宗教について
作者は牛丼より豚丼が好みです
牛丼それは至高の食べ物
牛丼それは房素顔がわからない国民的ヒーローの大好物
牛丼それは貧乏学生の救いの手
牛丼それは日本食の集大成
そんな事に思考を巡らせている一樹にミミは
「どうしたの一樹、何か考え事?」
「いやちょっとね
故郷の料理を、こっちで広められないかなって思ってさ」
「一樹の故郷の料理か、ちょっと興味があるわね。
教えてもらえる?」
「まぁそれは、おいおいでね。
最後の質問になるけど。
この国って宗教とか信仰してるものってあるかな?
これ、かなり大事なことなんだけど」
(これしっかりと抑えないとやばすぎるからな
この世界は中世ヨーロッパ並だ。
俺も詳しくないけど、確か中世時代は
キリスト教がかなり幅を効かせていたらしいからな。
異端審問やら魔女狩りやらが
こっちで存在した場合、即効で死刑とかありえるからな。
宗教があるのかないのか。
実際何を崇めているのか。
政教分離はできているのか。
商人として生きていくなら、お布施っていくら払えば良いのか。
かなり大事になってくるはずだ。
これ異世界とか行くことになったら、超大事なポイントだから
みんなも用心してくれ
これ抑えないと、いきなり死刑とかありえるからな)
「この国での宗教ね
昔はウィトゥルス信仰と言って
ウィトゥルス神権国がものすごい力を持っていたの。
亜人への服従の契約を作ったのも、この国だったのだけど
今はもうなんの力もないわよ。
今じゃ誰もウィトゥルス神なんて信じてないし、
そもそもウィトゥルス神権国事態が、もう国として機能してないそうよ。
だから、この国というか、この大陸に宗教なんて
存在してないんじゃないかしら?
他にだと、魔獣信仰くらいなものねあるのは」
一樹は、ミミの言葉に呆然とする。
一樹がそうなるのも、当然といえば当然かもしれないが
(今ミミが、聞き捨てならない事言わなかったか?
魔獣って・・・よくアニメでてくる化け物のことか?)
自分の聞き違いだと祈って、ミミに話を聞くことにした。
「ミミ、魔獣ってとんでもない怪物のことか?」
「ええ、魔獣=怪物と考えていいと思うわ
一樹の村では魔獣を見ることはなかったの?」
「ああ、まったくいなかった」
(日本に魔獣なんているわきゃねぇぇぇぇぇぇだろ!)
そう一樹は、心の中でつっこんだ。
日本に魔獣なんていたら、自衛隊の出番です。
出撃ですブルーインパルス
「そう、ますますおかしな村ね、一樹の村は
確かに最近、人に害をなす魔獣なんて
少なくなったけど、それでも街の外にいけば
魔獣なんて見る機会はあるでしょうに」
「見なかったんだよ村では!
それはいいから、魔獣信仰ってあれか
中でも力の強い魔獣が暴れないように
人を生贄に捧げるとかいう奴か?」
「そうね、力のある魔獣に供物ささげる信仰よ。
ただこれを、信仰してるのは殆どが人じゃないわよ。
私たちつまり、ほとんどは亜人が信仰してるのよ。
地方のほうだと、信仰してる人はいるみたいだけどね」
「亜人の宗教?」
「そうよ、私たち亜人は魔獣の当然変異とか
魔獣と人との間に生まれた子供が、亜人だったって考えられているの。
だから、私達亜人は魔獣に対して感謝を示すために
祈りと供物を捧げるの」
「でも生贄なんだろ、そんなこと許されるのか!」
ここで、一樹の日本の倫理観が爆発
生贄なんて許せるものではない。
「生贄ってそんな事はしないわよ
実のった野菜や麦だったり、狩りで取れた肉を供えたりするの!
それに、力のある魔獣は人語を使えるから
何か欲しいものがあったりする場合は、言われたものを供えるはずよ。
それにね、私達だって魔獣すべてを信仰してるわけじゃないわ
害を成す魔獣なら、きちんと退治するんですからね」
「そうか、それは悪かったミミ
俺が変な勘違いをしていたみたいだ」
「いいのよ、わかってくれれば
それに、私達は生贄なんてしないけど
地方なんかじゃ、まだそんなことしてるかもしれないね」
この話題終了という感じで、一樹が話を変える。
「とにかく、この国の人達は何も信仰してないんだな。
お布施とか言って、無理やりお金を払わなくてもいい訳だ」
「それをやって、ウィトゥルス神権国の今があるのよ」
神の加護が、しっかりと目に見えるものでもない限り
そんなことをやってたら、崩壊するのは当たり前である。
「そうか、その国はあまりに、力を持ちすぎて
やりすぎて、反発を食らっちまったんだな」
「その通りよ、
それより、一樹の村では、何か信仰してるようなものはあったの?」
「そうだな~何も無いような、何でもありっていう感じかな?
俺の村では、神様はやおよろずの神っていうんだ。」
ここで一樹は、日本の新興宗教やキリスト教などは出さず
昔からある、やおよろずの神の事を話した。
新興宗教やキリスト教を説明しても
いい事はないと思ったからだ。
「やおよろずの神?それはどんな神様で
どんな信仰なの?」
「やおよろずっていうのは八百万って意味で
それだけ神様がいるっていう意味なんだ
火の神様、水の神様、雷の神様、山の神様、海の神様
なんていう風にさ、極めつけは厠の神様なんてのもいるんだ。
つまりだ、どんなものでも神様がいるのだから
どんなものでも大切にしなさいって意味なんだと思うよ。
それが、俺の故郷の信仰かな?」
「それは、とんでもない数の神様ね」
「そう、だからどの神様が偉いだのって事はないんだ」
「でもそれは、とてもいい考えだと思うわ。
どんなものにでも神様はいる。
だからこそ、すべてに感謝して生きる。
素晴らしいことだと思うわ」
「でもその感謝が、強要されてはいけない。
だから、宗教的に何かしなきゃいけないとか
こうやって祈りを捧げなきゃいけないとかはないんだ。
宗教とか、信仰とかよりも考え方っていうのかな?」
あまり、やおよろずの神について知らない一樹は
結構適当に説明をしていた。
それでも、ミミは感心していたが
「でも、私はその考え方はとても良いことだと思うわよ」
「そう、まぁ俺の村はそんな感じだよ」
「一樹の村って、とても良いところなんでしょうね?」
「まぁ、それだけ聞けばいい所に聞こえるけど
悪いところだって、いっぱいあるし、
この街にだって良い所はあるだろ?」
そう、日本にも悪いところは沢山ある。
しかし、この世界に比べれば
水と安全はタダなんて言葉がある国なので
そう思われても仕方ないのかもしれない。
「そんな所あるのかしら?」
「そうかい?俺はもうこの街のいい所を一つ見つけたよ」
「それは、どんな所?」
「この店の料理が美味しい所さ」
「そうね、この店の料理はとても美味しかったわ
確かに、この街のいいところね」
そう言ってミミと一樹は微笑み合った。
「ミミ、ありがとう。
お蔭で、色々な情報を得ることが出来て助かったよ。
これ、約束のお金と指輪」
そう言って一樹はミミに約束のお金と指輪を渡す。
ミミは少し戸惑いながらそれを受け取った。
「一樹はこれからどうする?」
「そうだな、まだ暫く情報収集でもしてから考えるかな」
「そう、一つお願いがあるんだけどいいかしら
報酬もきちんと払うつもりよ」
「ん?なんだいミミの頼みならできる限り協力するよ
報酬なんて別にいらないんだが」
「ありがとう、でもそんな訳にはいかないでしょ。
あと、ここじゃ話せる内容じゃないから
人がいない場所で聞いて貰えるかしら」
「分かった、すいません
お会計いいですか?」
そう言って会計を済ませ、店をでる一樹とミミ
この後、ミミのお願いと報酬が一樹の考えていたことの
斜め上だったので驚くことになるのだった。
1月24日修正しました。