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ブラインドワールド  作者: だかずお


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17/27

『現れる道』



「夕食出来たウキ~」

ペレーとマナが出来たご飯を運んでくる。


「うまそー」

光堂、多村、マサは、こんな場所に来て、まさか家の中、落ち着いてご飯を食べられるのが、いまだに信じられなかった。

食べ物の美味しそうな香りが優しく部屋を包んでいる

明日死ぬかも知れない、これが最後の食事になるかも知れない、そんな心境のせいだろうか、風味、舌触り、噛みしめる感触、いつになく料理を味わっていた。

「こんなに食べるという行為を、真剣に感じとったのは、生まれて初めてかもな」多村の言葉から、光堂と似たような心境であるのが分かった。


人はいつしか、奇跡などないと、奇跡を忘れ、探し、期待している。

だが、当たり前すぎて、気づかないでいるかも知れないが、生きて存在してる これは奇跡だ。

当たり前の事に人間は、いつしか存在していると言う、奇跡を忘れてしまった。

存在してるということの無限の神秘

光堂達は死を見つめざる状況を歩むことによって、激しく強烈に、それは光堂達の心に蘇ったようだった。


この黒楽町にきて、誰もがすぐ隣に死を感じて生きてるのは事実

だが、その死に対する認識が今まで以上に、今という瞬間 、生をより味わうことに繋がったのも、また事実だった。

光堂はここに来て何回もこの事を感じていた。

でも、それは光堂だけではなかったようだ。

マサも、多村も、ペレーも。

僕等は生きてる 存在してるのだ。

意味もなく、訳も分からないうちに。

気づいたら、存在していたのだ、今、存在してるのだ。

誰にも理由など、分からない。

何処から来て、何処に向かってるのか誰も知らない。

だが、決して一人ではない、皆一緒だ。

大丈夫、不安になる事はない。

存在

内側から響く、何処か力強い恍惚感を感じながら、そんなことを思った。


「さあ、食べましょう」


初めて過ごす、見ず知らずの場所での今の心持ちは不安などでは無かった、何処か楽しい旅行に来て初日を過ごしている、そんな気持ちにもなっていた、それはきっとここに居る友が居たから。


全員ビールを手に持ちかざす

「乾杯~」

みんなは笑いあった。

これから無事にこの場所から出られるのか、もちろん依然として不安や、恐れはあった。

だが、目の前にいる仲間達の笑顔、それが、みんなお互いの心の中に勇気となり灯り、不安よりも強いものとなっていた。


「正直わたしここに来た時、もう、どうでもいいって少しあきらめてました。でも、みなさんを見てたら何とかなる、そう再び信じるようになったんです」


みんなはマナの言葉を聞き微笑んだ


「何とかなるウキよ、この勇敢なペレー様がいるウキ」


「まったく調子が良いんだから」

多村がつっこみ、みんなは笑い出す。


食べ物の香り

喉に、食べ物がとおる感覚、 食感

ビールの味

みんなの表情、姿

部屋のぬくもり

一瞬一瞬を光堂は、味わい噛み締める様に感じていた。

とてもかけがえのない、今この瞬間、それはまるで光り輝いているようだった。

ありがとう、当たり前に存在していることに感謝の念が浮かんでいたのだ。


三時間後には、ペレーとマサは酔っ払ってご機嫌であった。

ペレーは踊り、マサは一人ごとをしゃべっている始末

それを見て三人は笑っている「やれやれ」


「大丈夫ですか?」


「マナ大丈夫、いつもの事だから」


暖かいぬくもりに包まれているような、心安らぐ、そんな夢のようなひと時であった。


「なんか旅行に来たみたいで楽しい一日になったな」光堂が言った。

「あはは、確かにそうだな」


三人はその後、何故ここに来たか、ここで何をしようとしているのか、など色々な事情をマナに伝え話していた。

夜も更けた頃、宴は終わり

一つあるベットを、マナに使ってもらい、皆は部屋に置いてある布をかけ、床で眠ることに。

夜中、ふと光堂は目を覚ます。

見ると、窓のそばに一人座り、外を見つめている多村がいる。

光堂には、多村がミサのことを考えてることが、すぐに分かった。


光堂は話かけず、目をつむった


多村を信じて 目をつむった


多村なら、この経験を必ず糧に出来る


そう信じて


何も声はかけなかった。


朝、大きな声で目を覚ますと

「ウキ~っ」

ペレーの声が響き渡る

部屋にペレーはいない「どうしたんだ?」

見渡すと多村も居なかった。

マサとマナも驚いて目を覚ます

光堂は慌てて声のするほうに向かう、どうやら声は外から響いている。


「二人とも無事か?」


勢いよく、ドアを開け外にでると


「最高ウキよー」


「おう、光堂気持ち良いぜ」


二人は温泉に浸かっていた。

何かあったのかと驚いていた光堂はホッとする。

「ふぅ~旅行は続いていたみたいだな」

それを見て、光堂も嬉しくなり服を脱ぎ出し、すぐさま温泉に飛び込んだ。


「ぷはーっ、最高だ」


「まさかここで温泉に浸かれるとは、ホント分からないもんだな」多村は笑っている。


「ペレー達はきっと、温泉旅行に来てるウキよ、黒楽町から抜けたに違いないウキよ~」


「確かにそうだと良いな」多村はそこから見える景色に目をやった。

森の先には昨日見た赤い河が見える、その背後には紫色のあのピラミッド。


ガチャ


マサも外に出て来る

「みんな温泉に浸かってたのか、びっくりしたよ」

マサは湯に浸かるという行為があまり好きではなく、温泉には入らなかった。それは昔からである。


「今日はどうする?」多村が言った


「昨日の日記、見てみるウキか」


「そうだな」


「しかし、この景色を眺めながらの風呂は、ある意味絶景だな」光堂は、温泉の気持ち良さで、何だか嬉しくなっている。


「しかし、あの紫色のピラミッドなんだかとっても惹きつけられるね」マサはピラミッドを見つめている。

四人はしゃべらず、いつしか、ピラミッドをじっと見入っていた。


すると

「みなさん大丈夫ですか?」


ガチャ


「キャー、すいません、お風呂でしたか」ドアを閉め、すぐ小屋に戻ったマナだった。

四人は笑った。四人の首にはあの誓いのペンダントが温泉の湯しずくと太陽の光に当たりキラキラ輝いている。


部屋に戻り

「マナも入ればいいウキよ、気持ちいいウキ」


「じゃ、さっそく」


日記はマナが戻って来てから、みんなで、読むことにした。

光堂は、ここの冷蔵庫がコンセントもないのに使えたり、奇妙なことなどを話している


「まったく得体の知れないことは確かだ、気は引き締めていたほうがいい」と多村


「なるべく、この小屋から出たくないウキね、ここ落ち着くウキ」


「あはは確かに、いっその事、ここで暮らしたりしてな」 みんなは笑い合った。


マナが戻り、朝食を済ませ、いよいよ日記を開くことに。


「じゃ読むよ」とマサ


皆の安らいでいた心は一気に引き締まり、心の準備は整った。

マサがいよいよ昨夜の日記の続きを読み始める


「わたしはこの落ち着く小屋からはでないと決めていた。だが、あるとき奇妙なことが起こった。赤い河に奇妙な道ができるのだ。わたしの調べたところ、分かったことは どこからともなく光があの河を照らし輝く時、それは起こる 日に最低二回は必ずあること、時は不定期 道は三十分間存在していること」


「そんなことが起こるのか」光堂は驚いた。


マサは続ける

「いずれ、あなたがたもわたしと同じ運命をたどる あちら側に向かうだろう、その時が最期だ われわれは生贄」


「なんなんだウキー、絶対に行きたくないウキ」


「その後は、何が書かれてますか?」


「もう何も書いてない、白紙だ」


「どうする?」


「ここにいても始まらない行くか」光堂が言った


「わたしも興味あります」


「俺も」


「僕も」


「えっ?みんな正気ウキか?一人留守番もこわいし、一緒に行くウキ」

皆の出発が決まった。

リュックに、水や、食料、ナイフ、などを光堂は詰め始める。

皆それぞれ準備をし終え。

後は、その光が出現するのを待つだけ。

みんなで三十分交代で河を見張る事にした。


最初は多村が、小屋の外にイスを置き座って見ていた。


「部屋の窓からでも見えるんじゃない?」マサが言う


「外の空気に触れながら、リフレッシュして見ようかと」


「そっか」


「なんだか落ち着かないウキ、緊張するウキよ」


「あら、頼もしいお猿さんじゃなかったの?ペレー」とマナ


「えっ?あっ、これは冗談ウキよ」

マナはそれを聞き微笑んだ。


「こっちの世界の光堂は、あっちにいるのかな?」マサが光堂を見る。


「分からない情報収集も向こう岸でしよう」

こっちの世界の俺は一体何を知っているんだ?

まだ全ては謎だらけだった。


時間は経ち多村が戻って来る、とくに光らなかった様だ。

「ペレーはどうする?一応、外にイス置いといたけど」


「ここから見るウキ、べっ、別に、こっ、怖い訳じゃないウキよ」

多村は、そんなペレーの態度を見て微笑む。

「分かったよ」


「そういえばわたし、光堂さんに、お礼言ってませんでしたね、助けてもらって、どうもありがとうございました」


「別にお礼言われるようなことはしてないよ」


「照れるなよ」

多村のツッコミであった。


その時だった、「ウキー」


「どうしたペレー?」


ペレーは外を指さしている


窓の外を見ると、河の中から光が出現していた。

照らされてるというより、河の内から外に出ているようにも見える

「なんて眩しい光だ」

五人は、すぐに慌てて外に飛び出す。

そこには、なんと、光で出来た道が確かに、目の前に存在しているのだ。


「みんな準備はいいか?」


光堂は手を前にだす


そこに多村


マサ


ペレー


マナ


が手を上に、重ねる様に合わせ、みんなで叫んだ。


「行くぞ!!!!!」


光の道の先には、謎に包まれた紫のピラミッドが、不気味に五人を待ちかまえていた。



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