第24話:厄神様はかく賄い
目下試験中のため過ごせりの方はちょっとお休みさせていただきます。すみません。
まあ本来毎日更新する暇ない筈なんですけどね……。
では第24話です。
「直樹さん! わたしに料理を作らせて下さい!」
「……は?」
……ゴールデンウィークも残り2日の今日この頃。我が家の台所はまたしてもテロリズムの脅威にさらされているようである。
「……どうして失敗してしまうんでしょうか……?」
「材料を片手で切るな。熱した油に水を入れるな。卵をマイクロ波で加熱するな」
どうやら市原家での美食体験がこいつの料理熱を呼び醒ましたようで、取り敢えず家庭科の最初にやるような初級料理をやらせてみたのだが、まあ料理以前の問題である。
「なんじゃ今の爆発音は。またてれびか?」
玉藻がひょっこり顔を出してきた。テレビが大層気に入ったようで、電気代など知ったこっちゃないと言わんばかりに見ている。目が悪くなるだろ。
「うるさい。わらわが何をしようと勝手であろう」
そういうわけにいくか。お子様は大人しく言うことに従ってろ。
「だ、誰がお子様か!? こら、答えろ!!」
ぎゃーぎゃー騒ぎ立てるタダ飯食らいを放って台所の片付けに入る。厄病神、お前も手伝え。
「騒がしいな。何事だ」
元祖タダ飯食らいが現れた。
「確かにこの家は手料理と言えるものが出ないな」
「やはりこのままでは体によくありません……」
「どっちでもよいではないか。あるものを食べた方が楽じゃ」
台所を片付け終わると、いつの間にか食卓事情について真剣に会議が開かれていた。
「居候どもが人の食事に口出しするな。大体誰も料理出来ないんだから仕方がないだろ」
「ですので、わたしが料理を覚えようと思います!」
「…………」
「…………」
「…………」
「ど、どうして皆さん黙ってしまうんですか!?」
いやまあ、無理だ。俺の家の台所は何度も爆撃に耐える防御力は持っていない。
「つ、作り方を知らなかっただけです! 作り方さえ覚えればきっと大丈夫です!」
全く保障がない上に威張れることでもないということに気付いているのだろうか。
「それならば――」
「玉藻さん、これなんてどうでしょう?」
「おお、いいの。うまそうじゃ」
「これはどうだ」
「そんな怪しげな民族料理食いたくないんだが」
俺達は今駅前の本屋に来ている。初心者向けの料理本を探すためだ。
厄病神と死神はステルスモード、玉藻は耳を隠すことすら出来ないらしいので俺の私服に帽子を被った何とかボーイッシュと言えなくもない格好でカモフラージュしている。
「お前、小学生の男の子みたいだな」
「うるさい! お主がこんなおかしなモノを着せるからであろう!? 大体わらわが着ていた服はどうした!?」
あんな平安貴族な着物は封印する。
「そもそも他の人にはお前みたいなおかしな奴と2人に見えるんだ。そんなとこ見られたら――」
「――困りますね〜」
……そう、困るんだよ。
「だから今すぐ回れ右して帰れ、辻」
きっといい笑顔に違いないと思って振り向けば、案の定太陽のような眩しさと目があった。
「いや〜、センパイとこんなところで会うとは、今日の占い外れたみたいですね〜」
まあ分かりきってはいるが訊いてやろう。運勢は。
「大吉でした!」
殴った。
「うぁ〜、やっぱり外れた〜」
黙れ。占いなんて非科学的なことを信じるな。
「まあセンパイが実は意外と風水を気にするタイプなのはおいときまして」
……何故それを。
「後ろでちっこくなってる男の子みたいな女の人は誰ですか?」
後ろを見ると、俺の背中に引っ付いて離れない小動物がいた。
「おい、何やってるんだお前。お前の好きな人間だぞ」
「わ、わらわに話しかけるな!」
なんだこいつ。
「ふむふむ、センパイとその人はどういったご関係で?」
「田舎から来た従姉妹だ。ゴールデンウィークの間預かるよう頼まれた」
「そうなんですか?」
馬鹿、玉藻に振るな、絶対に嘘つけないだろ。
「ち、近付くな悪人!!」
「…………」
……なんですと?
「さすがはセンパイの従姉妹さんですね〜。年不相応な生意気っぷりなんてそっくりです」
「い、いひゃいいひゃい! ほほをひっはるは!」
おい、顔は笑ってるが目がマジだぞ。
「それにしてもセンパイがこんなコーナーにいるなんて珍しいですね。どうしたんですか?」
「ちょっと料理をと思ってな………」
厄病神と死神はどうしたかと探してみれば、こちらに気を配りながらまだ料理本を物色しているようである。まあ今来られても話すに話せないからな。
「なんか意外ですね〜。センパイっていかにも『よし、今日はインスタント麺にキャベツ入れたから健康的だー』とか馬鹿丸出しの発言してそうなイメージがあるんですけど」
……お前、それは色んな人に喧嘩売ってるぞ。
「お前こそこんな所で何やってるんだ。マンガはあっちだぞ」
「私も料理本を買いに来たんですよ〜」
……そっちの方が意外なんだが。
「私、こう見えても料理は好きなんですよ〜。お弁当も自作ですし」
知らんかった。そんな特技があったとは。
「それじゃあ初心者でもできる料理なんて知ってるか?」
「う〜ん……まあセンパイのレベルでも辛うじて何とかなるのはこの辺ですかねー」
辻はずらりと並んだ本の中から2、3冊をほいと選ぶと俺の手に乗せていった。
「ま、わからないことがあったら言ってください。この辻がやさしーく指導してあげましょう!」
どうしようもなくなった時だけ頼むとしよう。
「どうでしょう!?」
「む……」
「普通じゃ……」
「驚いたな」
家に帰って早速厄病神に作らせてみると、意外や意外、まともな料理が出てきた。
「わたしだって、やればできるんです!」
「まあ時間以外は評価してもいいな」
家に帰ったのが夕方5時、そこから料理を始めて出来たのが9時。かかりすぎだ。
「時間は慣れれば短縮できる。結果は上々だろう」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
「辻に感謝しろよ。簡単なの選んでくれたみたいだから」
「あの辻とかいうの、体から黒い気が出ていたのじゃが意外といい奴だったのう」
……流石野生の勘。
なんにしても我が家の食事もこれで一安心といったところである。他の2人も見習って欲しいものだ。
「ちなみに言っておくと俺は始めから料理が出来たぞ」
……じゃあ早く言えよ。
何だかこの雰囲気久しぶりのような気がします。
ここのところ新キャラやなんやらで一話完結があまりなかったですね。
書き溜めてた貯金が尽きてピンチですが頑張って間に合わせます。
次回はゴールデンウィークが終わって学校が始まる予定です。




