表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

第10章 新しい始まり

それから1ヶ月が経った。


ISAMUさんは本当に来なくなった。でも、時々、知らないユーザー名で簡潔なコメントが流れる。きっとお父さんだと思う。


匿名の贈り物も来なくなった。


でも、私は悲しくない。


お父さんは、ずっと私のことを愛してくれていた。遠くからでも、見守ってくれている。それが分かっただけで、私の心は満たされている。


私が感じていた「恋心」は、確かにお父さんが言った通り、父親の愛情を求める気持ちだったのかもしれない。でも、それに気づけたことで、私は一つ大人になれた気がする。


「結衣、最近すごく大人っぽくなったね」


美咲に言われて、私は微笑む。


「そうかな?」


「うん。なんか、前より落ち着いてるし、優しくなった気がする」


確かに、私は変わった。ISAMUさん…お父さんとの出会いを通して、愛にはいろんな形があるってことを学んだ。


恋愛だけが愛じゃない。


家族の愛、友達の愛、見知らぬ人からの優しさ。そして、遠くから見守ってくれる人の愛。


私は配信を続けている。以前より自然に、楽しく話せるようになった。きっと、心に安定した愛情があるからだと思う。


「今日も見てくれてる皆さん、ありがとうございます!明日もまた、楽しい時間を過ごしましょうね」


配信を終えると、チャット欄に「お疲れさま」のコメントがたくさん流れる。その中に、いつものように短いコメントが一つ。


「今日も素敵な配信だったよ」


新しいユーザー名だけど、この温かい感じ。きっとお父さんだ。


私は画面に向かって小さく手を振る。


「お父さん、今日も見てくれてありがとう」


声には出さないけど、心の中でそうつぶやく。


お父さんは気づいてくれるかな。きっと気づいてくれるよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ