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現状把握は大事

アメリア現状把握。 10月2日加筆修正しました

 数日が経ち、熱が冷え頭がスッキリしてきた。まず初めに視界に入ったのはアメジストブロンドの髪だ。普通の人間がアメジストブロンドで生まれてくる訳でもないから、多分異世界だろう。衛生観念が現代日本に類似している点はすごくありがたい。テレビの芸人が言っていた。旅行や移住は文化のギャップが最大の敵なのだと。だがまさかコンビニご飯をレンチンし食べていた時に適当に流していたアニメの類似世界に転生するとは誰が考えるのだろう。少なくとも私は考えない。

 もし、これが異世界なら一つ問題がある。私は特にゲームやアニメにどっぷり浸かっていた訳じゃない。そもそもまとまって何かを見る時間がなかったから、アニメや漫画の類はほぼ分からない。要するにかなりにわかだ。もしこの世界がいわゆる乙女ゲームだとしても、漫画やアニメの世界でも気付けないし分からない。気づかないうちに物語が進行し、破滅する可能性がある。まあ一度自分で死んだ身だ。特に命に未練はない。

 情報がようやく掴めてきた。記憶が鮮明となり、前世を思い出すまでの記憶がうっすら思い出す。私はアメリア・ペンブルック。少し前に4歳を超えたところだ。

 父はライオネル・ペンブルック。まさかの侯爵である。教科書でしか見たことのない。私と同じアメジストブロンドをもち深海のような青い瞳の人だ。記憶を辿ると厳格だが神経質さはなくいつも柔和なイメージがある。母はベアトリスペンブルック。ルビーブラウンの赤い瞳。たまに苛烈さが見え隠れする人。そしてアルバート・ペンブルック。三歳差の兄。私が転びデコをぶつけたとき手を差し伸べてくれた人だ。父譲りの髪と瞳を持ち母譲りの冷徹な面立ちの人。そして私のギャン泣きを目撃した人だ。

 

(恥ずかしい!!)


 この体の兄とはいえ6歳の子にいい歳した大人が大泣きしたのだ。体は子供だけど。記憶に探りを入れてみて解ったことなのだけど、この体アメリアがあの衝撃で死亡した訳ではなく元々持っていた記憶の蓋が開いただけのよう。性格についてはよく分からないから何もいえないが少し安心した。身勝手に死んだ人間が子供を殺して体を乗っ取ったなんてことあっていいはずないのだから。


 (でもまさかの侯爵家か、さすがに2度目の自殺はダメだろうな。)


侯爵家の令嬢が死んだとなれば上も下も大騒ぎになるのは明らか。もしかしたら関係のない人が被疑者にあがってしまうのかもしれない。それはダメだ。でもこれ以上は何か努力ができそうもない。前の人生で散々頑張ってあのザマだったから。あまり思い出したくない記憶を引っ張り出していしまい。少し鬱々とする。


(もういいや、起きちゃおう。寝てばっかも暇だし)


久しぶりに動かすのだろう体を起こし、ベッドから出てみる。床が少しひんやりと冷たい。部屋を見渡すと大きい窓に朝日が差し込んでくる。部屋はなんか高そうな家具が置かれ、場違いのような居心地の悪さを感じる。隙間風は一切なく清潔感に満ちている。未熟な体特有の動かしにくさを味わいながら、姿見の前に立つ。 


(あぁほんとに違う姿になっているんだ。知らない顔)


 前の姿に一切の未練はないが21まで連れ添った姿だ。ほんのわずかな郷愁に見舞われながらもまじまじと姿見を見つめる。確かにみたことがない姿だ。だがどこか予想通りの肩までのアメジストブロンドと赤い瞳。現代だと染めないとお目にかかれない髪色だ。


( 前は少し茶髪にしただけで職場に何しにきたのとお局に嫌味を言われてめんどくさかったな)


少し感傷に浸りながらもくるりと一回りする。綺麗な顔立ちだ。今ですらこれだから将来は恐ろしい美人に育つだろう。あまりの現実感のなさにどこか他人事のように感じながら、ベットに戻る。

すごい床が軋まないし足の裏にゴミがくっつかない。

記憶通りなら枕元のサイドテーブルのベルを鳴らす。


「おはようございます。アメリア様体調の方はいかがですか」


顔を洗うための桶を持ってきたメイドを従えながら侍女は微笑む。看病しながら頭を撫でてくれたあの侍女だ。栗色の髪がきっちりと纏められながらも愛嬌のある面立ちである。記憶を探ると確か名前はセーラ。男爵家出身らしい。年齢は16。


 (16!!私年下の女の子の腕の中でギャン泣きしたの?!!)


あまりの羞恥に心の中でのたうちまわりながら身支度を整える。スリープウェアを脱がせられ白のブラウスに夏初めのような緑のワンピースを合わせ着せられていく。誰かに世話をしてもらえるという環境になれない。


「今日は旦那様が、朝食に参加させられるそうなのでダイニングルームにお集まりくださいとのことです。お嬢様の体調が回復したと聞き非常に楽しみにされておりましたよ。」


ドレッサーの前に座り、されるがままに支度が整えられていく。

旦那様、きっと父である侯爵のことだろう。記憶を除くと、いつもは部屋で朝食をとっていたから、これはきっと珍しいことなんだろう。そういえば私は父親という生き物を知らない。どう接するべきだろう。鏡越しにセーラが髪にリボンを巻きつけ、慣れた仕草で編み込む。頭に触れられた時に反射で動いてしまったことはどうかバレないでほしい。


 

二千字書くって大変ですね。地の文やらその他諸々模索中です。

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