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https://ncode.syosetu.com/n7119lt/


【Note】

本作は、シェアードワールド「ソーミティアユニバース」の世界観でどのような物語が描けるか、その可能性を提示するためのサンプルストーリーです。

世界観の共有を最優先として急ぎ執筆したため、とくに物語の後半は未整形のプロットや、断片的なアイデアを書き留めた「スケッチ」の状態となっております。

完成された作品ではありませんが、この宇宙の広がりを感じていただくための素材として、あしからずご了承ください。


先陣を切る兵士がハンドサインで指示を送る。気圧差による空気の奔流が収まると、彼は躊躇なく、歪んだ鉄の裂け目

へとその身を滑り込ませた。


ドドドォン…………!!


追跡艇からレッダーメへの砲撃が始まった。

射出された無数のワイヤーが、乱雑な軌道で空間を裂き、船体を捕縛する巨大な銛と、兵士たちの突入経路を確保する細い索条が複雑に交錯する。


後者のワイヤーには吊革が設けられ、次々と送り込まれる兵士たちが淀みない動きで船壁へと取りついていく。

簡素ながらも関節部に真鍮のシリンダーが覗くパワードスーツをまとい、古風な木製ストック付きのライフルと剣で武装している彼ら。

確保された破孔から順次船内へと乗り込み、即座に警戒態勢を整えて突入箇所の制圧を完了させた。そのまま、赤い絨毯が敷かれた廊下を疾走する。


けたたましいサイレンが廊下中に鳴り響き、壁面を這う赤い警告灯の明滅が、断続的に乗員たちの影を伸ばす。

急ぎ展開するレッダーメの警備隊は、乗客への威圧を避けるべく顔の見えるピッケルハウベ付きの胸甲兵姿をしていたが、

その、特異なヘルメットの下の表情は誰もが硬い。


「エレベーターは停止しているな!?」

「そのはずです!」

「……念のため2人で見張れ!」


指揮官がスリングのあるライフルの銃口でエレベーターホールを指し示す。

その合図と同時に、2人の兵士が床を強く蹴って駆け出し、壁際に身を滑らせるようにポジションを取る。


その時、前方の曲がり角から1人の斥候が、体勢を崩しながら転がり込んだ。

頬を滑る汗、呼吸の乱れ――

「侵入者、階下より接近中!」


彼が叫び終えるか終えないかのうちに、背後の通路を10数条の曳光弾がなぎ払った。赤い閃光が生き物のように床を跳ね、壁を駆け抜ける。

その衝撃に突き動かされて、倒れた斥候は転がるように身を起こし、床を蹴って防衛線へと駆け寄った。


両手で横抱きにしたライフルは、まるで熱した鉄でも掴んでいるかのように、今にも手から零れ落ちそうだった。

あわあわとした頼りない手つきで銃身を揺らし続け、むしろ、この慌てぶりでそれを落とさない方が不思議に思えるほどだった。


走りながら、斥候は顔をこちらに向け、必死に声を張り上げた。


「規模ォ……小隊以上!」


*


船内の別の場所でも、平穏は唐突に破られた。

通路脇の憩いの場――屋台が並び、色とりどりの果物や焼き菓子が並ぶその一角に、銃弾が飛来する。何発もの弾丸が屋台の支柱を穿ち、積まれた果物を容赦なく弾き飛ばした。甲高い音とともにグラスが砕け、客たちの悲鳴が空間を満たす。


間髪入れず、手榴弾の閃光が左手に炸裂。爆風がテーブルクロスや紙ナプキンを宙へと巻き上げ、人々は一斉に椅子をなぎ倒し、四方へ散って逃げ惑う。間に合わなかった者は、叫び声とともにテーブルやカウンターの下へ必死に身を滑り込ませた。


宇宙時代の銃撃戦とは、殴り合いのようなものである。

警備隊が即席のバリケード越しに放つ銃弾は、侵入者のアーマーに命中するたび、薄青いエネルギーの波紋を散らすだけで、

致命傷には至らない。これは警備隊側が弾を受けた場合も同様で、撃たれるたびに胸甲兵の輪郭を覆うシールドが衝撃を殺し、

決定打が生まれないまま廊下は銃声と閃光で埋め尽くされることになる。


ただ、そんな膠着も、侵入者側の新兵力の投入によっていずれ破られることになる。

全身を覆う漆黒の装甲に、さらに強力なエネルギーフィールドを展開した彼らが、2人1組で前進を開始したのだ。

中世の甲冑と最新鋭のパワードスーツが融合したその巨体は、携行するガトリング砲を絶え間なく連射しながら、味方の壁となって進む。

警備隊の集中砲火が青い波紋を立てて弾けても、その歩みは揺るがない。後方から続く兵士たちが、重装兵の隙間から正確な射撃を加えてくる。


やがて、集中砲火を浴びた1人の警備兵の体を包んでいた青い光が、一瞬の閃きと共に消えた。

次の瞬間、複数の銃弾がその胴体を貫き、男はくぐもったうめきを残して崩れ落ちる。――シールドを失うことは、

その場で命を落とすことに他ならなかった。


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