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最終章 二人だけの閉じた楽園

毎日投稿8日目。


 二人の少女が、ベッドの上で絡み合っている。どちらともわからない荒い息。外は寒いというのに、部屋の中だけが妙に蒸し暑い。

 小柄な方の少女――アリアは、目をぎらつかせ言う。


「かわいい、わたしのヴィオレッタ。どうか、もっと顔を見せて、声を聞かせて」


 アリアの動きがより激しくなる。必死に受け入れるヴィオレッタの指が、アリアの背中に食い込む。


 二人のエキサイトが終わると、ヴィオレッタの肢体はアリアの腕のなかにあった。

 一度はやつれた体も、次第にもとの膨らみを取り戻してきている。心地良い、きめの細かい白肌は、いくらさわっても飽きなかった。

 アリアは歓喜を秘めながら、もう触れていないところのないヴィオレッタの身体を、再び撫でていく。ヴィオレッタは、それをくすぐったそうにしながらも受け入れていた。


 ふと、アリアは腕の中のヴィオレッタと視線を合わせると、口を開く。


「ねえ、ヴィオレッタ。外の世界は、怖いでしょう? だって、あなたは罪人だもの。だから、ここでいいでしょう?  ずっと、わたしのそばにいてくれるよね?」


 それは、アリアが初めて、ヴィオレッタにした懇願だった。

 ヴィオレッタは力強さを持ちつつも、自身よりも小さい身体を抱きしめ返す。


「ええ、約束するわ」


 アリアは小さな子どものように無邪気に笑った。




 夜が明けると、アリアはヴィオレッタを庭園に誘った。久しぶりの外に戸惑うヴィオレッタを、優しくリードするアリア。

 庭園の東屋には、使用人たちによってティータイムの用意がされている。


 長い冬が明け、未だ春に入ったばかり。肌寒さを打ち消すために、二人は隙間をなくして座る。ヴィオレッタの手足に、既に枷はない。


 お茶を注ぐと、すぐさま使用人たちは下がる。

 アリアは手ずから、ヴィオレッタに軽食やお菓子を与えていく。いくら食の細さがなくなり、以前の食欲を取り戻したとはいえ、もともと細身であり食べる方ではない。


「もうお腹いっぱいだわ」

「では、これはわたしが食べましょう」


 ヴィオレッタにあーんするつもりだったクッキーは、アリアの口の中に消える。


「――愛してるわ、アリア」

「わたしもです。……世界で一番、美しいわたしのヴィオレッタ」


 春風が吹いた。





 ■





――――――



【リュシエール王国記】より一部抜粋


 賢王の時代あり。賢く勇ましき王と、優しく麗しい聖女の時代。両者、力を合わせ、王国を治む。

 光の聖女、王弟と婚姻し、セラフィーナ侯爵位を継承す。子おらず。しかれども、聖女は民すべての母なり。かの慈愛、王国全土をあまねく照らす。聖女の御世に、災厄あらず。最も幸ある時代なり。

 御治世に生を受けしこと、我が最大の幸運。光の聖女に、祝福あれ。



――――――



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