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優しい門番

何時の間にか20万PVに届きそうですし、

登録数も500人を越えました


私の拙い作品をよんで頂まことにありがとうございます。

夏の強い日差しで目の覚めた一樹。

車の中の温度はすでに30度を越えムシムシとしていた。

昨日はトンネルの前で、車の中で寝たようだ。


「はぁあんまり眠れなかったな。

 暑いし、寝苦しいし、なんか体が硬いし、

 やっぱり車で寝るのはよくないわ」


アイドリングストップ&ガソリン代の節約で冷房を付けずに

車の中で寝た一樹はあまり寝ることができなかったのだ。

すぐに、車のエンジンをかけ冷房を付ける。

暫くすると、涼しい風が車内の温度を下げる。


「ああ~、生き返る~

 クーラーはいいね、リリンの生み出した文化の極みだよ」


クーラーで少し冷やされた七甲の美味しい水を飲みながら叫んだ。

現在朝8時過ぎである。


(10時にでればこの足でも約20kの荷物を持ちながら

 1時前にはあの広場につけるはずだ。

 本当だったら車で街までいければいいんだけどな~)


そんなことを考えながら朝飯を食べ、10時まで時間を潰す為に

辺りの散策を行ってみた。

別段珍しいものはなかったが、

辺りにゴミが一つも落ちてないのが気になった。

そして、鳥や小動物なども見かけることは無かった。


(やっぱり、ここに入り込める人間は今のところ俺だけだってことかな?

 タバコの吸殻だったり、ビニール袋の一つくらいは落ちてておかしくないのに。

 それに鳥の1羽だって見ていない。

 まったく不思議な場所だよここは。

 本当は向こうの祠の回りも散策したかったけど

 どんな獣がいるかわからんからな。

 行き成り、熊にでもあったら洒落にならない)


散策に時間がかかってしまったので

一樹は、急いで砂糖と胡椒を麻袋に詰め出した。

9時45分に作業が終り

車の中で少し休憩を取り、麻袋を持って街へ向かった。

途中やはり、痛めた膝が疼きだした。

その旅に一樹は、休憩を取りゆっくりと移動していった。


(無理しても、いいことないから時間も余裕を持って出てきたし)


途中で、膝の痛みが限界に達しそうになったが

気合と根性で麻袋を運ぶ一樹。

どうにか門まで運ぶことが出来た一樹だが、

門の前で一休みする一樹


(ここからが、また一苦労だなorz)


と垂れていたところ、昨日の門番が話しかけて来た。


「どうしたんだ、そんな顔して」


「いや、商品が届いたんですがね

 あんまりにも重たいんで、困ってた所なんですよ」


「何故馬車で街の中まで運び込まなかったんだ。

 その荷物を抱えて、お前が苦しそうに運んでいるのが見えていた。

 街まで運んでもらえばそんな苦労は無かっただろう」


「いえ、遅れを取り戻す為に

 この街まで運んでる時間は無いなんて言うものですからね

 約束の場所で荷物を降ろして、

 さっさと馬車は他の街へ向かったんですよ」


(これで、怪しくはないと思うんだけどな・・・)


一樹は、この解答で怪しくないか不安だったが、

門番はそんな事を気にする様子もなく


「そうか、それは大変だったな

 その量ではかなりの重さになるだろう。

 商人も大変なものだな」


「ええ、私の故郷では、時は金なりと言って

 少しの遅れだとしても、かなりの罰金などを取られることがあるんですよ。

 ですから、その遅れを取り戻す為にこんな事なってしまったんですがね」


そう、日本の常識で言えば

宅配予定時間をすぎることは厳禁だ。

信用問題になりかねない。

その常識が、この世界で通じるかどうかわからないが

自分の故郷の事ではこうなのだという事にして

なるべく怪しまれないようにしたのだ。


「そうか、確かに待ってる時間があれば

 色々な事が出来るだろうな

 時は金なりか、まさにその通りだな」


「これから、この荷物を広場に持っていかないといけないんですが

 考えただけでも憂鬱ですよ。」


「それは確かに大変だな

 よし、俺は今から休憩の時間だからな

 広場まで俺が荷物を持ってやろう」


「いや、悪いですから」


「かまわんさ、

 商人がいなければ街は成り立たないからな。

 強欲な商人は、大嫌いだが

 お前はそんな感じではないからな

 それに荷物の運び料なんて取らないから心配するな。

 困っている人を助けるのは騎士の務めだからな」


「貴方は騎士だったんですか!」


「すまん、正確には騎士見習いだ。

 何度か採用試験を受けたのだが、今だに合格できない。

 なので、こんな所で門番なんてやってるんだが

 でも、いつかは騎士になるぞ

 その為にも、騎士の心得ぐらいはしっかりと実践しておきたいのさ」


「そうですか、ありがとうございます。

 自己紹介が遅れました。

 私は斉藤一樹といいます

 斉藤が苗字で一樹が名前です。

 こちらの呼び方だと、一樹斉藤になると思います。

 荷物の件、申し訳ないですがよろしくお願いします」


「平民なのに苗字があるのか

 斉藤の故郷は少し変わっているのだな

 俺は、ハルクだ。

 騎士見習いのハルクだ。

 俺のことはハルクでいいぞ」


「では、私のことも一樹で構いません」


「そうか、では一樹

 この荷物を広場へ運べばいいんだな

 すまんが何処の広場かわからんので案内を頼む」


そう言ってハルクは重たい荷物を軽々と抱えた。

一樹はこちらですと案内をしながら歩いた。


「それにしても、この街は随分と立派ですね」


日本に比べれば大したことは無いが

それでも、道はレンガのようなもので舗装され

道幅も広く作られている。

上下水道まで整備されているかはわからないが

廃棄物や糞尿の臭いもしない。

中世ヨーロッパ並みだと考えると綺麗なほうだろう。


「ああ、街を綺麗にするのにかなりの増税があったからな

 その所為で、多くの人間が貧民街に行くことになってしまったよ。

 私は、腕っ節が強かったので騎士見習いとして仕事が出来たが

 それがなかったら今頃私も貧民街で生活していた所だよ。

 街を綺麗にすることに関しては反対しないが

 税を上げてするべきことではないと思っているよ」


(それで、こんなに綺麗なのか

 でもそれやっちまったらヤバイだろ・・・

 生活出来ないほどの増税なんてやってよく反乱が起きないもんだ)


「そうですか、この街の皆さんも大変なんですね」


「ああ、大変なんだよ」


そうやって話しているうちに

広場に到着した一樹。

昨日同様に広場には人たかりが出来ており、

昨日の奴隷商の男は、すでに広場で待っていたのだ。


「ハルクさん、ここで大丈夫です。

 有難うございました」


「そうか、何か困ったことがあったら

 この俺に言ってくれ

 騎士として、相談に乗ってやろう」


「騎士見習いじゃないんですか?」


「常に騎士の心得を実践することが騎士になる為には大事なんだ」


そう言うと、颯爽とハルクは帰っていった。


(いい人だったな。

 これから、あんまり関わり合いたく人と

 商談の話をしないといけないのか ハァ~気が重い)


一樹はそう思いながら奴隷商人と向き合ったのだった。



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