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第116話:厄神様はかく続行し

どうもこんにちは!

まさかの連日更新、ガラスの靴です!


事情はとりあえず話しの最後に……

というわけで、直樹と天狗の決闘の続きです!

どうぞー!

「……お、おぉ……?」

「……な、何が起きたの……?」

 一瞬の出来事。

 俺も、そして恐らくは天狗も含め、何が起こらなかったか誰も分からなかったその一瞬の後、


頭部に激痛が走る。

「――痛っ……!?」

 どうやら頭をしこたま打ち込まれたらしい。人間の頭なんてものは案外簡単に壊れるんだから

、出来れば控えて欲しいところだ。

「直樹さん! 大丈夫ですか!?」

「……大丈夫だ」

 小夜が駆け寄ってくるのを手で制す。まだ闘いは終わってないだろ。

「……ハァ……ハァ……っ!」

 ガサリと音を立て、天狗が立ち上がる。その顔には血が流れていた。

「この……っ!! よくも……っ」

 ……どうやら俺も人のことは言えないらしいね。俺が全力で振るった木刀も運悪く天狗の頭部

を直撃したようだ。

「お、おいおい、マジで流血沙汰かよ!? ちょっとヤベェんじゃねぇの!?」

「ちょっと龍一、あんたこの辺で止めなさいよ!」

 周りからも焦り声が聞こえる。頭から血なんてモノはアニメか漫画くらいでしか見たことない

しな。

「……ふむ、ギブアップするかね?」

「だ、誰が……!」

「……よし、直樹氏は?」

「あ? い、いや、俺は全然平気だぞ」

「……では続けよう! 存分に闘いたまえ!」

 神楽の決断は、続行。

 それを聞いた天狗が再び戦闘態勢に入る。

「……ハァ……、クッ……!」

 それにしてもフラフラだな。妖怪っていっても防御力は人間と差がないのか?

「よ、よし狭山! 相手がいいんだったら構いやしねぇ! ガンガン行っちまえ!」

「あんた最低ね」

「……ひとつ、話を聞かせてあげるよ」

 闘いは闘い。木刀を握りなおした俺に、天狗が独り言のように語り掛けてくる。

「昔ね、京都には日本三大妖怪と崇め恐れられた3匹の妖怪がいたんだ」

 天狗はそこまで言うと俺に向かってきた。

 ……そう、向かってくるのが見える程度のスピードで攻撃してきた。

「なんだそりゃ……!」

 木刀を振ると簡単に当たり、再び吹っ飛ぶ。

「……知ってる? 酒呑童子と、ボクと、玉藻だよ」

 玉藻前。こいつらはそういう繋がりだったのか。酒呑童子ってのは確か鬼のことだったな。

 鬼と天狗と妖狐なら、それは畏れられそうだ。

「『力』の鬼、『術』の妖狐、そして『速』の天狗。それぞれ特化した能力から、そんな風にも

呼ばれたよ」

 そして天狗はまた動き始めたが、明らかに遅い。

 俺ですら動きを完全に追えるほど、そのスピードは鈍ってしまっていた。

「……でもね、いくら速くたって、相手を一撃で倒す力もなければ妖術も持ってない。まして攻

撃を受けてしまえばオマエたち人間と耐久力は全く変わらないんだ。話にならない」

 天狗はやがて石の上に立つと、懐から何かを取り出した。

「……葉団扇(はうちわ)……?」

「あ、オレ見たことあるぞ、アレ。天狗がよく持ってる葉っぱのウチワだろ」

 桜乃の言う通り、よく天狗とともに描かれるようなでかい葉っぱ、のような何か。天狗はそれ

を静かにこちらへ向けた。

「……だからね、ボクは『発明』したんだ。相手を一撃で葬れるだけの火力を持った『武器』を

「……狭山!! 避けろっ!!」

「っ!?」

 碧海の言葉で反射的に横へ飛んだ俺のすぐ脇を、なんだかよく分からないビームかレーザーか

、ええい素人目にはどっちも同じだ、とにかくそんなもんが掠めていった。ってちょっと待て。

「……ナニ、アレ……?」

「桜乃センパイ、驚き過ぎて片言になってますよ……」

 地面にへたり込んだ俺の横、さっきまで俺が立っていた地点には、謎の葉団扇から放たれたレ

ーザーによって見るも無残な黒焦げのミステリーサークルが完成していた。こんな山奥じゃ目立

たないだろう。

「……お、お前、それは反則じゃないのか……?」 

「……どうなの? 審判」

「ふむ……、面白いので、アリとしよう!」

 ふざけんな。

「らしいよ? まぁダメって言われても使ったけどね」

 いかん。半端な攻撃で完全に怒らせたらしい。というかアレを喰らったら流石に彼岸へ一直線

な気がするぞ、おい。

「ただ、残念なことに1発撃つとチャージにかなり時間がかかっちゃうんだよねー。そこだけは

未だ改良の余地があるんだけど」

 そこを改良されると中々に都合の悪いことになりそうだからな。永久にそのままでいてくれ。

「……さて、言っておくけど、ボクの『発明』がこれだけだとは思わないでよ?」

 そういうと天狗は、消えた。

 いや、持ち前の速さでもって消えたんじゃない。奴の足はとっくにガタがきている。

 ……文字通り、目の前から掻き消えた。

――例えばさ。

 何もいない空間から天狗の声が響く。

――姿を消せる道具なんてものがあったら、どうする?

「――なにっ……!? カハッ……!?」

 恐らくは天狗の短刀が、鳩尾にめり込む感触。

 胸のあたりを見下ろしても、何もない。

 ただ、薄ぼんやりと景色がゆがんでいるだけ。

――そのまま寝てなよ。すぐに楽にしてあげるからさ。

「マジ……かよ……」

 そのまま俺は立っていられずに膝をつく。

「お、おい狭山! なにボーっとしてんだ!? 危ねぇよ!!」

「直樹、上!」

 上……?

「それじゃあ、これでトドメだよっ!!」

 太陽を背に、天狗の影が空を舞っていた。

 ……いや、天狗だけではない、何か丸く小さな……?

「どっ、かーん」

 

 

 ……爆弾は反則だろ。

響「続くの!?」

直「俺が一番嫌なんだから騒ぐな!」

小「さ、3話もお疲れ様です……」

葵「ていうかあたしたちもそろそろ出番欲しいんだけど」

 

 

というわけでまさかの前中後編とあいなった決闘シリーズ。

次回で確実に終わるのでご心配なく。


ちなみに天狗は今回出てきた以外にも様々な道具を発明しています。出てくることがあるかは謎。


ではでは、次回をお楽しみに〜!

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厄神様とガラスの靴
こっそり開設。
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