第6章 母親との会話
その夜、珍しく帰りが早かった母さんと夕飯を食べながら、何気ない会話をしていた。
「結衣、最近なんだか元気ないけど、何かあった?」
「…別に、何もないよ」
「本当に?恋の悩み?」
「お母さん!」
「だって、最近パソコンに向かってる時の顔が、なんだか恋する女の子の顔してるもの」
母さんは笑いながら言う。
「お母さんも昔は女の子だったのよ。分かるの」
「…実は」
私は思い切って、ISAMUさんとの出会いから今日までのことを話した。もちろん、配信のことは内緒にして、ゲーム仲間として知り合ったということにして。
「年上の男性か…そういえば、結衣のお父さんも年上だったなあ」
「お父さんの話?」
母さんはあまりお父さんの話をしない。私も小さい頃の記憶がほとんどなくて、写真もあまり残ってない。
「お父さんって、どんな人だったの?」
「優しい人だったよ。すごく結衣のことを大切にしてくれて」
「じゃあ、どうして離婚したの?」
母さんは少し困ったような顔をする。
「お互い若かったし、いろいろあったのよ。でも、結衣のことはずっと愛してたと思う」
「今、どこにいるか知ってる?」
「さあ…もう連絡も取ってないし。でもね、結衣」
母さんは真剣な顔になる。
「愛っていうのは、恋愛だけじゃないのよ。見えないところで誰かを大切に思って、その人の幸せを願うことも愛なの」
「見えないところで?」
「そう。直接会えなくても、遠くからでも、その人のことを思って、その人が幸せになることを願う。それも愛の形の一つよ」
母さんの言葉が、なんだか胸に響いた。




