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第18話:厄神様はかく怒れり

前回一時的にミスのため古代人の碑文並に意味不明な文章を提供してしまい、読者の皆様に大変ご迷惑をおかけしました。

改めてお詫び致します。申し訳ございませんでした。

指摘してくださった皆様、ありがとうございました。

これからも生暖かく見守って頂けるとありがたいです。


では気を取り直して第18話です。

「遅かったな」

「な……っ!?」

「まあいい。次からはあのように無意味な正義感をふりかざさないことだな」

「……お前は……誰だ……」

「なんだ。奴から聞いていないのか。まあ確かに聞いていないとしても問題はないだろうな」

「お前は誰だと聞いている!!」

「俺は、死神だ」

 

 

 自分の家に帰ったら見知らぬ他人が出迎えて、しかもそいつが自分自身を死神だと主張した時の不気味さを想像してくれ。少なくとも俺は二度と経験したくない。

「……あの、お茶です……」

「ああ、すまない」

 何をやっている厄病神。そんな身元不明の不審者に茶など出す必要はない。お前も呑気に飲むな。

 そいつは神楽に匹敵するほどの長身で、まあ自称死神というのにふさわしく全身黒ずくめである。

「……で、なんだって?」

「俺は死神だ」

 なんだろうこの既視感。

「そ、それで、死神さんがどうしてここに来られたんですか?」

「狭山直樹の命を奪いに」

「帰れ」

「嘘だ。狭山直樹の命を護りに来た」

 スマン、さっきの嘘の方がよっぽど真実らしいんだが。個人的には拒否したいが。

「死神は人を殺すのが仕事だろ。それともアレか? 最近は死神も仕事を選べないのか? まさかあの世でも雇用不安が深刻化しているとはな。やはりあの社長が原因か」

「意味が分からないな」

 ああ、俺も分からん。

「ひとまず話を聞け。そこの霊――」

「小夜です」

「……さ……よ……?」

 なんだ。どうした。

「……いや、なんでもない。名前があるのか。珍しいな」

 そうなのか?

「ああ、俺を含めて普通の霊には名前がない。まあいい、名前があるのなら名前で呼ぼう」

「ありがとうございます!」

 だからなんだその目線は。俺は何があっても厄病神としか呼ばんぞ。

「小夜は神になるために狭山直樹に憑依しているのだな」

「は、はい……」

「霊が宿主から幸福を吸い取るとき、場合によっては宿主の幸福を吸い尽くして死に至らしめる可能性がある」

 マジか。急激に背筋が寒くなってきたぞ。

「それを防ぐために神に派遣されたのが俺だ」

 神とはもしやあの馬鹿生徒会長のことか。

「そうだ。小夜、お前宛てに言伝を預かっている。聞くか?」

「は、はい……お願いします……」

 すると死神はどこからかラジカセを取り出した。今時磁気テープか。

「行くぞ」

「は、はい」

――カチッ……

『やあやあ小夜君! 元気かね!? 直樹氏もそこにいるのかな!? まあ聞きたまえ! 彼は直樹氏があまりの幸福のなさによってあっけなく死んでしまうのを親切にも防いでくれるのだ!! これで君も心おきなく災厄を』

――ブチッッ!!

「いきなりプラグを抜くな。壊れるではないか」

「本当にただのラジカセで人様の家から電気を拝借しないと動かないことには目を瞑ってやる。なんだアレは? 新手の嫌がらせか?」

「なんのことだ」

「なにが『あっけなく死んでしまう』だ! 人を舐めるのも大概にしろよ!?」

「煩い奴だ」

 殴っていいか?

「直樹さん! そ、それで、結局何をしていただけるのですか?」

 そういえば具体的なことは何一つ言わないまま切れてしまったな。役立たずめ。

「簡単なことだ。今日のようにするだけだからな」

「……え……?」

 なん、だと?

「今日のように、お前に危害を加える者を排除するだけだ」

「そ、それって……」

「まさか……」

「気付いてなかったのか。あの鉄骨を落としたのは俺だ」

「なっ……!?」

「お陰で襲われずに済んだだろう」

「不良をあんなにしてまで避けたい出来事じゃなかっただろ!」

「……? 奇妙な事を言うな」

 なんでだ。

「誰も死んでいないではないか」

「……っ! テメェ!!」

 体が勝手に動いた。死神に向かって拳を振る。だがあっさりとかわされ、気付いた時には床に組み伏せられていた。

「……ぐぅ……!」

「無駄だ。人間は神に勝てない」

「な、直樹さん!!」

 離せ。死んでるか死んでないかの価値基準しか持たない奴に護ってもらう必要はない。

「それの何が間違いだというのだ。まあ、極力危害を加えない方法で排除することも可能ではあるが」

 だったらそうしろ。目の前で骨折されたら夢見が悪い。

「小夜はそれで構わないのか」

「も、もちろんです!」

「そうか。分かった。その分狭山直樹に災厄が集中するが本人がいいというなら了解しよう」

 ……待て。聞いてないぞ。不当契約だ。インフォームドコンセントの原則を忘れたか。

「相手に怪我という『厄』が集まるのを阻止すれば、その分の『厄』をどこかに分散する必要がある。それがお前だ。これでいいか」

 逆だ逆。順序が逆だ。伝えてから了承するんだよ。

「な、直樹さん。取り敢えず他の方は傷付けないと約束して頂けた訳ですし……」

 分かったよ。

「ところで小夜」

「は、はい!?」

「お前、それが自分の名前だというのは最初から知っていたか?」

「は、はい……最初から……」

「そうか……」

 なんだ。だからなんだというんだ。

「……普通の人間は、死んだときに魂の自我は喪われる」

 どういうことだ。

「人の死には大量の『厄』が宿る。そのまま放っておけば魂は『厄』に喰われ、最悪消滅する」

「消えてしまうんですか?」

「ああ。そうなればそこでその魂は『死』ぬ。そこまではいかないとしても、普通はその存在以外は喰い尽されてしまう」

 普通は、って、なら厄病神はどうなったっていうんだ。

「……さあな」

 さあなっておい。なんだその投げっ放しは。

「ともかく、名前を持った霊は貴重な存在という訳だ」

 そうかい。よかったな。

「なんだかあんまり実感がわきません……」

 ああ、そうだろうよ。

「ところで、俺の部屋はどこだ」

「は?」

「俺もここに住む以上、部屋くらいは欲しい。どの部屋に寝ればいい」

 ちょっと待て。俺はお前に住んでいいとは一言も言ってないんだが。

「そうか。では住まわせてくれ」

「断る。帰れ」

 放り出した。

「外は寒いぞ。酷いな」

 リビングに戻ってくると死神まで戻っていた。だからなんだこの既視感。

「直樹さん、駄目でしょうか……?」

 厄病神お前もか。なんで俺はこういう時に孤立するんだ。

「直樹さんが死んでしまうのはとても悲しいです。だから死神さんが直樹さんを護っていただけるならとてもありがたいんです」

 その代わりに俺が怪我することが増えそうなんだが。

「2対1だな。現代日本には民主主義の原則が適用される筈だが」

 あんなのは民主主義の欠点も理解していない多数派が己の利益の為に少数派を迫害する口実に過ぎん。

「小夜、どこに寝ればいい」

「えっ、えっと……」

「テメェーーー!」

「な、直樹さん! 乱暴はいけません!」

「煩い! 俺はもう寝る! 厄病神、そいつをきちんと追い出しとけ!」

「ところで……」

 階段を上ろうとすると、死神が思い出したかのように呟いた。その時――

――ガッシャァァァァン!!

「……死神という存在の特性上、どうしても『厄』が俺の周りに集まり易い。だから――」

――ダッ!!

 死神の台詞が終わる前に俺は走り出していた。

 玄関から外へ飛び出た俺を待っていたのは、見慣れた我が家と、それに突き刺さる……トラック。

「……は?」

「直樹さん! どうしたんです……か……?」

「――という訳だ。これからよろしく頼む」

「……は、はは……ハハハ……」

 人は受け入れ難い現状に直面すると笑うしかなくなる。

 そう学んだ日であった。


どうもこんにちは。

感想に対する返信が無駄に長いと評判のガラスの靴です。


ついに主人公に恋のライバル出現です。

嘘です。

死神の姿はちょっと前に流行った死を呼ぶノートに出てきたアレを想像してくれればいいです。顔以外は。顔は美形です。少女漫画のメインキャラクター並みです。


トラックのせいで家の壁が壊れたので、少しの間修理するため主人公達はは外泊せねばならなくなります。


というわけで次回から家なき子らの居候をお送りします。

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厄神様とガラスの靴
こっそり開設。
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