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第8話:最後の分岐を迎える前に

舞踏会の準備が進んでいる。


宮廷は華やかな装飾で満たされ、あちらこちらで貴族たちが浮き足立っている。


──そう。次は“告白イベント”だ。


ルシアン様が、聖女ユリアに心を寄せ始める重要なフラグポイント。

ここで好感度が一定以上なら、彼の口から明確な恋慕のセリフが出る。


逆に言えば、ここでクロエとの立場が“決定的に”入れ替わる。


 


わたしは自室の鏡の前でドレスを選ぶ。

もちろん、ルートに最適な“純白のドレス”を選択。


「まるで聖女様にぴったりですわ」と侍女が言うたびに、心の中で笑う。


 


──これでいいの。いや、これが“正しい”の。


 


クロエ・オルディアはここで不穏な噂を立てられ、王子の信用を失い、

やがて孤立し、断罪イベントへと進む。


わたしが積み上げてきたフラグが、それを導く。


全部、完璧。


 


でも、なぜか。


胸の奥が、少しだけざわつく。


 


あの日、あの中庭で見たクロエの涙が、まだ頭の隅にこびりついている。


泣き方があまりに“人間”だったからだろうか。


いや、違う。気にする必要なんてない。


だって彼女は、“断罪されるべき存在”。


ルシアン様の婚約者? 王家の縁者? そんな設定、全部、わたしが“上書き”してあげる。


 


この物語の中心にいるのは、聖女ユリア=フォールン。


わたしなんだから。


 


そう思って、胸元に手をあてる。


──ドキリ、と一拍。


鼓動が、少しだけ速い。


 


なに? 不安?


違う。期待。勝利への高鳴り。


わたしは、ただ“正しい結末”に進んでいるだけ。


その途中で、ほんの少し心が騒いでも──それは、きっと“演出”の一部。


 


さあ、幕が上がるわ。


次の舞踏会は、わたしが真に選ばれる“告白イベント”。


この世界が、わたしを認めるその瞬間──


 


──いらっしゃい、“ヒロインルート”の最深部へ。


 

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