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第115話:厄神様はかく薙ぎ払い

どうもこんにちは、ガラスの靴です。

苦手なことは早めに終わらせてしまおうってな感じで少し早めの更新……かな?


幸か不幸かこのお盆は一切外出の予定もないので、のんびりと駄文のストックを蓄えていきたいと思います。

あくまでも予定なので悪しからず。


そんな誰にしているのか分からない言い訳を交えつつ、謎展開へと突入して参りました第115話、どうぞー!

「――うぐ……!」

「ほら、やっぱり無理だ。やめといた方がいいよ? 人の生かし方ってボク知らないし」

「……誰がやめるか、この野郎」

 天狗の姿が消えたと思った直後の一撃。見てから避けることは絶対に出来ないと思えるその攻撃で、俺の体は開始5分でボロボロになった。

 後ろに振り返ると、そこには呆れたように溜息をつく天狗の姿が。

「あ〜あ、強がり言っちゃって……。死んだってボクのせいにしないでよ?」

 余計な心配はいらないな。

「……って、おいおい、狭山の奴ぜんぜん駄目じゃねーか!」

「……ぜんぜん見えないわね」

「これ以上頭おかしくしてどーするつもりなんですか、あの人は」

 ギャラリーから身も蓋もない感想が出ている。少しくらい応援してくれ。

「……ま、これで逃してくれるんだったら安いもんだけど。それじゃ、一気に終わらせてあげるよ」

 再び天狗が消える。

 俺は碧海が教えてくれたことを思い出しながら、意識を集中させた。

 音さえ消えた、その刹那――

 

 

―――……

――……

―……

 

 

「――……本当にやるのだな?」

「ああ」

 俺の言葉を聞いた碧海は、2度目の溜息をつくと。諦めたように軽く笑った。

「……お前も、以外と自分勝手だな」

「ああ。ようやく気付いたか?」

 

 

「いいか、天狗の動きは妖怪の中でもトップクラスだ。おそらくお前も目で追うことさえ出来ないだろう」

「それは知ってる」

 最初に会った時にもう味わったからな。

「……だが、逆に言えばそれが合図となる」

「…………?」

 

 

「――ボクが勝ったらここから出てっていい? なにそれ、『無条件で出ていける』としか聞こえないんだけど? バカじゃないの?」

「は? なに? なんで狭山のヤツがあのガキと闘うわけ?」

「知らないわよ。なに考えてるのかしら」

「どっかで転んで頭打ったんじゃないですかー?」

 旅館に許可を得て借りた裏山。

 俺と天狗を見守るように、桜乃たちが周りに集まっている。

「ふむ、直樹氏! 本当に始めて良いのだね!?」

「だから最初からそう言ってるだろ」

「よし、ではもう一度ルールを確認しよう! 真剣や銃器の類は痛いので使用禁止! それ以外は面白ければよしとしよう!」

「なんだ面白ければって」

 皆に天狗と決闘することを伝えると、誰もが意味不明といった顔をしたが、最終的には紆余曲折を経て『死なないこと』を条件に神楽が許可した。

「ふーん……。本当に武器を使ってもいいんだね?」

「その通り! 直樹氏もそれで良いかね!?」

「ああ」

 天狗の余裕そうな笑みが気になるが、もとより不利は承知の上だ。爆撃機でも出てこない限り文句は言わん。

 俺は碧海から借りた木刀を構えると、天狗から距離をとった。

「……へぇ……」

 俺の行動に、天狗はあからさまに馬鹿にした目を向ける。

 ここまでは碧海の言った通りだ。

 

――いいか、まずは距離をとって、『離れていれば避けられる、と思っている』、と思わせろ。

――は? どうしろって?

――天狗は自分の速さに絶対の自信を持っている。そういうところに『離れていれば大丈夫』と思っているかのような行動をとられればどうすると思う?

――まぁ、普通に考えれば腹が立つな。

――そうだ。そして、必ず速攻系の攻撃で仕留めてやろうと思う。それが狙い目だ。

 

 ……まずは、攻撃方法を限定する。

 そもそも速さを目で追えない状態なのに、そこで緩急をつけられたらもう為す術なしだ。しかし、"急"の方だけならまだ対処できる、と思う。

「……じゃ、ボクはこれでいいよ」

 そう言って天狗が取り出したのは、脇差のような小型の刀……のような形をした木刀。一応はルールを守るらしい。

「さて、それでは始めよう!」

「…………」

「…………」

 後ろから碧海と、小夜の視線を感じる。たまには心配かけずに問題解決したいな。

「……では、バトルスタート!!」

 合図と同時に天狗が消える。

「……っ!?」

 慌てて眼前をブロックするが、脇腹に鈍い痛みが走る。

「ぐわ!?」

 そのまま痛む部分を押さえて蹲ると、背中から嘲笑うような声が聞こえた。

「あっはっは! やっぱり全然ついてこれてないじゃん! バカじゃないの? 天狗に喧嘩を売るからこういうことになるんだよ!」

  ……そうだった、痛いとか言っている場合ではなかった。

「まぁこれに懲りたら二度と人間ごときが妖怪に逆らわない――……っ!?」

――ブン!!

 天狗のいた場所に、木刀で切り込む。

 そのままゆっくりと頭上を見上げると、木の上に苦々しい顔をした天狗が立っていた。

「……動きも速いなら、油断するのも早いみたいだな」

「……このっ……!!」

 頭に血が上るとは丁度奴のことを言うのだろう、真っ赤になって険しい顔をしている。

 ……さて、しかし参った。

 一矢報いてやちたのはいいのだが、予定では木刀直撃で大ダメージの筈だった。

 今のが避けられたとなると、ひょっとしたらかなりマズイかもしれない。

 ……その上。

「汚ねえ……」

「最低ね」

「まったく、人としての尊厳の欠片もありませんねー」

「お前らうるさいんだよ!!」

 どっちの味方だ。

「……じゃあ、お望み通り一瞬で倒してあげるよ」

「…………!」

 木の上を見る。

 ……いない。

「――うぐぁっ!?」

「狭山!」

「直樹さんっ!?」

 天狗の姿を探す。見つけた、そう思った瞬間にまた消える。

――ドンッ!!

――バキッ!!

――メキャッ!!

「どう? これでもまだなんとかなると思う?」

 段々とどこに攻撃されているかも分からなくなってきた。意識が一瞬遠のきかける。

「……くっ!」

――ブォン!!

 苦し紛れに木刀を振り回すが、当たる筈もなく、天狗は既に5mほど離れた場所にいた。

 本当に速攻しかしてこないな、こいつ。碧海の言った通りだ。

 で、この後どうすんだっけ……? この後……?

「……そろそろいいかな。もう面倒臭いから、これで終わりにしてあげるっ!!」

 

――いや狙い目って、それで見えなかったら意味ないだろ。

――『消えた』ことが分かるということは、少なくとも攻撃のタイミングは掴めるということだ。

――……はあ。

――あとはお前の反射神経頼みだ。天狗が消えた瞬間、木刀を思い切り――

 

 

―……

――……

―――……薙ぎ払う!!

 

 

――ドゴオォォォォン!!

 

 ……全身に、衝撃が駆け巡った。



響「なんだか本格的に出番なくなってきたな」

葵「……あんな変な子供に取られてるってのが癪ね」

小「そ、そそ、それより直樹さんがた大変なことに!!」

満「あ〜、心配しなくてもセンパイはゴミ虫レベルにしぶといから大丈夫ですよー」

直「…………」



というわけであらゆる意味で緊迫した第115話でした。

本格的なバトル描写はこれまで殆ど挑戦したことがなかったのですが、いかがでしょうか?

とりあえず次回で終わらせるので、苦手な方も「こんなん見てられっかー!!」という方ももう暫くご辛抱願います!

ではでは、次回をお楽しみにー!

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厄神様とガラスの靴
こっそり開設。
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