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選人の森の秘密

登録数100名突破記念でもう1話余分に乗せました

朝起きた一樹は、道の駅で朝食を食べている。

2日ぶりに食べた味噌汁は、大変美味しいものだった。

この道の駅、地域発展の為に結構地元では力を入れている場所のようだ。

食事場所もあり、温泉もあり、仮眠スペースもある。

一樹は、昨日、一昨日と風呂に入れてないので、

温泉に入りたかったのだが

朝起きると、もう9時を回っていた。

温泉にまで入っていては、ここを出るのはお昼過ぎになってしまう

そんなわけで、泣く泣く温泉に入るのを諦めたのだった。

飯を食べ終え、あのトンネルまで車を走らせる。

あの不思議なトンネルを通り、異世界へ向かう。

道中はやはり、あの事を考えてしまう。


(はぁ~気が重い。

 街に向かって、ミミに会いにいくか。

 取り合えずは、出来る限りの協力をして

 やばくなったら逃げるかないな。

 暫くは情報収集に徹して色々学ばないといけないな)


そう考えを纏め、一樹は街へ移動した。

魔獣に会う事なく1時間ほどで、無事に街についた。

門の前では、ハルクが今日も門番をしていた。


「こんにちは、

 今日もお仕事頑張ってくださいね」


「おお~一樹か

 そっちも頑張れよ」


そんな軽い挨拶を交わして

一樹は、ミミの家がある貧民街に向かった。

門を潜り抜け、ミミの家に向う最中昨日と同じく視線を感じる。

しかし、警戒する視線というよりも

どちらかというと、尊敬の眼差しといった感じだ。

いったい、この変わりようは何なのだろうと思った一樹だが

ここで、深く考えても仕方ないと考え、ミミの家に急ぐのだった。

ミミの家に到着すると、家の前ではミミが待っていた。


「ミミ、家の前で待っててくれたのかい?」


「違うわよ。

 一樹が、門を通ったって連絡があったから

 出迎えようと思って出てきたのよ

 さぁ、中に入ってお父さんも、お母さんも待ってるわ」


そう言って、一樹を家に招きいれた。

家の中では、ミミの父親と母親がイスに座り待っていた。


「どうも、こんにちは」


「ようこそ、どうぞ座ってください」


ふとミミの両親を見てみると

ミミの父親と母親はお互いに指輪をしていたのだ。


(昨日はしてなかったよな

 これはさっそく服従の契約をお互いにしたのかな?)


そうミミの両親は、ミミから話を聞き

お互いに対して契約を行い、相手の契約の指輪を持ち合っていたのだ。

この行為は、自分のすべてを預ける。

そんな意味合いがあり、結婚の誓いとして亜人の中で爆発的に広まっていった。

これが後に亜人の結婚での習慣となる

指輪の交換の始まりであった。


「さぁ、席にお座りください」


「はい、ありがとうございます。

 早速ですが、昨日村のほうに戻り

 仮ではありますが、許可を頂きました。

 しかし、この街で扱っているものが村の利益にならない場合

 この許可は取り消しになりますのでその辺りはご了承ください」


「それで構わないわ

 ところで一樹の村はこの街の随分と近くにあるようだけど

 一体どのあたりにあるの?」


「秘密だ」


「そう、それはそうよね」


ミミはあまり気にしないといった感じで答えた。

ミミとしては、一樹の村が何処にあろうと一樹に協力して貰えればそれでいいようだ。


「ところで、ミミにちょっと聞きたいんだが

 この街の近くに森があるだろ

 あそこは、魔獣の類は生息してないのか?」

 

「えっとそれは、もしかして選人の森の事かしら?」


「選人の森?その森かはわからないけど

 街の城門を出て左手に見える森だよ」


「選人の森で間違いないみたいね

 もしかして、一樹の村は選人の森を抜けたところのあるの?

 だったら誰にも気が付かないのも頷けるわ」


「村の場所は詮索しないこと!

 それより、あの森を抜けるのが大変ってどういうことなんだ?」


(もしかして、今まで魔獣の類に会わなかったのは

 唯のラッキーってことか?)


「選人の森は、その名の通り人を選ぶ森なの

 選ばれた者以外に、森を抜けることが出来ないとされているのよ。

 まぁ、誰でも森に入ることは出来るし

 私達も選人の森で狩りをしたりしてるんだけど

 どうゆう訳だか、森の奥へ進んでも、いつの間にか森の入り口に戻されるのよ

 狩りをするには、丁度いいからよく利用してるけどね。

 それと、あの森には魔獣はかなりの数が生息しているわよ。

 森に入れば、すぐにでも見つける事が出来るくらいにね」


ミミの話を聞いて、少し冷や汗をかく一樹

ミミの話によれば、魔獣に会わなかったのはただのラッキーだったようだ。

そんな一樹を見てミミが問いかける。


「一樹は今まで魔獣に会った事がないのよね?」


「ああ、村では見たこと無いな」


「一樹、貴方はあの森を通り抜けてこの街にやって来たのね。

 それなら、一樹の村が見つからないのもわかるわ。

 つまり、一樹はあの森に選ばれた者って所かしら

 まぁ、一樹の村の人全員が選ばれてると考えると

 森に選ばれた者を、魔獣は危害を加えないと考えるべきかしらね」


「確かに、俺の村はあの森を抜けたところにある

 これは、秘密にしてくれ

 これが、もし漏れた場合には俺はミミに協力できなくなるかな」


「分かってるわよ。

 一樹の村については秘密にするし、 

 これ以上詮索もしないわ。

 一樹の村が何処にあるのが分かっても関係ないし

 それに、一樹の協力が得られなくなるくらいなら

 そんなもの詮索したくもないわ。

 お父さんもお母さんも分かってるわよね?」


ミミの父親と母親は深く頷いた。


「ただそうなると、私の計画も少し考えないといけないわね。

 一樹の村のように、森の加護を使えるわけじゃないのだから

 隠れて村を作るというのは、無理そうね。

 こうなったら、亜人が独立できる手段を考えなくちゃいけなさそうね」


ミミの少し物騒な発言に、少し引き気味の一樹

そんな事になるなら、協力はしないと言い出そうと思ったとき

ミミから話しかけられた。


「ところで一樹は、この街のどんな物を村へもって行こうと思ってるの?

 私は付与魔法を使ったものがいいと思うんだけど

 一樹の村の、利益になりそうなものなんて

 それ以外中々考え付かないわ」


「そうかな?」


「そうよ、その服を見ても分かるわ。

 とても高級な生地を使ってそうだし、編目だって均一だし

 それだけを見ても、一樹の村がどれだけ豊か分かるわよ」


「ミミは良く観察しているな。

 俺も見習わないといけないかな?

 ところで、付与魔法を掛けたものっていったいどんなものがあるんだ?」


「やっぱり、一番は武器や防具よね」


「この国の武器や防具はなんで出来てるんだ?」


「大体青銅ね、王宮の騎士なんかになったりすると

 鉄を使ったりしてるわね」


(日本に持っていってもまず必要のないものだな。

 そもそもこんな時代の鉄じゃ純度だってたいした事なさそうだし

 それなら、日本から鉄を持って来て付与魔法を掛けてもらったほうがいい

 だが、鉄じゃ運搬に難があるな)


一樹は少し考えてミミに答えた。


「俺の村では武器や防具や農具といったものまで

 鉄製品を使っているんだ。

 今更付与魔法を掛けたくらいのもので

 村が更に豊かになるとは思えない」


「でも、魔獣の皮や骨を使った武器や防具もあるわよ」


(これも却下だな日本で武器や防具は必要ない)


「そもそも、俺の村ではあまり武器や防具は必要ない

 武器や防具は却下だ

 さっきも言ったが、魔獣の類が襲ってくることもないからな」


「あとは、服や家なんかにも付与魔法をかけたりするわ」


「それも却下、服はこっちで使って生地のほうが高価だと

 自分でいっただろう

 それに、家なんてどうやって運ぶんだ」


「一樹が付与魔法を掛けたものって

 いったいどんなものがあるって言うから

 多い順言ってるだけよ

 私だって、一樹の村に服を持っていけるだなんて思ってないわよ」


ミミは次々と付与魔法が掛けられるものをあげていくが

日本へ持っていけそうなものはなかった。


(この世界では基本的にすべて、生活用品にいたるまで

 付与魔法が掛けられるんだな

 まぁ掛けるだけど効果があがったり、長持ちしたりするわけだから

 当然と言えば当然だな。

 でもさっきからミミが言ってる物を日本に持っていっても

 まったく必要ないものばっかりだな)


「悪いんだけど街の中へ行かないか?

 街の中心部でどんなものが売られているのか見てみたいんだ。

 それに、もう昼食の時間も過ぎてるしな

 昨日の店に行って、食事をしてその後一緒に街を見て回らないか?」


「そうね、そのほうがいいかもしれないわね

 じゃあ、私ちょっと街へ出る用意をしてくるから

 少し待ってて貰えるかしら」


そう言ってミミは部屋をでていった。


「一樹さんどうなんでしょうか?

 やはり難しいですか」


そうミミの父親は話かけて来た。

ここでいい物を見つけ出さないと

一樹の協力を得ることは出来ないので、結構必死ぽい表情だ。


「そうですね、結局利用できそうなものは

 私が、鉄自体を持ってきて

 こちらで付与の魔法を掛けてもらうくらいですかね?

 ですが、そうなると運ぶのが辛くなってくるんですよ。

 私以外は、あの森を抜けることは出来ないでしょうから

 貴方達の使役する魔獣を使っても

 森からは、私だけで運ばなくていけなくなりますからね。

 私は、昔足に怪我を負ってしまい

 あまり、重量があるものは運ぶことが出来ないんですよ」


そう一樹の足では、あまり重量のあるものを運ぶことは出来ない。

実際、森から祠まで軽トラックでも使えば簡単に輸送出来そうなもんだが


「そうですか、足に怪我を・・・

 おおそれでしたら、治癒魔法を試しませんか?

 こちらではケガや病気に対して魔力を注ぐことにより

 多少の治癒効果があるんです。

 それを私達は治癒魔法と呼んでいるんです。

 それで完治しない場合には

 竜人族が作る薬を試して頂きたい。

 こちらでは、通常少々のケガや病気でしたら

 魔力を込めてれば直ってしまうのですが、

 それでも直らないようなやっかいなケガや病気を治すのに

 薬を使うんですよ。

 この国の薬は、魔法を付与してますから

 とても、効果があるんですよ。

 それに、竜人族の薬は

 街で売っている薬よりも、とても効果が高いんですよ。

 竜人族の薬は、すぐに調達させますので

 一樹さんは、取り合えずミミと街を見てきてください」


それを聞いた一樹は、自分の膝と父親の病気が治るかもしれないと

少しだけ、異世界の魔法に期待を掛けた。


これが日本に持ち込むチートです

予想できた方いますか?

金や宝石だとあまりにも捻りが無いんで

作者的には無い知恵を搾り出して考えたんですが


1月24日に修正しました。

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