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監視小屋ですか?いいえ牧場です

一樹は、街の中を足取り重く歩いている。

取りあえず、昼食をとる為に例の飯屋に向かう一樹。

その後ろには、お互いを親の敵だと言わんばかりの表情で睨みあう二人。


(ハァ~なんだかとんでもないことになっちまったな。

 しかし、こっちの事情も聞かずに、

 婚約者候補だなんて、ミラーノさんも強引だな

 確かに、ミミも櫛名さんも可愛いから嬉しくなくはないんだけど、

 やっぱり、こっちで結婚ってのは今は考えられないな。

 まぁ、今は忘れよう)


婚約者候補については、忘れることにした一樹。

そんな一樹に櫛名が


「一樹さん、お食事の後はどうなさいますか?

 ミミさんのお話だと、選人の森の近くに土地の借りたいという話でしたので、

 よろしければお食事後、私が国土管理局のほうまでご案内しますけど。」


う~んと一樹は考えて、


「まずは、土地の借賃の相場とか調べたいですね。

 どうすればいいですかね?」


すると、櫛名は困った顔で


「土地の借賃に相場といものは在って無いようなものなんですよ。

 管理局に勤める貴族が決めることですから。

 担当する貴族によって値段は区々になります。

 袖の下を渡さないと、法外借賃を請求されたりするそうです。」


すかさずミミが、


「そうなのよ。

 森での狩場料が、一人年600イェンって言われたことがあったわ。

 そんなに稼げるわけないのに。

 狩の名人のパパですら、年500イェン稼ぐのがやっとなのに・・・」


何度も交渉して、現在は年間200イェンまで下がっているそうだ。

ちなみに、亜人達は狩りで得た獲物は、基本的に自分たちで消費してしまう。

稀に、大量に獲った場合は街の商店に卸したりするそうだが、

基本的には、塩漬けにして保存し貯蔵するそうだ。

では、どうやって狩りでお金を稼いでいるかというと、

毛皮、皮、骨といったものを加工し、

それらの加工品を店に売りお金を稼いでいるそうだ。

日本でも、毛皮のコートなどが高額で売買されているように、

オストでも、防寒具として毛皮は重宝されているそうだ。


「それに、一樹さんの考えで土地を借りるのは少々難しいかもしれませんよ。」


「それは、どうゆうこうですか?」


櫛名が理由を説明してくれた。

つまり、畑や牧場以外での土地の使用は基本的に禁止なのだそうだ。

というより、それ以外の目的で土地を借りることがないそうだ。

なので、倉庫兼監視小屋という名目では、

土地を借りることが出来るかどうかわからないそうだ。


「そうだよな。

 確か、街の外に住むのは禁止されてるんだっけ?

 それじゃあ、倉庫兼監視小屋だと厳しいかもしれないな。

 それなら、牧場ってことで土地を借りることにするか。」


牧場なら、居住申請も通るはずなので、

小屋を建てても問題はない。

牧場で飼う動物も、ミミ達が狩る動物を生け捕りにして、

肥育でもしてるように見せかければ問題ないと考えたのだ。


「そうね、牧場として借りるなら問題ないかもしれないわね。」


ミミがそう言うと、櫛名も頷いて見せた。

どうやら問題ないようだ。


「土地の借り受けの申請なんだけど、ミミに任せていいかな?

 ラステさんに聞けば申請方法とかわかるだろ。

 狩場の使用料とかでそうゆうの慣れてるわけだし。」


ラステに任せるのには理由がある。

目立ちたくないというのもあるが、

その以外の理由として、一樹自身が牧場に住む訳ではないからだ。

居住しない人間が、土地の使用許可と居住の申請をするのもおかしな話だと思った一樹は、

その牧場に住むことになるであろうミミと護衛の4人に、

申請をやってもらうことにしたのだ。


「私が申請するのはちょっとまずいと思うわよ。

 申請するときには、耳と尻尾隠さないと無理だし、

 今は隠さずに行動してるから、それを見られてないと言えないわ。

 だから、あの4人にやってもらうことにするわ。」


ミミの言う通りである。

今のミミの姿を、国土管理局の人間が見ていないとはいえないのだ。

実際には、貴族の人間はこんなところ歩くことはないので、

問題なかったりする。


「態々危険を犯すこともこともないか。

 それじゃ、あの4人に頼むか。

 やり方はラステさんに聞いてもらって、

 ラステさんが知らないようなら、他の土地を借りている亜人に聞けばわかるだろ。」


「わかったわ。

 4人には、私から話しておくわ。」


すると、今度は櫛名が、


「一樹さん。

 その他にも、小屋を作るために森の木を材料に使うなら使用料がかかります。

 ですから、そちらの使用料も支払っておいたほうがほうがいいと思います。」


確かに、日本でも他人の土地の木を勝手に切ったりすれば犯罪だ。

森の木を材木として利用するなら、その使用料を支払うのは当然のことだ。


「それもついでに払っておいて貰おうかな。

 両方で、どれくらいかかるんだろ。

 森の木の使用料は結構かかりそうだな。

 一緒に払えば使用料安くなったりしないかな?」


すると、櫛名は苦笑いを浮かべ


「ありえませんよ。」


「そうだよね。

 ミミ、使用料のお金は後で渡すから4人に渡しておいてくれ。

 さすがに、1000イェンあれば足りると思うんだ。」


「わかったわ。

 でも、今渡しても大丈夫だと思うわよ。」


そういうと、護衛の4人のうちの一人がさっと一樹の前に現れた。

実はこの男、貧民街からずっと影から一樹を護衛していたのだ。

そして、山猫族の耳の良さで今までの会話をずっと聞いていたのだ。

ちなみに、猫はものすごく耳がいい動物なのだ。

護衛の男は手形を受け取ると、また一樹から離れていった。


(別に別に影から見守るとかしなくていいから、

 一緒についてくればいいんじゃね?)


しかし、一樹の認識は間違いである。

影ながら護衛するのは理由がある。

街中でも護衛が必要な人物など、裕福だと言っているようなものだ。

そうなると、無用な危険を呼び込む可能性がある。

それに、もし街中で数人の男に絡まれても、

ミミなら問題なく処理出来るのだ。

しかし、万が一ということもあるので、

4人は影ながら一樹の護衛をしているのであった。


「まぁ、腹減ったから飯屋に急ごうか」


そう言って、3人は飯屋に急ぐことにした。



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