門番の意味
大分久しぶりの投稿になります。
失踪はしませんよ
絶対に作品は終わらせます。
PVも評価もとんでもないことになってますね
こんなにも評価して頂けるとは思っていませんでした。
翌朝、目を覚ました一樹は
朝食を食べながら、これからのやる事を考えていた。
朝食は、日本の朝の定番
鮭の切り身、納豆、冷奴、味噌汁とご飯がついて350円と
とてもリーズナブルだった。
(まずは、薬の定期的な購入資金の為に
砂糖と胡椒を換金しないといけないよな。
でも、定期的に薬を購入するより、専属で薬師を雇ったほうが安く済よな。
口の堅い薬師を見つけるのも骨が折れそうだから
例の竜人族も薬を作れるようだし
龍人族を薬師として雇うのもありかもしれないな。
砂糖と胡椒も一度に大量の市場にだすと
値段が暴落するし、買い叩かれるから、少量ずつ出していかないといけないよな。
それと、胡椒と砂糖以外にも、売れそうなものも調べておかないと
資金繰りが大変になりそうだ。
胡椒以外の香辛料は売れないもんかね?
胡椒以外の香辛料となると・・・カレー粉といけるかもしれないな。
カレー粉は肉の臭みを取る万能調味料だ。
しかし、そうなってくると輸送も面倒になってくるな
砂糖や胡椒も㎏単位での輸送になると、俺一人だとかなり大変だ。
出来れば、森の近くに倉庫でも建てるべきだよな。
それなら、祠と倉庫間をリアカーで往復するだけで済むし
倉庫に保管しておけば、一度の大量に持ってきても大丈夫になる。
倉庫の番人兼、森から町までの護衛役を兼ねれば
俺も安全に街まで移動出来るしな。
そうなると、森の近くの土地を購入しないといけなくなるな。
土地の購入方法ってどうやればいいんだろ?
そもそも、土地自体売買可能なものだろうか。
色々と情報を集めていくしかないか)
朝食を食べ終えた一樹は
道中の水分補給用にペットボトルを買い
例のトンネルへ向かって、車を走らせるのだった。
トンネルについた一樹は、車の中に置いておいた手形と、
ペットボトルを鞄に入れ、胡椒と砂糖は置いていった。
(砂糖と胡椒は一先ず置いておこう。
まだ、1800イェン分の手形があるし
薬を買う分にはこれで足りるだろう。
今日は、薬を買うだけでいいな。
薬は、ダンボールに詰めて自宅に送ればいいし
後は、父さんがうまくやってくれるだろうし。
土地の購入方法なんかが分かったときにでも
砂糖や胡椒は持っていけばいいだろうし。
それに、砂糖と胡椒の適正価格を調べないままに
サムエさんの店に卸すと絶対に買い叩かれるからな)
あの時は、あの悪徳商人のいい値で買い取られることに
我慢できなかったので、あの値段での売り渡したが
サムエに買い叩かれた感のある一樹は
今度は、事前に値段を調べて売り払おうと思っていたのだ。
(それとも、砂糖と胡椒の卸売り店でも開くほうがいいのかな
自分で直営店を持って
店のほうは、長時間姿を変えることの出来る
亜人に任せれば、悪目立ちすることもないだろうし。
卸売業者として小売業者に対して
安く卸せば、そんなに非難は受けないだろう。
やっぱり自分だけ儲けたりするのはよくないからな
すでに、夜道を一人で歩けなくなってそうだし
いつ、暗殺とかされるかわからんからな)
日本の物を色々な物をもってきて販売すれば
あっという間に、億万長者になれてしまう一樹だが
やり過ぎて悪目立ちしてしまうと
嫉妬やその財産目当てで、命を狙われることになる。
すでに、一度狙われているので
色々と慎重になっているようだ。
(何より、こっちの商売方法もよくわからないからな
行商人をしたり、店を持ったりするのに
届出とか必要ないのかね?
その際に戸籍の提出とかしなきゃいけなかったりしたら完全にアウトだな。
そうなったら、代理で誰か雇えばいいだけだけど。
それより、税とかどうなってるんだろ。
前回の売買に税がかからないのかな?
普通は、門番なんかに通行税として、
商品の1部だったり、それにかかる税だったり払うもんだけどな。
それ以前に、街に入るのに通行証とか必要ないのかね
普通に素通り出来たけど
その辺りも調べなきゃいけないな・・・
どんどん調べなきゃいけないことが増えていくな)
色々考えながら歩いているうちに
気がつけば城門の前まで着いていた。
門番として、ハルクが立っていたので
一樹は、ハルクに向かって挨拶をした。
「こんにちは~
いつもお疲れ様です。ハルクさん」
「おお一樹か、
それよりも、あんまり一人でこの辺りをうろつくのは関心しないぞ
魔獣にでも襲われたらどうするんだ
俺たち門番が見える範囲でなら、助けに行くことも出来るが
それ以外での場所で襲われたらお仕舞いだぞ」
「ハルクさん
街の近くで魔獣なんて出るものなんですか?」
一樹はびっくりしてハルクに尋ねると
ハルクは少し呆れた顔を答えた。
「おいおい、一樹の故郷はそんなに安全なのか?
街から一歩でも出れば、魔獣に襲われるなんてこの辺りでは常識だぞ。
勿論昼間に襲われることは、滅多に無くなったし
最近では、護衛もつけずにウロウロする奴も多くなった。
それでも、安全だと言える状態ではないんだぞ。
俺たち門番は、魔獣が街に入ってこないよう見張りをしてるし
近くに現れた魔獣の駆除が仕事なんだ。
最近は、その事を忘れてしまって
『門番なんて立っているだけで楽ですね』なんて言ってくる輩もいて困っているんだ」
そう、この世界の門番は魔獣から街を守るためにいる。
街が城壁に囲まれるまでは
街を魔獣の群れが襲ってくるなども、度々あったのだが
現在では、城壁に囲まれ安全となったハイネでは
魔獣が群れで街を襲うなどの大事件もなくなった。
あっても、1.2匹の魔獣が門番に向かって
襲ってくるような小さな事件が起きるくらいで
街の近くで、魔獣を見かけることもほとんどなくなり
門番の不要論が上がっているようだ。
(こっちの世界の門番は
街に入ってくる商人の監視や、税の取立てにいるわけじゃなくて
魔獣対策としている訳か。
だから、俺でも素通りできたんだな)
「そうなんですか。
なんだか、ハルクさんも大変ですね。
門番は絶対必要だと思いますけどね。
何か遭ってからでは遅いですし
もし、魔獣が群れで襲って来たら
城門を急いで閉めたりするのも、門番の仕事ですしね」
「それを、分かってくれない奴が多いから困ってるんだよ。
俺達門番の給金は、税から出てるからな。
俺たちがいなくなれば、少しは税が安くなると思ってるのかもしれないな。
俺達がいなくなっても、税が安くなるなんてありえないけどな」
苦笑いしながら、ハルクはそう言った。
「門番は全部で20名しかいないんだ。
20名程度の給金がなくなったところで
税の負担が少なくなるなんてことはないだろうしな。
それに、この仕事は給金も安くて、休みも少なく、労働時間も長い仕事だ」
門番は12時間の交代制で、休みは不定期
昼間は多少安全なのだが
夜は、魔獣との遭遇率も高く結構危険なのだそうだ。
給金も、月20イェンと命の掛けている割にはあまりにも少ない。
門番は、騎士見習い扱いなので
騎士への昇格があるとはいえ
騎士になれるのは、ほんの極一部で
コネがない者は、余程実力がなければ騎士になることは出来ないそうだ。
「かなり大変な思いをして
街の安全を守っているのに、分かってもらえないのは悲しいですね」
「まぁ俺はなんと言われようとも、
この仕事を頑張るだけだけどな。
そして、いつか騎士になるつもりだ」
「そうですね、頑張ってください。
お仕事中に話しかけてすいませんでした。
では、失礼しますね」
「気にするな
では、一樹も仕事頑張れよ」
仕事中にいつまでも話しているのは悪いと思った一樹は
会話を切り上げ、ミミの待っているだろう
貧民街を目指して歩き出したのだった。
叱咤激励の感想や
こうしたらいいんじゃないかなどの
アイデアなどお待ちしております。