独白
更新が遅れて申し訳ありません。今回はロクサスの独り語りです。そしてあまり長くない・・・
「お父様、私、ロクサスと婚約しますわ」
この言葉が、どれほど僕の欲しかったものなのか、きっとティーナには分からないだろうな。
あの日、僕の胸のうちを知らないティーナはなにも気付かずに僕の部屋へやってきた。画材が珍しいのかキョロキョロと部屋の中を見回す姿が可愛くてずっと見ていたかったけれど、これから自分がする行為にそんな甘いものは必要ないとさらに奥にある寝室へ促した。寝室、と言ってもベッドと書き物をするための机と椅子しかない質素なものだ。ただ休息の為の場所だからとあまり気を使わなかったけれど、ティーナが入るのだったらもう少し綺麗で立派なものを用意しておくべきだったと少し後悔した。それでもこの部屋にティーナがいる・・・それが僕を興奮させた。
ティーナは僕に言った。僕の気持ちは錯覚なのではないか、一緒に居すぎたから恋と友愛を間違えているのではないかと。錯覚?間違い?ハハっと心の中で笑う。錯覚ならティーナをこの場で押し倒して邪魔なドレスを引き裂いて、己の欲望をその華奢な身体に納めてしまおうなんて考えたりしないだろう?この部屋に永遠に閉じ込めて、僕達が愛しあった証が形になるまで犯し続けようとか、友愛を感じる相手に向けたりしないだろう?これは間違いなく愛だよ。君が望んだものではないけれどね。まだ信じられないなら、本当にティーナを穢してしまおうか・・・なんてね。ティーナを落とすようなことを僕はしないよ。ティーナは光の中で輝いてこそティーナなのだから。だけどね、僕の気持ちを嘘のように言ってなかったことにしようなんて許せない。だから少しだけティーナに罰を与えるよ。君を【婚約者】という形で縛らせてもらう。拒否されることなんて想定済みだから、僕は僕の命を代償に君を僕に縛りつけるよ。卑怯だと思うだろうね。僕もそう思うよ。だけどそうでもしないと君は僕を真正面から見てくれないだろう。男として見て欲しいから卑怯なことも構わず使う。でもそれだけじゃ駄目なことも分かっているから戦うんだよ。相手は君のお義兄さん。彼はとても頭が切れるから、きっと僕らのことを疑ってくるだろう。そして可能ならば僕という異物を排除しようとするかもしれない。だけどそうはさせない。ティーナが僕を受け入れれば、僕を愛せば、彼は手を出せなくなる。冷酷な彼も愛するティーナが悲しむことは決してしないと知っているから。
だからこれからはティーナから僕を欲しいと言ってもらえるように頑張るよ。僕と婚約してくれるという譲歩をしてくれたティーナの為に。だから、早く僕を好きになって?僕の想いが溢れ出てティーナを飲み込んでしまう前に。
次からまたクリスティーナ視点に戻ります