。まともな返事が返ってきた。
「あら、今日はあまり遅くならないで来たのね」
藤阪の協力のお陰でな。
「そう。これからもそうしてくれるとありがたいわね」
「あんたのためにやってるわけじゃないからね。残念ながら保障はできないの」
「ほら、訳わからん口論してないで行くぞ」
藤阪を連れて隣の空き教室へ。
「あ、センパイ、早いですねー」
なんだ。俺は普段そんなに遅く来ているのか。
「そういえばセンパイ、ビンゴ大会の賞品のことなんですけどー」
「……何の話かな?」
「とぼけないで下さいねー。すっぽかしたらあのエピソードを部活の連絡網で流しますから」
悪魔め。
「そういえばあたしもいつにするか考えてなかったわね。満月、あんたはいつにするの?」
「そうですねー。いっそのこと三途川センパイの温泉優待券で一緒に連れて行ってもらうというのもありだったんですけどー」
それは流石にない。日常生活の範囲内にしてくれ。
「ですよねー。なので、今度の日曜日にでもお願いしようと思うんですけどー」
「そうだな。まあその日なら今のところ予定もないな」
「それじゃあたしは来週の日曜ね。覚えておきなさいよ」
お前が忘れたら絶対に思い出させないようにするから大丈夫だ。
「やあやあ直樹氏! 君の母君が来ているそうではないか!」
でたな馬鹿神。どこから聞いたそんな情報。
「僕はなんでもお見通しさ! ではひとつ直樹氏の友人代表として挨拶に行こうか!」
「やめとけ。ろくな結果にならん」
「まさかの三角関係ですか」
「……神楽、市原が変な言葉を言わないようにきちんと教育しておけ」
「……そ、それは僕にも無理だね……」
「お褒めに預かり光栄です」
「褒めとらんわ!」
「それじゃ、帰るか」
「は、はい……玉藻さん、今から帰るみたいです」
「も、もうちょっとここにおらぬか?」
無駄な抵抗はよせ。どうせ家にはいるのだ。
「お母さん、いつごろお帰りになられるのですか?」
「……聞いてないな」
「なんじゃと!? そんなことも知らぬのか!?」
お前は黙ってろ。
「あらなおちゃん、ギリギリセーフね」
家に帰ると、丁度母さんが荷物をまとめ終えたところだった。
「なんだ、もう行くのか」
「ほんとはもう少し早く帰らなきゃいけなかったんだけどねー。居心地がいいから暫く居させてもらっちゃった♪」
「居させてもらっちゃった♪」じゃないだろ。仕事は真面目にやれ。
「だいじょーぶだいじょーぶ。わたしがいてもいなくても変わんないって!」
それもどうかと思うぞ。
「それにしたって、今日帰るなら今日帰るって教えてくれれば準備も出来たものを」
「いーのよ。黄泉くんといろいろお話したから。そっちの娘ふたりにもお話したいことはあるんだけどね」
「え、え!?」
「わ、わらわにはない!!」
……情けなくなってくるな。
「ま、そういうことだから、わたしは帰るわねー」
なんなんだ。
「母君、もう帰られるのか」
リビングに死神が現れた。
「うん、じゃあねー黄泉君。これからもなおちゃんをよろしくー」
よろしくされても困るぞ。
母さんは荷物を持つと玄関まで運んでいき、靴を履いたところでもう一度だけ振り返った。
「それじゃ、なおちゃん、またしばらく帰って来れないけど、泣かないでね?」
安心しろ。今すぐ神の前で誓える。あんな神は信じちゃいないが。
「そ、それではお母さん、お気を付け――」
「貴様にお母さん呼ばわりされる筋合いはなぁーい!!」
「きゃあぁーーー!?」
無駄な努力を。
「……さ、馬鹿なことやってる暇はないわ」
自分でも馬鹿だと自覚はしていたのか。
「それじゃ、黄泉君、小夜ちゃん、玉藻ちゃん。こんな息子だけど、これからもよろしくね♪」
「え……」
「む……?」
「それじゃ、あでゅーーー!」
母さんはそのままダッシュで行ってしまった。
「な、名前で……」
「始めてじゃの……」
「あの人はやはりお前の母親だな」
……やっばりただの馬鹿だろ。
たとえには、いちばんふさわしいことばを見つけよう。
と、今日テレビで言っていました。
目からゴボウです。
嘘でした、目からウロコです。
果たしてこの作品は正しい日本語で書けているのでしょうか?
そういえば、今日は少し短めでした。
これでも長いのでしょうか?
それとも普段から短いのでしょうか?
皆様の感想をお聞かせ下さい。
と、感想の募集に見境がなくなってきたところで次回は碧海さんとのお食事会です。




