第十二話
(魔法使いが入ったか…)
城の見張り台から、街を見下ろす一人の男がいた。大柄で威厳のあるたたずまい。口髭を生やし、目つきは鋭かった。
(だが、たいした威力はないな…ほうっておくか)
「リシリー様」
男の後ろから声がした。男はゆっくりと振り返る。そこには、若い近衛兵が立っていた。青年はやや緊張気味に男に近づいて、おじぎをした。
「…王がお呼びです。お戻り下さい」
リシリーと呼ばれた男は若者を一瞥し、フッと鼻で笑った。
「新入りか?偉く堅くなっておるな」
「あ、は、はい!本日からお城の警備につくことになりました」
若者は頭を下げたまま、声を震わせて 答えた。
「そんなに緊張していては、王をお守りすることはできんぞ」
「はい!…申し訳ありません」
「いつまで顔を下げている」
若者は慌てて顔を上げた。
「お前の名前は何と?」
「ジョージ・サンダーソンと申します」
リシリーは、ジョージの顔をじっと見つめた。
「ふむ、お前は今喜びに満ちた顔をしておるな。愛するものと名誉の仕事を得た印が見える」
「はい!もうすぐ結婚する予定です」
ジョージの顔がぱっと笑顔になった。
「フッ、そんなことは聞いておらん」
「あ、申し訳ありません!」
「名誉ある仕事をまっとうすることだな」
「はい」
リシリーは、身を低くしているジョージの前をゆっくりと通り過ぎる。
(この男の影に、流れ者の魔法使いの気配を感じるが…)
「街の警備を強化しておけ。立て札の文字が消されていらい、魔法使いが忍び込んだという噂が広まっている」
通り過ぎざま、リシリーはジョージに忠告した。
登場人物の名前を考えるのに、いつも苦労します。結局最後は思いつき…^^;もう少し時代や世界を考えてつけたいと思うんですが、良い名前が浮かびません。ありきたりだなぁ〜