大友レポート
前回からかなり時間がかかってしまい
本当に申し訳ないです。
今回少し短いですねorz
道の駅に到着してすぐに
先日は、入ることの出来なかった温泉に入り疲れを癒す一樹。
風呂は、日本人の魂だ
そんな気持ちで温泉を楽しんだ一樹だった。
温泉を楽しんだ後は、T県の郷土料理を楽しんだ。
道の駅には、郷土料理店や地元物産展などがあり
時間を忘れて楽しむことが出来るのだ。
一通り楽しむと車に戻り
大友のレポートを読んでみた。
このレポートには、まだ自分の知らない情報が眠っている可能性がある。
読んでおいて損はないと思ったからだ。
レポートを読んでいるうちに意外な事実がわかって来た。
神隠しが初めて確認されたのは、江戸時代初期の約1600年付近。
他にも、神隠しに合った人はいると思われるが
それ以前の資料が残っていないので、確認のしようがない。
なので、この人が神隠しの第一被害者となっている。
第一被害者の話
村から一人の女性が、忽然と姿を消したそうだ。
江戸時代であれば
辻斬りや、追剥などに巻き込まれた可能性が考えられるし
食い扶持を減らす為に殺すなども日常で行われていたのだ。
本来であれば、そこまで大きな事件とはならないはずなのだ。
しかし、その女性が村の地主の娘だった事で
村人総出で探し回る大事件となった。
しかし、どんなに探しても見つけることが出来なかった。
村人達は、娘は神隠しにあったのだ。
山の神様に捧げられたのだと噂するようになったそうだ。
神隠しから幾分時がたち、村人も事件を忘れかけたある時
娘がひょっこり帰ってきたのだ。
大いに喜んだ地主であったが、娘はすぐに戻らないといけないと言って
すぐに、姿が見えなくなった。
そうやって、何度も戻ってきては姿を消し
地主を大変困らせたそうだと記録が残っている。
第二被害者の話
次の神隠しの被害者は蛇沼の伝説に出てきた青年である。
青年は、村周りの最中に
祠近くで休憩中いきなり姿が見えなくなったとされている。
この件に関しては、一緒にいた同僚の男性の証言が残されているという。
40石と微禄であるが、この青年文武両道に優れ
将来を期待されていたので、これも大事件となったらしい。
この青年は、そのまま二度と戻ってくることはなかったそうだ。
第三被害者の話
江戸時代中期に、寺子屋の教師の男が突如行方不明になった。
それから、一月ほどしてその男は戻ってきたが
まだまだやり残したことがある。
妻と子供が心配なので
一時的に帰ってきただけだ。
これからも、ちょくちょく帰ってくる。
そう言って、また姿が見えなくなったそうだ。
その言葉通り、教師はちょくちょく帰ってきては
すぐに姿が見えなくなった。
しかし、帰ってくるたびに妻に金を渡していたので
子供と妻の生活は問題なかったようだ。
しかし、その事を大名に知られ
男は捕らえられてしまった。
金の出所を一向に教えない男は処刑されてしまったそうだ。
第四被害者の話
江戸時代中期には、たまたま村を訪れた医者が行方不明になる。
この医者は本道を修めており
善意で辺りの村を見て回っていたそうだ。
井戸に水を汲みに行くと言って出て行ったきり
戻ってこなかったそうだ。
本道とは、漢方などの処方を行う内科医のことだ。
第五の被害者の話
江戸時代後期には、農家の三男坊が
家の倉庫を調べている最中に行方不明になっている。
上記に書いてあるとおり、この時代の農民の行方不明など
大して珍しい事ではないが
この三男坊も地主農家の家のもので
ある程度の教養もあり、武芸も嗜んだようだ。
しかも、自分の家の倉庫で行方不明になったのだから大変な騒ぎとなった。
この三男坊も、姿が見えなくなったかと思えば
戻ってくるを繰り返していたようだ。
地主農家では、田んぼを継げるのは長男だけだったので
次男や三男などの他の兄弟は、商家に奉公に出されたり
医者や、僧侶になったりするため
上記の地主のように、家族を大変困らせたようだ。
第六の被害者の話
明治中期には、兵庫県で塩の生産方法を学んでいた男が
帰省の最中に神隠しに合い
そのまま戻ってくることはなかったと書いてある。
この男は、向こうの世界で入り浜式塩田を広め
向こうの塩の生産に大きく貢献した男で間違いないだろう。
いずれも裕福な家の者であるか
あるいは、ある程度教養をもっている者が
神隠しに合っていることがわかった。
(これは一体どういうことなんだ?
すべて、向こうの世界にとって有益になりそうな人間だけが
神隠しに合っているような感じだ)
レポートを見る限りは、そう思えても仕方ないのだ。
他にも、神隠しに合っている人がいるのかもしれないので
そう結論づけるのは早いのかもしれないが
(何か陰謀めいた雰囲気がするけど
こっちじゃ調べようがないし、
剣と魔法の世界にありがちな、召還魔法とかがある訳じゃないからな。
偶然なのか、それとも神の導きとかその辺りなのか
こればかりは、考えてもしょうがないかもしれないな
まずは、向こうの世界で情報を集めないと。
向こうの世界に有益な人間だけが神隠しに合うとしたら
俺も何か向こうでやらないと不味いのかもしれんからな・・・
まぁ、単純に昔の資料に残るような人は
お金持ちか教養のある人物だけだったって可能性が高いけどな。
それに、向こうの世界の公用語が
日本語になってる点で、神隠しにあった人物の誰かが
向こうでかなりの地位になっていた可能性があるし
もしかすると、捕まって奴隷のような扱いを受けていたかもしれないからな)
この神隠しに、どんな陰謀があるのかわからないが
もしかすると、そんなものないのかもしれない。
それを考えてもしょうがないと割り切り
一樹は仮眠室で眠りについたのであった。