『転生ヒロイン、やりすぎました。』

乙女ゲーム『聖なる刻のロゼリア』。

私――ユリア＝フォールンは、その正ヒロインとして転生した。

この世界はゲーム。だから私は、愛されるべき存在として、愛される努力をした。

民意を味方に。王子の好感度は常に最高値。
“悪役令嬢クロエ＝オルディア”がフラグを立てる前に、すべてを潰してきた。

結末はもちろん、断罪。

彼女が泣き叫び、私が王子に手を引かれて去る――
それがこの物語の“正しいエンディング”。

なのに。

何かがおかしい。

あの悪役令嬢の瞳に、もう一度会いたくない。
あの断罪が、本当に終わりだったのか、分からない。

私は、正ヒロインとして、愛されたかっただけなのに。