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亜人達の生活

やばい執筆スピードが落ちてきて

ストックがなくなりそうです


意見、感想をお待ちしてます

ミミの後を歩いていると、ミミへの視線が気にかかる。

侮蔑や蔑んだ感じを受ける。


(やっぱり、亜人への差別が強いな)


街の景観の美しさとは反対に

心は荒みでいるように感じられる。

何人は、ミミに対して手のひらを向けて何かやってる。


(あれが、服従の契約なのかな?

 あんなに離れていても、契約を行えるものなのか

 こりゃ亜人達が逃げられない訳だ)


20分ほど歩いていると、街の中心部からは随分と離れた。

すると前には、城門とは比べ物にならないくらい小さな門が見える。

門の近くには櫓があり、櫓の中からは人がこっちを見ていた。

その門を潜ると、先ほどからの綺麗な景観とは違い

正に粗末と言える家が立ち並んでいる。

日本では、バラックと呼ばれそうな家々だ。

そして、先ほどからミミを見る視線が無くなっている。


(ここは、貧民街と呼ばれている場所だな

 亜人を差別するのは裕福な平民だけで、

 それ以外の平民は、あまり差別意識はないのかもしれないな)


すると、一人の男が驚いた顔をしてミミに声を掛けてきた。

40代くらいの体格のいいおっさんである。


「ミミちゃん捕まったって聞いたけど、無事だったのかい?

 よかったよ。

 ご両親が心配しているから早く家に帰って顔を見せてあげなさい」


どうやら、この人はミミの知り合いらしい。

ミミは亜人であるにも関わらず、街に知り合いがいるようだ。


(はて、ミミはこの街に知り合いがいるみたいだけど

 亜人は隠れて生活してるんじゃなかったのか?)


そんな疑問を感じながらミミとおっさんを見ていた。


「いえ、私は捕まったけどあの人に助けられたの

 この人は私の命の恩人よ。

 だから、みんなも警戒しなくても平気よ」


一樹はミミに言われて気が付いたが、

周りの人達は一樹を、警戒して厳しい視線を向けていたようだ。


「心配しないで一樹、ここの人達はみんないい人よ

 おじさん、私は家に急ぐからこれで失礼するわね

 一樹行きましょう」


そう言って、ミミはまた歩き出した。

一樹は、ミミを見失わないように、急いで付いて行った。

今度は、ミミではなく一樹に対して厳しい視線が集まる。

あまり居心地が良くない。

暫くして、一軒の家の前でミミは立ち止まる。


「ここが、私の家なのよ

 さぁ、中に入って」


そう言ってミミはドアをあけ大きな声で


「お父さん、お母さん、私よ」


そう言って、家の中に入っていった。

中からは


「ミミ、本当にミミなのか

 無事でよかった。本当に無事でよかった」


と喜ぶ男性の声と、女性の声が聞こえる。

感動の再開に水を差すわけにはいかない。

そう思った一樹は、外でポツーン一人待っていたのだ。

待っている間も、一樹への視線は収まることがなかった。

更に居心地の悪くなってきた一樹。

10分ほどすると、中からミミが出てきて一樹を呼んだ。


「一樹、中に入ってきてもよかったのに」


「親子の感動の再会に水を差すわけにはいかないだろ」


「気を使ってくれてありがとう

 さぁ、中に入って」


家の中に入り、居間らしき場所に案内されると

そこには、ミミの両親らしき人が立っていた。

父親は30台後半くらいの、これまた体格のいいおじさんで

母親は20台前半でも、通用しそうな美人だった。


(母親は、ミミを少し大人っぽくした感じだな。

 ミミの髪の色は、母親の遺伝かな?)


「娘を救って頂いて、本当にありがとうございました」


そういって、両親は一樹に頭を下げた。


「どうぞ、お座りになってください」


そう言って椅子を勧められた。

居間には、テーブルとイスがあるだけで

他には装飾品と呼ばれそうなものは何も無く

かなり、質素な感じを受けた。

そして、一樹は疑問に感じていた。

ミミの両親と思われる人には、耳と尻尾が生えてないのだ。


(こりゃ、義理の親かなんかなのかね?

 でも、ミミと母親と思われる人とかなり似てるんだよな~謎だ)


「一樹、不思議そうな顔してね。

 なんで、私の両親なのに耳と尻尾がないんだろうって思ってるでしょ」


「おう、何でわかった」


「そう、顔に書いてあったわよ」


(いかん、あっさり顔にでるとは

 こんなことじゃ、この先商社マンとしてやっていけるのか?)


そう、一樹は一流商社に内定を貰っていたのだ。

この就職難の中、雪江の為にと頑張った一樹だが

その間に彼女を取られてしまって本末転倒の一樹であった。


「まぁ、普通はそう思うわよね。

 私の親に、亜人特有の耳や尻尾がないんですもの

 そう思うのは当然だわ。

 これから、一樹にその秘密を話そうと思うわ

 でもこれは、人には知られてはいけない秘密なのよ」


「分かった、誰にも話さないよ」


「お願いね、それじゃ見てて一樹

 見るのが一番分かりやすいと思うから」


そう言うと、ミミは一樹の前でいきなり祈りだした。


「数多の光の精霊達よ、私に力をお貸しください。

 その力を持って、私の体の一部をお隠しください」


ミミがそう祈るとミミの体が急に光だしたのだ。

光が収まると、ミミの耳と尻尾が消えてしまったのだ。

さすがに、これには一樹も驚いた。


「一樹、これが私達の秘密よ」


「これは、魔法か?でも魔法って言うのは

 物に力を付与する効果しかないんじゃないのか?」


「ええ、人のもつ魔法は

 物に名と魔力を与えて、それにより力を引き出す付与魔法

 私達亜人の使う魔法は

 精霊に魔力を与えて、精霊の力を借りる精霊魔法なの

 そうね、一樹の村の考えのやおよろずの神様がわかりやすいと思うわ

 精霊は何処にでもいるし、どんな物にも宿っているの

 その精霊の力を借りることで、魔法を使うことができるのよ」


「つまり、俺達の考えだと

 神卸みたいなもんかな?」


「神卸?」


「そう、神様を自分の体に卸して、

 その力を借り受けることが出来るとされている。

 まぁ、実際に見たことはないけどね」


実際にあるのかどうかわからないが

アニメや漫画で出てくる神卸の説明をする一樹。


「良く分からないけど、そんな感じだと思うわ

 これが、私達亜人の秘密よ。

 人が作り出した、服従の契約から逃れる為に

 私達亜人が考え付いた大切な魔法。

 この魔法があるから、私達は隠れて生きていけるの」


「つまり、この魔法を使って人として生きているのか」


(だから、ミミはこの街の中で生活できたのか

 この感じだと、さっきのおっさんも亜人ってことかな?)


「そうよ、ただこの魔法も自分の魔力が切れたら効果が無くなっちゃうの

 そのせいで私は、捕まっちゃったんだけど」


「ミミそれは、どれくらい効果続くんだい?」


「個人差があるわ。

 短い人だと3時間くらいで切れてしまう人もいるし、

 長い人だと2日間くらい平気な人もいるわ」


かなり、個人差のある魔法のようだ。

まあ、当然といえば当然だが


「ミミはどれくらいなんだ?」


「私は半日くらいで切れちゃうの」


「そうやってどれ位の亜人が隠れているんだ?

 さっきミミに話しかけて来たおっさんも亜人なんだろ?」


「この区画にいる人は、全員亜人よ

 大体500人ほどいるわ」


「随分な人数が隠れてるんだな」


「ええ、この区画にいる亜人は皆協力し合って生きているの

 精霊魔法を長時間使用できる人は、街で仕事に付いてお金を稼いできてるし

 逆に使用時間の短い人は、  

 この区画からは、でないで炊事や洗濯なんかをしたり、

 この区画に人が入ってこないか監視したりしてるわ

 この区画の入り口に櫓があったでしょ。

 あそこで、人の出入りを監視してるのよ」


「監視っていうけど

 人と亜人の見分けが付くのかい?

 精霊魔法を使っていると違いがまったくわからないんだが?」


「私達獣人族は、亜人の中でも特に鼻が利くのよ

 人と亜人の違いは臭いで判断できるし

 ここにいる人は、みんな顔見知りよ

 見覚えの無い人間ならすぐに分かるわ。

 そうやって監視をして、人がもしこの区画に入ってきたら

 みんなに合図して、精霊魔法を使って姿を変えるの」


「その言い方だと、亜人は獣人族以外にも種族がいるのかい?」


「亜人は、獣人族、鳥人族、竜人族、魚人族に別れているわ

 魚人族に関しては、水中で生きるすべがある所為か

 あまり、見かけることはないわ。

 それに、これは大まかな分け方でしかないの。

 獣人族の中でも狼族だったり、山猫族だったりと多種多様なのよ」


「ちなみにミミは山猫族かな?」


「ええ、よくわかったわね?」


(そんなの、ミミの耳見ればすぐわかるっつうの。

 あれは猫耳だったからな)


そうミミの耳はまさに、ネコミミと呼ばれるものだった。


「まぁ、なんとなくね

 そういえば、ミミは街に働きに出てたのか?

 そうじゃないと捕まった理由がよくわからないんだけど」


「私は街からでて、狩りをしていたの

 その途中であいつらに偶然見つかったみたいで

 それで捕まってしまったのよ」


「獣人族は臭いに敏感なんじゃなかったけ?

 人が近づいてくるのが臭いでわからなかったの?」


「普通ならわかったわよ!

 ただその時は、獲物の血の臭いが辺りに充満してたから

 気がつかなかったのよ」


「それは、運が悪かったね」


「いいえ、運が悪かったとは思ってないわ

 捕まったお陰で一樹に会うことが出来たわ

 そして、そのおかげで亜人の未来を切り開くことができそうなんですもの」


そう言ってミミ一樹に微笑んでいた。


1月24日に修正しました。

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