20
ボンネットに静かに血だまりが広がり、隣に座っていた妻であろう女性の、引きつったような悲鳴が、マイクに乗って広場全体に響き渡る。
……音楽が、不協和音を最後に途切れ、歓声が止まった。
降り注ぐ花の雨の余韻だけが、まるで何事もなかったかのように、静かに、静かに、その惨劇の舞台を飾り続けている。
やがて、誰かの絶叫を皮切りに、熱狂は、一瞬にしてパニックという名の津波に変わった。悲鳴、怒号、泣き声。人々は、何から逃げるでもなく、ただ恐怖に駆られて無秩序に走り出す。祝福の紙吹雪は、今や、逃げ惑う人々の足に踏みつけられ、無残に汚れ、散っていく。
鐘楼の屋根の上で、セダスタたちは、その予期せぬ凶行に、ただ立ち尽くすしかなかった。
「なんだ?いったい、何が起きている……?」
ダヒシールの呆然とした声が、混乱の始まった街に、虚しく響いた。彼らが切り拓こうとしていた、
たったひとつの活路。その舞台は、彼ら以外の、見えざる誰かの手によって、血塗られた混沌の渦へと突き落とされたのだ。
眼下で、祝福の祭典が、一瞬にして阿鼻叫喚の地獄へと変わる。だが、その混沌は、彼らにとってふたたび訪れた好機でもあっ
た。
「……この機を逃す手はない!」
メゼキラカフの切迫した声が、通信機から響く。
「とにかく行くぞッ!」
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