プロローグ
確かにあのとき、俺たちは死んだ。
どうしようもなく、現実的に、トラックにひき逃げされた。
あぁ死にたくないなぁ、とかそんなのことを考えていた。
でも気づいたら俺たちは白い光に包まれた部屋にいた。
白い光に包まれた部屋というか、回り一面白一色だったというべきか。
見えるべき壁の様なものはなく、どこまでも広がる草原のような場所だったのだ。
はねられたはずの体は痛くない。
一瞬、自分の体が医療機関によって治療されたのかと考えたが、その考えは的を得ていないだろう。
だってここは病院でもなんでもないだろうから。
そこには3つの机と1つの教卓。
こんなおかしな空間が病院なわけない。
しかしそんなことは気にはならなかった。
天国のような、そんな神聖な場所に思えたのだ。
他の二人にもそのように思えたのだろう。
机には俺たちの名前がそれぞれシールで貼られていて、なんとなく座った。
誰も何も喋らず、ただ死んだという現実に戸惑っていた。
死ぬ5分前には明日の約束を交わしていたのに。
こんな当たり前も死んだら特別なものになることに、驚きを隠せない。
しばらくすると、どこからか一人の女性が現れた。
綺麗な銀髪を後ろで縛って、ポニーテールにしている。
端整な顔立ちからして20代、もしくは10代だろう。
身長も僕らよりかなり上だった。
「きりーつ、きょーつけー、礼♪」
子供のように楽しそうに教卓について、号令をかける。
しかし誰も反応できなかった。
「お前ら暗いなー。長生きできねーぞ?」
女性がムッとした表情になる。
「…俺たちもう死んでんじゃん…」
俺がそういうと、女性は今更納得のいったような顔をした。
「まぁそうなんだけどさ。お前らさ…生きたい?」
なんとも軽々しく言ってくれた。
「そんな簡単に生き返れるの?」
気弱な愛華がおそるおそる尋ねる。
「簡単ってわけじゃないけどね。お前らはそのぶん辛い思いをするだろう。それでも生きたいなら、これからあるものをやる」
「あるものって…何?」
もう1人の気弱な友人、啓太が質問をする。
「これはね、今はお前らを守るためだけに働くけど、5年後にはお前らだけが持つ特別な力になる。それをどう使うかは私は知らない。好きにしなさい」
そう言って、懐から小さな水晶の欠片のようなものをだす。
「名前は『心の願望器』(ハートマインド)。持ち主を救ったり苦しめたりする、使い勝手の悪いチートアイテムさ」
女性がイヒヒと笑いをこぼす。
少し嫌な予感がする。
何か大きなものに、運命に巻き込まれているような。
だけど、俺は…。
「今一度聞くよ。生きたいか?」
「…生きたい!」
「生きたいです…」
「僕も…生きたい」
「わかった。でも忘れないでね、5年後だよ?未来に気をつけて…」
女性は最後まで小さな子供のように振る舞った。
それはまるで子供が無邪気にいたずらをしているような感覚を与える。
「おい、あんたの名前は…」
俺が聞くと女性は少し考え込むような仕草をとらえ、答えようとした。
「私の名前は………」
俺が覚えているのはここまで。
ここで俺の意識は途切れた。
テレビの電源が消えるように唐突に意識が切れた。
そして時は5年後に進む。
頭に浮かんで消えなかったのでつい投稿してしまいました。
ただでさえ亀の歩みなのに…ホントすいません。
でもちゃんと続きも考えてあります。
ゆっくりでも良いというかたは、今後も楽しんでいってください。
ではまたいつか。




