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いきなりケモミミですか

第一話はこんな感じになりました。




一樹はトンネルを抜けて驚いた。

入口は、完全にトンネルだったにもかかわらず、

出口は、祠のような作りになっていたからだ。

山の麓の祠といった感じだろうか。

祠の周りには森になっており、あたり一面に緑が広がってる。

祠の出口からは、真っすぐに道が出来ているが、

舗装などされておらず、ただ土を叩いて平らにしたような農道のような作りだった。

ここから少し離れた場所には、ヨーロッパ風のお城が見える。


(あの城は、テーマパークか何かなんだろうか?

 こんな所でテーマパークが作られていたなんて知らなかったな。

 工事中の看板は出ていないようだし、すでに完成してるのかな?

 ちょうどあの道もお城に向かって伸びているみたいだし、

 あの城目指して歩いて行けば何かわかるかな?)


そう言って道を進むこと約30分。

森を抜けると視界が開け、お城の周りには街があることが分かった。

中央に小高い丘があり、そこにはローロッパ風の城が立っている。

城の下には家が立ち並び、その街を城壁が囲っていた。

四方に門があり、街のから少し離れた場所には川が見える。


(お城だけじゃなくて、どうやら街まであるみたいだな。

 随分大規模テーマパークみたいだ。

 こりゃTDKくらい立派だな。

 雪と一緒に来られれば楽しかっただろうな。)


ふと雪江のことを考えてしまった一樹だが、

もう終わった事だと考えるのをやめ、街へ向かって歩き出した。

更に30分ほど歩くと、ようやく街を囲っている城壁の門に辿り着いた。

門の前では、門番らしき人物が立っていて、

正に中世ヨーロッパを彷彿させるもので一樹を驚かせた。


(こりゃすげ~な、

 随分凝ってるし、相当金かけて作ってるよ。)


一樹は、門番役の人に話を聞こうと喋りかけた。


「どうもこんにちは、

 こんな所にテーマパークがあるなんて知りませんでしたよ。

 もうオープンしてるんですか?」


しかし、門番は何言ってんだこいつは?

という顔をしてこう答えた。


「貴様は何を言ってるんだ。

 ここはオストレリア大陸・フランク王国の首都ハイネだ。

 テーマパークとかいう訳のわからん街ではないぞ。」


「ん?オストレリア大陸?

 ここは日本のT県でしょ?

 それとも、これはアトラクションか何かなんですか?」


「お前はさっきから何を訳のわからん事をいってるんだ!

 あとら何とかだのか、ひほんだの、

 さっきからここは、

 オストレリア大陸・フランク王国の首都ハイネだと言っているではないか。」


ここで一樹は、あの看板の事を思い出したのだ。


 【 異世界へのトンネルです 】


(つまりここは、小説や漫画なんかでよくある異世界って奴なのか?

 あの看板はイタズラじゃなくて、本気マジで書かれてたのか。

 しかし、なんで誰もあの看板の事に気がつかない?

 あんなに親切に書いてあって誰も気が付かないなんておかしいだろ!

 確かに俺も最初はイタズラだと思ったさ、

 だけど、ネタだと思っても興味本位であのトンネルまで行く奴は絶対いるはずだ!

 俺がそうだったからな!

 興味本位であのトンネルまで行く奴は絶対いるはずだ!

 大事なことなの2回いいました。

 なのに、何故誰も公表しないんだ。

 それともあれなのか、所謂国家機密って奴なのか、

 あれだけ親切な国家機密もないと思うんだが・・・

 しかし、あれだけの面白看板だ。

 絶対に○チャンネルにあの看板をうpする奴はいるはずだ!

 俺が、面白い看板を見つけたってスレ立ててうpしようと思ったくらいだ。

 絶対にいるはずだ!

 ここも大事なことなので2回(ry

 これはちょっと詳しく調べる必要がありそうだな。)


「そうですよね。

 ここは、フランク王国の首都ハイネですよね。

 すいません。

 どうやら、変な勘違いしていたようです。」


「あんまり変な事をいっていると、

 騎士隊に拘束されるから気をつけたほうがいいぞ。

 それと貴様は、随分と可笑しな格好をしているな。

 旅人がするような格好ではないと思うぞ。」


「変わってますかね?

 これは私の故郷の服なんですよ。」


「そうか、それは悪かったな。

 許してくれ。 

 貴様の故郷を侮辱するつもりはなかったんだ。」


「気にしないでください。

 引き続きお仕事頑張ってください。

 私は、これで失礼します。」


「おい貴様、街でさっきみたいな変なことを言うんじゃないぞ。

 騒ぎを起すようなら今度はしょっ引くからなぁ」


門番の優しい忠告をうけ、

一樹は、街の中に入っていった。


(ここが異世界っていう調べるには、

 街を回って見るのが一番だよな。)


証拠探しの為に、街を色々と歩いてみると、

あちらこちらに、日本語が書かれた看板を見かけた。

周りからは、日本語が聞こえてきた。

日本語が通じるということで、ここが異世界かどうかはよくわからないが、

ここが、テーマパークではないという確信は得ることが出来た。


(明らかにここで生活をしてるって感じだもんな。

 見た感じだと中世ヨーロッパ位の文化程度かな?)


そんな感想を持ちながら、街を見まわっていると、

少し先の広場に人集りが見える。

一樹は、野次馬根性でそれを見に行くと、驚くべき光景が見えた。

可愛らしい女の子が、首輪をつけ鎖で繋がれている。

しかも、人間ではあり得ない耳と尻尾が付いている。


(ありえね~獣人なんて漫画やアニメでしか見たことないわ。(当たり前です)

 これで、ここは完全に異世界に決定したな。

 日本でネコミミと尻尾付けてる人は、

 秋葉原でしかお目にかかったことないからな。

 しかし、この世界には奴隷制度があるのかね?

 あんな可愛い子を奴隷にできるなんてなんでうらやま…ゲフンゲフン酷い世界だ。

 なんとか出来ないもんかね。)


一樹は日本人の道徳観から、

なんとかしてあげたいと思ったのだ。


(本当は俺が買い取って、そのまま逃がしてやるのが一番いいんだが、

 さすがに先立つものが無いんだよな・・・)


どうすればあの子を解放できるのか、

考えを巡らせていると、奴隷商人(以下商人A)の男が喋りかけてきた。


「さぁさぁさぁ、そこの変わった服を着た旦那どうだい。

 珍しい獣人族のメスだよ。

 お値段は300イェンと値が張るが、

 獣人族なんてめったに手に入るもんじゃないからね。

 見てくれ中々の上玉だろ。」


そういって、商人Aは女の子の顎を掴み、強引にこちらを向かせた。

その対応にカチンと来た一樹は、一瞬の閃きでこう答えた。


「ほう~300イェンとは随分値段だ。

 確かに珍しい獣人のメスなら、

 それくらい付いてもおかしくないかもしれないがね。

 俺は、こんなんでも塩・胡椒や砂糖なんかを扱う商人をやらして貰っててね。

 まだこの街では商品を卸してないんで、今手持ちがほとんどないんだが、

 商品との現物交換でいいというなら、

 ぜひとも購入したいと思っているんだがどうだろう。」


一樹は、完全な張ったりをかましたのだ。

中世ヨーロッパ並みの文化なら、

砂糖、塩、胡椒は高級品のはずだ。

もし違ったとしても、自分は田舎物だということにして、

笑われて終わるだろうと考えたからだ。

一樹の発言で、辺りがざわめき出した。


(やべぇこりゃ失敗したかな?

 まぁ笑われるくらいなら全然構わないけど。)


失敗したと考えていた一樹だが、

商人Aは、卑しい顔をしてこう言ってきた。


「旦那~胡椒か砂糖との交換でしたら、

 こちらとしては一向にかまいませんぜ。」


(BINGO)


一樹は心の中でそう叫んだ。


「で、旦那はどれだけの量をお持ちなんですかねぇ?」


「生憎今は手持ちがないんだ。

 荷物の到着が、予定より遅れているみたいなんでね。

 明日の朝までには結構な量が届くはずだ。

 それまで待ってもらえるかな?

 勿論、その分の手間賃は払うつもりだが。」


「その話本当なんでしょうねぇ。」


「ああ本当だとも。」


「わかりやした。

 まぁ、もし旦那の話が嘘でもこっちは困ることはないですからね。

 また明日にでも、こいつを売りに出せばいいだけですから。」


「いいのかい、時は金なりってのが俺の故郷の言葉だぜ。」


「その分しっかり、手間賃を頂きやすからねぇ。」


「ちゃっかりしてやがるぜ。

 では、明日またこの場所この時間でいいのかい?」


「はい、お待ちしております。

 ただし、明日のこの時間までにお願いしますよ。」


一樹は、商人Aの話を聞いてからゆっくりとその場を後にした。


(街から祠まで往復で2時間弱、車で街の往復で1時間。

 今はまだ1時前か。

 普通なら、日が暮れるまでにはここへ戻ってこれるんだが、

 オストでの砂糖や胡椒の相場も調べて置きたいからな。

 値段によっては下手をすると、

 この足で相当な量の胡椒と砂糖を運ぶことになるかもしれないしな。

 そうなると、かなりの時間がかかるし、

 さすがに、膝が持たないかもしれないからな。

 それに、夜の街や森が安全なのかもまだ確認出来てないから、

 あんまり遅くなる訳にはいかないし。

 明日の約束を、商人Aが守らない場合は、

 可哀想だけどあの子には諦めてもらうしかないな。)


その後、街を回ってみたが、

砂糖と胡椒を扱う店を発見することは出来なかった。


(だめだ、売ってね。

 仕方ないから明日はでたとこ勝負でいくしかないな。

 まぁ、10㎏ずつ買っていけば量に問題ないだろう)


そう思いながら、

暗くならない内に、急いで祠へ戻る一樹であった。



4月19日に修正しました。


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