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ブラインドワールド  作者: だかずお
3/27

『謎』

おぉおぉおおおおおおーーおおおー

一体なんなんだこの音は?

光堂は、叫び声なのか、何かの防災音なんだか、聞いた事のない謎の大きな音に驚いた。

不思議な事に、周りの人達は誰も驚いていない。

そんな大した事ではないのか?

音は近い、背後から聞こえてきている、光堂は後ろを振り返り音の元を発見する

なんと、身長5メートルはある、一つ目の赤鬼が叫んでいたのである。

正直、光堂はブルッと全身から震えあがり、ここからすぐに離れなければと、すぐ様、走りだそうとする。

しかし、音はどんどん大きくなり、こちらに近づいて来る。

まさか!!

後ろを振り返ると鬼がこちらに向かって来ている

光堂は産まれてから今まで出した事の無い力を振り絞り走った。

捕まったらヤバイ

そう直感したからだ。

鬼は叫んでいる「待てそこのお前」

ドスンッ ドスンッ

光堂は、あの巨体では、通れそうもない細い路地を見つけ、すぐ様、入る。

後ろを振り返ると、鬼の目が細い路地の向こうからギョロリとこちらを覗いている。

光堂はそのまま、全力で走り逃げた

「一体なんだったんだあいつは」

マサは大丈夫なのか?

急にマサが心配になり、光堂は、すぐさま、マサを置いて来た場所に戻る事にした。

この世界でこんな危険な目に会うのは初めてだった。

先程の場所では何事も変わらず、マサはまだそこで眠っていた。

「ふぅーよかった」

ただ横には色がついてないオヤジがいる。

色がついてない?

そうだよな普通は理解できないだろう、この世界に少し居て、俺もこっち側に染まっちまったか?そんな事を一人思った。

色がついてないと言うのは文字通り色がない、そのオヤジは白黒なのだ、その親父だけが時代錯誤の白黒テレビに映っているような姿で、そこにいるのだ。

周りの風景は色があるのに、オヤジだけ全く色がないと言う異様な光景。

そのオヤジは言った君の連れか?

「はいそうですが」

「ここで寝てちゃ邪魔だよ場所を変えよう」と言って、いきなりカーテンを開く仕草をした。

すると、周りの風景は一変し、さっきまで居た場所は海になる。

「ここなら良いよ、じやあね」と、言って、オヤジは消えてしまった。

一体何なんだこの世界は?

俺の頭がおかしくなってしまったのか?

それとも世界が変なのか?

とりあえず、マサを起こそう。

彼だけは正気なはずだ、いや、もはや正気とは何だか分からない。

常識という概念が崩壊してしまっているからだ。

もしかしたら、常識なんてものが、もともと普通では無かったのかもしれない。

とにかく、いまはそんなことを考えてる時ではない


「おいっ、マサ起きろ マサ マサ」


「あれっここは?」


「やっと、起きた 酒の飲み過ぎで、寝て居たんだよ」


「で、ここは?」


「それが何処だか分からないんだよ」


「見た事のない海だね、どうしてここにいるの?」


光堂は笑った、どう説明すりゃあいい。

「色のないオヤジが連れて来たんだよ」


「???」マサは全く意味が分からなかった。

その反応を見て光堂は安心する、良かった、マサが、同じ反応をしてくれて。俺はまともだよな・・・

今や、この世界はおかしいと思えるこの共通認識が光堂の心を安心させた。

二人はとりあえず家に帰って、心を落ち着かせたかったので、住んでいる場所に戻る事に。

「誰かにここが何処だか聞こう」光堂が言った。

二人はビーチで日焼けしてる家族に聞いてみる事に。


「ここは何処ですか?」


家族の人々はキョトンとした

「ここは何処って?変な事きくなーっ、ここはここだよ」

家族は顔を見合わせて笑っている。

その家族の顔を見て、光堂とマサは驚いた。

何故ならみんな顔に口だけしかついてなかったからだ。

だが、今更驚く事でもないかと、すぐに落ち着きを取り戻す。

ちょっと、こっちの世界に馴染みつつある自分達が可笑しくなった。

二人は手持ちの金があまりない事を思い出し

「この金で電車乗れるかな?」と、マサ。

「とりあえず駅を探すか」

不思議な事に、気付いたら、突然目の前に駅がある

「あれっ、そこ駅だよ」マサは、すぐ目の前にある駅に驚いた。なんか意図したように近くにあったね。

とりあえず、駅の改札に向かい駅員に、自分達の家の最寄駅を伝え運賃が幾らか聞いてみることに。

すると駅員が「君たちはお金を払いたいのか?」と言った

駅員の顔はオモチャの様であり、無表情だった。


「いいえ」


「じゃあ、そのような事はしなくて良いから通りなさい」と言って通してくれる


「へっ変だよな?」光堂が言った。今更ながらと思ったがマサに問う。


「うん、ちよっとおかしいよ」


この世界に自分と同じようにおかしいと思うマサがいて、本当に良かったと光堂は心から思った。

ここに、もし、自分一人なら、誰とも分かり合えず、孤独ではなかったろうか。

と言っても、実際、もう、なにがおかしいのかは、良く分からなかったが。

自分自身の持つ、常識と言う概念さえ捨てれば、ここの世界の人だって普通になるのだ。

運賃を払う地球がまともではないのかも知れない、自分がいた地球を思い、この場所との違いに、少し笑ってしまった。

するとすぐに電車が来る


「この電車は何処に行くんですか?」光堂が車掌さんに聞く


「変な人だなぁ、良いから乗りなさい」


「変な人?」

二人は訳も分からず、電車に乗ると、次の駅は自分達の家の最寄り駅だった。

二人は電車から降りる時、車掌さんに言われる


「今時、移動に電車を使うとは君たち物好きだね」


二人は顔を見合わせ

「ここはずっと未来の世界なのか?」


「全く見当もつかないよ」マサも同じだった。


とりあえず光堂は家に帰る事にする「マサ、うちにくるか?」


「そうだね行かせてもらうよ」

まずは家で落ち着こう、一体自分達がどこにいるかも、何故こんな世界に居るのかも分からない。

二人は、少し落ち着いて頭を整理することにした。

自分の家に帰って来て、光堂は冷蔵庫を開け、缶コーヒーを飲み始める。

「あぁーこの空間は、ホッとするぜ」


「マサも飲むか?」


「いや、いらない」

二人は冷静になって、今の現実を直視した。


「この世界おかしいよな?」光堂はマサに問いかける


「僕達以外は、普通だと思ってるよ、ここが」


光堂は、いつからこんな風に世界が今までと変わってしまったのか振り返った。

ただ、思い返しても不思議で、ある日、突然変わったのである。

それはまるで、寝て目を覚ましたら、今この世界と言う現実、ここに居た、まるで赤ん坊として産まれ、気付けば目の前に世界が広がっていた様に、言葉にすると、まさにそんな感じだった。

覚えてはいないが、自分の知ってる地球で産まれた瞬間も、実際そんな感じだったのかもしれない。

だが、今の俺には記憶がある、比較できる常識や世界が頭に残ってる、その状態でのこの世界はやはり異常だ。

少し考えてみよう。

この世界で頼れる人は誰かいなかっただろうか?

光堂はある友達を思い出す。

そいつの名前は、多村

そいつは光堂の学生時代の同級生で、常に冷静であり、賢く、友達想いで、頼れる男であった。

あいつなら何か、力になってくれるかも。

マサも同じ学校だったから、多村の事はよく知っていた。


「明日多村の家に行こう」

光堂はそう言い缶コーヒーをぐびっと飲み干す。


「マサ、今どんな心境だ?」


「ここが何処なのか分からない、何だか地に足がついてないって感じ、一体どうなっちゃうのか、少し不安だよ」


光堂は微笑む

「それを聞いて良かったぜ、どうやらそんな気分なのは、俺だけじゃなかったようだ」


マサもそれを聞き、微笑む。

二人は、暫く部屋でボーッと、何も考えずに座っていた。

今は一人暮らしの光堂も、最初、この世界を目の当たりにした時、確認の為、両親に電話をしたのだが、自分達の両親ですらもこの世界が当たり前のように暮らしていた。

おかしな事言って、頭でも打ったの?と笑われたくらいだ。

本当に今までの地球を、知ってる人はいないのか?

二人は気持ちを、分かりあえる沢山の理解者が欲しかった。

外から戻って来て二人は部屋からは出なかった、この空間に落ち着いていたかったから。

ここにいる限りは、何も変わらず普通を感じられたからだ。

外に出て、この現実離れした世界を直視したくないと言う気持ちは強く、二人は部屋に居る、この居心地の良さを、たまらなく感じていたかったのだ。

ここに居ると、普通を感じられる・・・

普通 か?そうつぶやき光堂は笑う。

マサと二人でこうしてるぶんには、今までと何も変わらず普通であり平穏を感じる。

「俺たちの言う普通はさ、こっちの世界の奴らからすりゃ異様な世界だな」

いつから世界が、こうも変わったのか二人は考えた。

あれは確か、二人で山に登ってからだった。

光堂が思いつきに、山に登ろうとマサを誘ったのだ。

考えたらその山に登ってからか?

その山自体に何か原因があるとは思わなかったが、地元では奇妙な噂がたえない山であるのも事実だった。

あそこは霊が出る、凄いパワースポットだ、あそこには龍がいる、その様な噂が絶えずあった。

「あの山、登った時変わった事あったっけ?」マサが光堂に聞く

光堂は特に何も思いうかばなかったので返事をせず首を振った。

マサにも、特に何も思い浮かばなかった。

やはり山は関係ないらしい、理由はまったく分からない。

二人は明日、多村に会いに行く事にして眠りにつくことにする。


翌朝


光堂は目を覚まし時計を見た「もう10時か」

そして外を見て驚いた。何故なら夜のように真っ暗なのである

あれっまだ夜の22時なのか?

そんなはずは、やはりなかった

光堂は急いでマサを起こす

「おいっ朝だぞ、いっいや、おいっ夜だぞ」もはや何と言って良いか分からない

「起きろマサ 空を見てくれ」

マサが目をこすり外を見る「まだ夜じゃないか」

もう何が何だか分からないので、TVを付け確認する事にした。

テレビでは猿と人間がニュースを報道している。

「今日は少し暗いけど素晴らしい朝ですね」スーツを着た猿が笑っている。

光堂は舌打ちをし、すぐ様、テレビを消し、多村の家にマサと向かう事にした。

すると


ピンポ~ン


「誰だ?」

何者かの訪問 人間か?

光堂は恐る恐る玄関にむかった


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