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病の改善

血清クレアチニン値 検査ですが

当日に、検査結果が出るものなのか作者には分かりません

ですが、小説ということで許してください。

翌日父親は、朝早くから病院へ検査を受けに行った。

母親は、お父さんが仕事を休んで病院に行くなんて

珍しいこともあるものねと言って

父親を送り出していた。


(父さんは、母さんに何も言ってないのかな?

 まぁ、いずれ父さんから話すだろうし

 検査結果次第で、落胆させる必要もないか

 結果が出てから、報告すればいいんだし)


一樹は、父親病院に行っている間パソコンを使って

T県の御伽噺や伝説について、少し調べてみた。

大友さんが、話してくれたものとあまり変わらず

昔、神隠しが起こったこと

そして、そのまま戻ってくるものもいれば

戻って来ない者もいたと書かれている。

しかし、一つだけ面白い話を見つけることが出来た。

T県T町の近くの山中には、蛇沼と呼ばれる沼があるそうだ。

その沼には、昔から大蛇が住んでいるとされ

その大蛇の血を飲むと

どんな病でもたちどころに治ったという言い伝えが残っている。

その伝説の名残なのか

町では、正月に一年の無病息災を祈り

蛇に似せた、荒縄を奉る風習が残っているそうだ。


(もしかして、この大蛇って

 向こう世界から来た魔獣か何かなんだろうか?

 つまり、波長みたいのが合えば向こうからも

 こっちの世界に来られるってことかな?)


その他では、特に変わった情報を得る事は出来なかった。

一応○ちゃんねるで、検索も掛けてみたがヒットすることは無かった。

ついでに、T県にある面白い看板うpスレを立ててみたが

2時間後には、スレ落ちしていた。

そんな事をやっている間に、あっという間に時間は過ぎ

父親が、病院から帰ってきた。

そして、一樹の部屋にいのいち番にやってきた。


「ただいま、一樹」


「ああ、お帰り父さん」


「今から話があるんだがいいか?」


どうやら父親は、すぐにでも検査の結果について話したいようだ。

一樹としても、すぐにでも聞きたいことだったので

父親には、部屋に座ってもらった。


「結果から言うと、この薬の効果は本物だ」


「病気が、改善されたんだね

 よかったよ父さん」


「ああ、血清クレアチニン値検査を行ったんだが

 血清クレアチニン値2.2mg/dLまで下がっていたよ。

 もう、人工透析は必要なくなった」


そういうと、父親は目に涙を浮かべていた。

一樹も、父親の病気が改善され本当に嬉しかった。

一樹の父はこれでも、有能な商社マンだった。

まだ、一樹が小さな頃は家にいる事はめったに無かったし

単身赴任で、数年家に戻らないこともあった。

しかし、病を患ってからは

今まで勤めていた営業1課から、社内情報処理課に移ることになった。

本人は、病気でもう激務は無理だから仕方ないとは言っていたが

やはり寂しそうだった。

ちなみに、課長から部長補佐と昇進しているので

厄介払いという訳ではないようだ。


「これでもう大丈夫なの?」


「いや、まだ第4期から第2期にまで改善しただけだ

 いわゆる、腎機能障害というやつだな」


腎機能障害は4段階に別れており


第1期


腎機能の低下(予備能の低下)

腎機能(濾過能力)が70~50%に低下。

腎臓の予備能力で働きは維持され、特に症状は出ない。


第2期


腎機能の障害

腎機能は50~30%に低下。

血清クレアチニン値が正常の範囲を超えて2mg/dL以上になる。

人によって症状が出てくる。


第3期


腎不全

腎臓の機能が30%~10%に低下した段階。

血清クレアチニン値は3mg/dL以上になる。

腎不全の症状が出る。

薬での治療、食事療法を行う。


第4期


末期腎不全

腎臓機能が10%以下に低下した段階。

血清クレアチニン値は8mg/dL以上。

この段階では尿がほとんど出なくなるので

尿毒症が起き、各種の重大な症状を起こして命に関わる。

透析か腎臓移植が必要になる。

このようになっている。

つまり、末期腎不全から、腎機能障害まで回復したことになるのだ。

現在、腎不全は不治の病と言ってもいい病気である。

腎移植以外の方法で、病状が回復することが出来ないのだ。

これはまさに、奇跡と言っても過言ではない。


「それでも、元の部署に戻って仕事が出来るんでしょ

 本当によかったよ」


「いや、元の部署に戻る気はないが

 その事で、一樹と話をしようと思ってたんだ

 一樹としては、この薬をどうしようと思ってるんだ

 この薬の効果は、実証された。

 まだまだ、治験などをしなければならないが

 腎不全が治るような薬だ。

 他の病気にも期待できるだろう」


そう、腎不全のような病気に効果のあるのなら

他の様々な病気にも効果が期待できる。

もしかすると、癌の特効薬にさえなるかもしれないのだ。

この薬、扱いを間違えれば大変な事になるのだ。


「俺としては、まず父さんがよくなればって思ったんだ。

 確かに、少しでも効果があれば

 この薬を販売しようとは思ってたけど

 ここまで、効果があると俺には扱いきれないかもしれない」


そうなのだ。

成分も製法も秘密の薬だ。

大手を振って販売することは難しいだろう。

ましてや、魔法の産物だと公表することも不可能だ。


「そうだな

 まずは、販売方法は置いておくとしよう。

 それは、これから考えていけばいい。

 まず、この薬の成分だが

 一樹は知っているのか?」


「いや、俺にもわからないんだ

 でも、成分を調べても仕方ないと思うよ」


「それは、どうゆう意味だ?」


「ごめん、それも秘密なんだ」


「分かった。

 だが、一応俺の知り合いに頼んで成分調査をしてもらおう思う

 それは、構わないか?」


「どんな結果が出ても公表しないって約束出来るなら構わないよ」


「その辺は心配するな

 そこは徹底させる」


そう、もしここで地球上に存在しないような

成分が出てきてしまっては困ってしまう。

だが、こちらで製造可能なものだった場合

大発見になる可能性もあるのだ。

なので、その結果を誰にも漏らさないというのであれば

成分分析は、するべきだと一樹は考えたのである。


「それと、この薬なんだが

 月にどれくらいの量を用意出来るんだ?」


「それもちょっと今は分からないよ。

 その辺も、今度しっかりと調べてくるよ。

 それに、治験の為にも、もう一度取って来ないといけないしね」


「そうだな

 治験に使うのは

 俺が昨日飲んだ薬で、治験をするのがいいんだろうか

 それとも、俺のように順に飲んでもらったほうがいいのだろうか?」


「順に飲んで貰った方がいいかもしれないね

 行き成り強力な薬を飲んで、副作用が出ないとも限らないからね」


そう、副作用は心配ないと言っていたが

今度は、見ず知らずの人に配ることになるかもしれないのだ

少しでも安全策を取った方がいいだろう。


「なら、服用期間を3日間として

 治験をする為にも

 一樹の飲んだ、一番安いものと

 俺の飲んだ2本を、計10本ずつ頼む

 治験を行う人物は、俺のほうで選んでおくから心配するな

 俺位の年になると、友人も何かしらの病を抱えてるものだ。

 勿論、薬については秘密にしてもらうから安心しろ」


「父さん、それだけは頼んだよ」


「当たり前だ。

 まぁ、別に広まったとしても

 いざとなったらそんなものは知らんと突っぱねるだけだ」


ガハハハと、豪快に笑っている父親を見て少し心配になる一樹だった。


「そうそう、これを渡しておかないとな」


そう言って一樹に結構厚みのある封筒は渡した。


「父さんこれは?」


「中に30万入ってる。

 この薬が、何処のもので

 どんな方法で手に入れたのかは、もう構わない。

 ただ、手に入れるための必要経費はかかるのだろう

 その為の必要経費だと思ってくれ」


「ありがとう、父さん

 俺の貯金じゃ、ちょっと厳しいかなって思ってたんだ」


その後、父親と色々な事を話した。

大学のことや、T県の伝説のこと、

雪江の事を聞かれたときは、何も言えずに

かなり、微妙な雰囲気になって困ってしまった。

そうやって、一樹の一日が終わった。


(食事の最中に父さんが

 病気が治ったと宣言するもんだから

 母さんが泣き出して大変だったよ。

 でも、父さんと母さんの喜びようを見て

 薬を持ってきてよかったと思ったよ)


そう思いながら一樹は、眠りに就いたのであった。


一応、方針は決まりました。



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