表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/12

最終章 運命の形

高校卒業の日。


私は卒業証書を受け取りながら、会場のどこかにお父さんがいるんじゃないかと、なんとなく思った。でも、探したりはしない。それが、今の私たちの関係だから。


その夜、最後の配信をすることにした。


「皆さん、長い間ありがとうございました。明日から専門学校に通うので、配信は一度お休みすることにします」


チャット欄に「寂しい」「頑張って」のコメントがたくさん流れる。


「でも、いつかまた、今度はウェブデザイナーとして、皆さんとお会いできるかもしれません。その時は、もっと成長した私を見せられるように頑張ります」


配信の最後に、私は特別な言葉を言うことにした。


「そして、ずっと見守ってくれた特別な人へ。あなたのおかげで、私は愛とは何か、家族とは何かを学ぶことができました。ありがとうございました」


チャット欄に、最後のコメントが流れた。


「こちらこそ、ありがとう。君に出会えて、本当に幸せだった。これからも、ずっと応援してる」


私は涙を流しながら、配信を終了した。


お父さん、ありがとう。


私は、あなたの娘で本当によかった。


---エピローグ


それから3年後。


私は専門学校を卒業して、小さなウェブデザイン会社に就職した。毎日充実していて、楽しい日々を過ごしている。


そして、ついに念願叶って、自分のウェブサイトを立ち上げることになった。


サイトの「About」ページに、私はこう書いた。


「私のデザインは、遠くから見守ってくれる人の愛に支えられています。直接会うことはなくても、確かに感じられる温かい愛情。それが私の創作の源です」


サイトを公開した次の日、私のメールアドレスに一通のメッセージが届いた。


件名:「素敵なサイトですね」

差出人:ISAMU_WD


「結衣へ

君のサイトを見ました。本当に素晴らしいデザインで、お父さんは誇らしく思います。

君が幸せそうで、本当によかった。

これからも、遠くから応援しています。

愛を込めて

お父さんより」


私は泣きながら、返信を書いた。


「お父さんへ

ずっと見守ってくれて、ありがとうございました。

お父さんのおかげで、私は愛の本当の意味を知ることができました。

今の私があるのは、お父さんのおかげです。

いつか、普通にお茶を飲みながらお話しできる日を楽しみにしています。

でも、今のこの関係も、私にとってはとても大切で美しい愛の形です。

愛を込めて

結衣より」


これが、私たちの愛の形。


運命の人は、確かに隣にいた。恋人としてではなく、お父さんとして。


遠くから見守ってくれる愛。それが、私にとって一番美しい愛の形だった。


私は今、本当に幸せだ。


【完】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ