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『私の隣の運命の人』―恋が教えてくれた、愛のかたち―  作者: トムさん


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9/12

第9章 最後の会話

次のウェブ会議の日、私は悩んだ。


ISAMUさん(お父さん)に、気づいていることを伝えるべきなのか。それとも、知らないふりを続けるべきなのか。


でも、私は決めた。正直に話そう。


「ISAMUさん、お疲れさまです」


「ゆいちゃん、こんばんは。今日はどんな話をしようか」


「ISAMUさん、私、気づいてしまいました」


「…何を?」


「ISAMUさんの正体」


長い沈黙が続いた。


「ISAMUさんは、星野勇武さんですよね。私のお父さん」


また沈黙。


「どうして…気づいたの?」


ISAMUさんの声は震えていた。


「いろんなことが重なって。でも、一番の決め手は、私のことを愛してくれているって気持ちが、画面越しでも伝わってきたからです」


「ゆい…」


「お父さん、どうして正体を隠してたんですか?」


「君を混乱させたくなかった。それに…君に嫌われるのが怖かった」


お父さんの声は、もう泣いているようだった。


「嫌いなんかじゃありません。ずっと、見守ってくれてたんですよね。匿名の贈り物も、お父さんからでしたよね」


「ごめん…勝手なことをして」


「勝手なんかじゃありません。すごく嬉しかった。誰かが私のことを大切に思ってくれてるって感じられて」


私も涙が止まらない。


「お父さん、どうして会ってくれないんですか?」


「ゆい、君はまだ若くて、これから素敵な恋をして、素敵な人と出会うんだ。僕は…僕は君の父親として、君の幸せを遠くから見守っていたい」


「でも、私は…」


「君の気持ちは分かる。でも、それは恋じゃない。君が求めていたのは、父親の愛情だったんだよ」


お父さんの言葉に、私はハッとした。


確かに、私がISAMUさんに惹かれたのは、優しさや包容力、私を大切に思ってくれる気持ち。それは、恋愛感情というより、私が無意識に求めていた「父親の愛」だったのかもしれない。


「ゆい、君は僕の自慢の娘だ。君がこんなに素敵に育ってくれて、お父さんは本当に嬉しいよ」


「お父さん…」


「でも、これからも君の人生に直接関わることはできない。君には君の人生があるから」


「そんな…せっかく会えたのに」


「いや、会えたんだよ。こうして話せて、お互いの気持ちを確かめられた。それで十分だ」


私は泣き続けた。嬉しいような、悲しいような、複雑な気持ちだった。


「ゆい、これからも君の配信は見させてもらう。でも、ISAMUとしてではなく、一人の視聴者として。君が幸せに生きている姿を、遠くから見守らせてほしい」


「お父さん…」


「君を愛している。それだけは忘れないで」


その日のウェブ会議は、それで終わった。

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