『浮上した嘘』
さっきのあの道、ここに住む人達は「ヘブンズロード」って呼んでるの
「天国の道か?」
「実際天国につづいてる道か、地獄につづいてるのかは分からないけど」ミサはそう言い車をとめた。
「今日は、この辺りで探しましょう」
ここは、昨日とは全く正反対の活気のない場所
「今日は、どういうチームにする?」
「今並んでる順で二手に別れて探すのはどうだ?」光堂が言った
チームは、光堂、ペレー
多村、ミサ、マサの二手に別れた
「じゃ、この場所で3時に、また合流しましょう」
「分かった」
光堂とペレーは、人通りの少ないこの集落地みたいな場所を、とりあえず真っ直ぐ歩いてみた。
「何だか昨日の町とは違って、気味悪いウキ。人も昨日の場所より全然少ないウキね」
「確かに」
やつれた人達がぽつりぽつり道端に居る、目つきは鋭く、座りこんでたり、なんだか分からないが小動物のような生き物を焼いたりして食べている光景などが、よく目にはいった。
中には、ボロボロの洋服を売ってる者もいる。
昨日の町にいた、スーツ姿の連中はここでは目につかなかった。
「こんなとこ捜すだけ無駄ウキ いないウキよ」
二人は道にいる人間に、かたっぱしから話かけ、ミサの妹の写真を見せては手掛かりを集めた。
目に入る全ての人間に声をかけたが、知ってる人間は全くいなく、と言うか、まともに返事をする人がいず、手掛かりはゼロだった。
「今日も何も進展はないのか」光堂がつぶやく。
その時だった、光堂がズキンをかぶり顔を覆ってる少女を目にする。
その少女の一際目立つ存在感が、何か引っかかり、光堂はその子のもとへ直ぐに向かった。
少女は光堂が近づくのに気づき、とっさに走り出す
瞬間、光堂も走り出しその子を追った。
「待て」
「えっどうしたウキ?」
ペレーは急に走り出した光堂にビックリして慌てている
光堂は、その子を見失わない様に全力で追っかけたが、中々すばしっこく、途中で見失ってしまった。
「くそっ」
あきらめて戻ろうとした瞬間だった。
光堂の視界にさっきの子をとらえる
「今度こそ」
少女はまた逃げ出したが、光堂は全力で少女の後を追っかけ、ついに、その子をつかまえることに成功した。
「君にききたい事があるんだ」
光堂は、その子の顔を覗き見て驚いた。
この整った顔立ち、どこかで見た。
そう、この子は、ミサの妹の写真の子、本人に間違いない
「きっ君は?」
場面は変わり ミサ達のほうでは
「しかし黒楽町は本当に広いな、あの道抜ける手前のこっち側には、一体どれくらいの町や集落地があるんだ」多村がたずねる。
「数は分からない、けど広大なのは確かよ、この地域はわたしが契約してるあのスーツのマフィア連中の地域だから、何事もなく歩けるけど、実は他の地域には他の取り仕切ってるグループがいるの」
「そんな、あいつらだけじゃなかったのか?他のグループ? じゃもし他の連中に見つかったら?」
「命は無いわね、でも大丈夫よ、わたしが探している地域はあのスーツの連中のシマよ」
「でも、もし妹が他の地域に向かってたとしたら、探せないんじゃ?」マサが言った。
ミサは小声でつぶやいた
「それはないはず」
その時だった
三人組の男が手に棒を持って近寄って来る
「そこの三人、持ち物を全部置いてけ」
ミサはため息をつくとすぐ様、ポケットから銃を取りだし突きつけた
「ひぃぃぃっ」
「去りなさい、撃つわよ」
二人の男はすぐさま逃げたが、一人の男は躊躇せず向かって来る
ミサは引き金に手をやり、銃を撃とうとする
その時だった、多村は男にタックルして、不意をつかれた男は地面に倒れた「おい お前 あっちにいけ」
「くそっ」
男は倒れた体勢で、完全に銃口を避けられない事が分かり、逃げて行く
「来たら、撃ったから、余計な事しなくて良かったのに」
「むやみに人を殺しちゃいけない」多村はミサを叱る様に言った。
「あなたに指図されたくない」
場に険悪なムードが走る
「先を急ぎましょう」ミサは吐き捨てるように言い、歩き出した。
そして光堂の所では
「君のお姉さんは、命をかけて黒楽町まで来て君を探してるんだ、さあ、一瞬に帰ろう」光堂が少女に状況を説明する。
「あなた何を言っているの?」
少女は光堂の顔をみるや否や、なにやらハッとした表情を浮かべた。
「あなたは?わたしを助けてくれた」
「えっ?」
「でも、どうしてここに、ヘブンズロードを抜けるって」
光堂は少女の言葉にすぐにピンときた。
間違いない、この子は、こっちの世界の俺に助けられたんだ。
「聴きたいことがある、俺に似たそいつはヘブンズロードに向かったんだな、何の為に?」
「えっ、あなたは違う人なの?そっくりだけど。なんだかこれから、こっちに来る人達をもとの世界に返したいとか、そう言っていたわ」
やっぱり、こっちの世界の俺は何かを知っているんだ。
「とりあえず、一緒に行こう お姉さんのもとに案内する」
「えっ私に姉なんていないわ」
「なんだって?」
光堂の頭は一瞬真っ白になる
「あなた組織の連中ね、わたしは捕まるくらいなら、ヘブンズロードを抜けてやるわ、もう決めたのよ」
「待って、俺は違う。君の姉さんと言ってる人に、君を捜すのを頼まれてたんだ」
「だから、私に姉なんか」
少女は何かに気づいたような顔をした「分かったわ、あの組織のボスの娘ね」
「あなた達騙されてるわ、私が彼らに捕まったら、この黒楽町は地獄と化すわ」
光堂には、この少女が嘘をついてるように見えなかった。
「お願い、わたしをヘブンズロードまで逃がして、私には、もうそこを行くしか道がないわ、今更自分の命も惜しくない」
光堂は悩んだ、ミサとの約束を破ったら、多村とペレーはこの町から出られなくなる。
ただ、この娘を渡して本当に無事にすむのか?
この少女の言ってる事は本当なのか?
それとも、逃げる為の嘘?
光堂はふと、その少女の目を見る。
真剣な眼差し、必死に何かをやり遂げようとしている嘘のない本当の瞳だった。
嘘をついている様には見えない。
光堂は咄嗟に手をとる
「走れ、今ならヘブンズロードまでバレずに行ける」
二人は全力で走った
「ありがとう」
くそっ、俺はなにしてるんだ。
多村とペレーは、どうこの町を出ればいいんだ 頭は真っ白だった。
だが、嫌な予感がしたのだ。もしこの子の言う事が本当だったら。
俺達は全員無事には済まない…
それならば、とりあえず、この娘をヘブンズロードまで連れて行き、見つからなかった事にすれば策を考えられる、今考えられるのはそれしかなかった。
光堂は自分の直感を信じた。
その時、光堂が走っている所を、ペレーが見つける。
「あっ、その子は?さすが光堂ウキ見つけたウキね ミサー、光堂が妹見つけたウキ」
しまった 近くにいたのか?
光堂達は、止まらず、全力で走りつづけた
「どうしたウキか? 光堂?」
「あっちの方角よ」少女は光堂に、ヘブンズロードの方角を案内している
一人歩いているペレーは感じていた。
何で光堂は少女と一緒に走ってるのか?
そして、ペレーは状況を理解した。
そうか カケオチ ウキっ!!
ペレーの顔は赤くなり照れていた。
二人は後ろを振り向かず、ひたすら全力で走り続けている
「入ったら二度と戻れない 良いのか?」
「何とか最後の最後まで生きて逃げ延びる事を考えました。 でも、もう他に方法もなく、自分で死ぬのも、何だか自分に申し訳なくできなかった。それで最後の手段がヘブンズロードを抜けてみる事でした」
真実と、少女の語る言葉の内容は、まだハッキリと分からなかったが、光堂は娘を信じることにした。
あっ、ここは
そう、この紫がかったモヤの場所は…
二人は辿り着いた
その時だった
「待ちなさい」
車から降りてきたのは銃を構えたミサだった
どうやら、もう一歩の所で追いつかれたようだ。
車には みんな乗っていた。
突然、仲間に向けて銃口を向けるミサに、みな驚いている。
「何をしてるんだミサ?」
「あなたは、ここに必ず来る、そう思ったわ。警備もしいてたのよ」
さっき道を見ては、拝んでいた男。そいつがポケットから、銃を取りだし立ち上がった。
「光堂 わたしを裏切るなんて冷たいじゃない。仲間じゃなかったの?交渉決裂ね まぁ、もともと生きて帰す気はなかったけど」
しまった、失敗だ もう逃げきれない
光堂は手を握りしめ 歯を食いしばり立ち尽くしていた。
クソッ
どうする?
どうすれば?




