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第3話:イベント発生の条件はすべて満たした

 夜の舞踏会──というより、わたしにとっては「第1ルート分岐イベント」。


 中央のホールは、煌びやかなシャンデリアに照らされている。

 貴族たちが行き交うその隙間を、私は意図的に王子の隣へ近づいていく。


(好感度は十分。謁見での第一印象も良好。ここで“あの女”と鉢合わせすれば、イベント発生条件は完璧)


 そして現れた、真紅のドレスを着た少女。

 黒髪、涼しげな眼差し、完璧に整った立ち居振る舞い。

 ──クロエ・オルディア。


 シナリオ通りの登場。


(ふふ、こっちから絡んであげる)


 わたしは軽く会釈して、にっこりと笑いかける。

「まぁ、オルディア様。素敵なお召し物ですね」


 一見、聖女らしい褒め言葉。

 でも、そのまま続ける。

「……まるでこの場の主役みたい」


 瞬間、周囲の空気がぴりりと張り詰めた。

 クロエがわずかに目を細めたのを、見逃さない。


(はい、これで第一衝突イベント、発生確定)


 “あの女”の反応を、わたしは知っている。

 ここで耐えれば、王子の好感度が上がる。

 感情を露わにすれば、“嫉妬深い令嬢”として噂が立つ。


 つまり、どっちに転んでも、わたしの勝ち。


「……あなたこそ、お似合いですわ」

 クロエが丁寧に返す。


(ああ、可愛いな。知らないんだ、これがもうゲームだってこと)


 わたしは、ひとつひとつのフラグを回収していく。

 この世界のすべてを知っている“プレイヤー”として。


 ……もう、動き始めた。

 わたしの“完璧な断罪ルート”が。



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