ミミの告白
感想にてにじファンに投稿されている理由がわかりましたので
改めて小説家になろうに投稿させて頂きました。
誠に勝手ながら土、日と投稿が難しくなったのでその分ストック分を
投稿したいと思います
一樹がゲェゲェと吐いてる間
ミミ達は、奴隷商人の遺体を処理として
穴を掘り、埋めていた。
このように、処理を行わないと血の臭いに惹かれて魔獣がやってくるそうだ。
勿論、穴に埋めた程度で血の臭いはあまり消せないが
やらないよりは、マシとのことだ。
ようやく、一樹が落ち着きを見せた頃
ミミが話しかけて来た。
「一樹どうしたのよ
まさか死体を、初めてみるわけでもないでしょうに
それじゃあ、ちょっと情けないわよ」
それを聞いて一樹は、怒りをあらわにした。
「ミミ、どうして殺したんだ!
痛めつけろとはいったが、
俺は、殺せとは言っていない」
そんな一樹に、ミミはこう答える。
「街の外で剣を向けてきたら、殺すのは当たり前よ!
一樹の村は違うって言うの!」
「そうだ!その通りだ。
俺の国では、剣を向けられても相手を殺してはいけない
俺の村では、過剰防衛になるからだ。
しかも、今回はうまく相手を捕らえる為に
こちらも人数を用意していたじゃないのか!
奴らを殺したのは、ミミの奴らに対する私怨じゃないのか!」
一樹の言葉に、ミミは困惑していた。
ミミは、一樹を助けたる為に仕方なく、奴らを殺したのだ。
確かに、自分が奴隷商人達に対して恨みがなかった訳ではない。
奴ら、奴隷商人の所為で自分は捕らえられ
仲間の皆も辛い思いをしてきたのだ。
しかし、奴らが一樹に剣を向けなければこんなことはしなかった。
むしろ、奴らに捕まったお陰で、自分は一樹に会えたのだから
少し感謝していた位なのだ。
それなのに、助けたはずの一樹からは怒りを示している。
何故一樹がここまで怒るのか、ミミには理解出来なかった。
「すこしよろしいですか一樹さん」
そう言って護衛の一人が話しかけて来た。
「ミミは一樹さんが危ないと思ったので奴らを殺したんです。
決して私怨で殺したのではありません。
そして、一樹さんの村はではどうか分かりませんが
こちらではこれが当たり前なのです。
向って来る者に、手心を加えれば
こちらが殺されてしますのですよ」
そう言って一樹を諭し始めた。
一樹も少し冷静になった。
(そうだよな
ここは日本じゃないんだから、日本の考え方は捨てないといけないよな。
確かに、俺が大金を見せつけたのも悪いのかもしれないけど
向って来るものに同情して殺されたんじゃたまらないよ。
俺だって死にたくないし
最終的には、欲に駆られたあいつ等が悪いわけだし)
そう思い、ここが日本とは違うのだと再認識させられて一樹であった。
そして、助けてくれたのに
怒ってしまったミミに申し訳ない気持ちになった。
「ミミ、さっきはごめん
ミミは、俺を助けてくれたのにあんなこと言って
確かに、ここは俺の村とは違うんだよね」
「いいえ、私も悪かったわ。
確かに、一樹は捕らえろとは言ってけど
殺せとは言ってなかったのだから。
でも一樹、ここでは殺られる前に殺れは当然なのよ。
一樹の村のように、平和な場所ではないの。
だから、私は貴方に危害が及ぶようなら
迷わず相手を殺すわ。
それが、私達亜人の未来を守る為なんだから
それを覚えておいてね」
「ああ、わかったよ
俺だって死にたくないし
捕らえようとして、逆にミミ達が危険に晒されるくらいなら
相手を殺してしまったほうがいいよ」
相手を殺すことよりも、殺さずに無力化することのほうが
遥かに危険で、難しいのだ。
一樹の我侭で、ミミ達を危険に晒すわけにはいかない
そう、一樹は考えを改めたのだ。
「俺の村では、こうやって人が殺されるようなことなんて
めったにある事じゃ無いんだ。
人の死体を見たのも、これが初めてので
恥かしいけど、うろたえてしまったよ」
「人が、無闇に殺されることがない場所
それは、とても素晴らしいことだと思うわ
出来ることなら、私の作る村もそんな村にしたいわね」
「ありがとうミミ、
俺はこのまま村に戻るから
森の入り口までは付いてきてくれるかな?」
「ええ、勿論よ
こんな奴らが他にもいないとは限らないもの」
そう言って一樹とミミは森へ歩いていった。
勿論他の護衛4人も、一樹の周りを警戒しながら付いて行った。
そしてそこからは、特に問題もなく森の入り口に辿り着くことが出来た。
「護衛どうもありがとうミミ
それと、他の4人の方もありがとうございました」
「気にする必要はないのよ
みんな、一樹に雇われてるんだから」
ミミのその言葉で、あることに気が付いた。
報酬をまだ支払っていなかったのだ。
この世界の常識はよく分からないが
護衛なんかは、前金でいくらか渡すものなのではないだろうかと
「すいません。
まだ報酬を支払ってませんでしたね」
そう言って、一樹はポケットから2枚の手形を取り出した。
20枚ほどの手形は、ほとんど車に置いて来ている一樹だが
もしもの為にと、3枚ほどポケットに入れて置いたのだ。
薬の為に、現金化したので残りは2枚
報酬の200イェン分丁度だ。
「これが、今月の報酬の50イェンです
4人分で200イェンですね
これ手形なので、ギルドで現金に変えて
4人で分けてください」
そう言って、先頭の男に手形を渡す一樹
男は、ありがとうございますと言って手形を受け取った。
それを見ていたミミは、一樹に向かってこう言った。
「一樹、私の分の報酬は?」
「ミミにも払わないといけないのか?」
そう、一樹はミミにも報酬を支払うとは思っていなかったので
ミミの分は用意してなかったのだ。
手形は、車に戻らないと残りはないし
現金の残りも50イェンの報酬には足りない。
ちょっと困った顔をしている一樹に、ミミは
「当たり前でしょ~♪
でも今すぐじゃなくていいわ
今度来た時にでも払ってくれればそれでいいわよ」
「よかったよ、今持ち合わせがなかったんだ」
護衛への、報酬未払いというのは
信頼関係を崩しかねない事態なので
一樹は、助かったという顔をして答えた。
「その代わりちゃんと帰って来てね」
ミミが心配そうな顔で一樹を見ている。
「どうしたミミ?
3~4日できちんと帰ってくるさ
そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「一樹は、さっきの事で
この国が嫌になっちゃたかなって思ったの」
そう言って少し涙ぐむミミ
(やべぇ~やっぱりミミ可愛いいなぁ~萌える)
「大丈夫だって、確かに驚いたし
人の命の扱いが軽いのは嫌だけど
自衛の為なら仕方ないと割り切っているし
なにより、このままミミ達を放っておくわけにはいかないだろ」
そう言って笑いかける一樹に
ミミは、そっと一樹に抱きついてキスをした。
「一樹、私は貴方が好きよ
だから、必ず貴方は私と結婚してもらうわ
亜人の未来の為にも、私の為にもね♪」
そういうとクルっと街のほうを向くと
「それじゃあまたね
でも、なるべく早く帰って来てね」
そう言って恥かしかったのか
ミミは、急ぎ足で街へ戻っていった。
其の後に、護衛の4人も一樹に礼をして
ミミの後を急いで追って行った。
(あれは、照れてるのかな?
まぁミミみたいな可愛い子にそう言われると悪い気はしないな
でも、もうちょっと時間が欲しいかな・・・雪を忘れる時間を)
そう思った一樹は、静かに祠を目指して歩いていくのだった。
1月26日修正しました。