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諦めた先の光 

残り4話ね?

僕は朝からくだらない会議に参加をした。


領地に"補助金を寄越せ"という嘆願書に対して返答をする。と言う名目で、


国益を横領する、無能な領主を集めた。


勿論、一斉捕縛する為だ。


「・・・今までご苦労だった。連れて行け」


ベーレンを中心とした騎士団に

貴族が続々と連行されて行く


「お待ちください!シュラーフ様!違うんだどうか話を聞いてください!」

恰幅のいい髭を生やした貴族は、

話を聞いてと、言ってくるけど


お前は、奴隷に手を出した時点でアウトなんだから、これ以上は黙ってくれないか?


アイツらも、国王が兄じゃなければ、もっとまともに働いたんだろうか・・・


——-感傷に浸るな。しっかりしろ


「部屋に戻る。行くぞ」


僕は気持ちを切り替え、

あくまでも、冷静な国王を演じた。


今回の捕縛で、貴族内に巣食っていた、

粗方のゴミは排除出来たはずだ。


僕は、会議が終わり次第、

ケルナーを引き連れ部屋を出るが


「シュラーフ様、公爵が来ます。多分縁談の話かと」


ケルナーに言われ、

進行方向に目を向けると


コレまた、ギラギラした目の

アクの強そうな公爵が、微笑み待っていた


「シュラーフ王におかれましては・・・」

面倒くさいな


「挨拶はいい。要件は?」

僕は失礼は承知で、挨拶を遮った


「・・・お考えになって頂けましたか?」

はあ、しつこいんだよなぁ


「今はまだ無理だ」

何度も何度も同じやり取りだ


「でしたら、婚約だけでも、娘もそろそろいい歳でして」

それはコッチには関係ないよな?


もう、いいや、切り捨てよう


「お前の娘は、王子(バカ)に媚びていなかったか?良く廊下で盛っていたぞ?」

親子揃って、上昇志向が強いな?


と、娘の素行を伝えたら


顔面蒼白になり、


「も、申し訳ありません。用事を思い出したので、御前失礼致します」

と、走り去っていった


「シュラーフ様・・・」

ケルナーが僕の物言いに眉根を寄せる


「奴は、ギリギリ粛正されなかった側だ。ちゃんと線引きはしてるから大丈夫だ」


僕は小声でケルナーに伝えた。


角を曲がると


柱の向こうにも、貴族が待っている

どうせ同じ話だろう


———ウンザリだ


「シュラーフ様、私が引き受けます。無視してお進みください」

そう言って前に出ると


「国王は多忙につき、用があるなら私に」

と、ケルナーが声を張り上げた。


「済まない、頼む」

僕は、立ち止まらず、颯爽と執務室に向かう


ケルナーが全て引き受けたおかげで、

止められる事無く執務室に戻った。


——-ごめんケルナー


最近は、ケルナーの負担が増えている。


今までだって、かなりの仕事量だった。

本当に良く支えてくれている。


いつか、ちゃんと礼をしたいな


考えながら歩いていると

僕、個人の執務室に直ぐに着いた。


ホッと息を吐く


重たいマントを脱ぎ、ソファに投げ捨て

椅子に"どかっ"と座り天井を眺めていたら


「会議、お疲れ様でした。何かお飲みになりますか?」

ケルナーが戻ってきた。


戻り次第、僕の世話とか凄いな


「ケルナー、いつも済まない。茶は任せるよ。お前も一緒に飲もう。急ぐか?」

最近、茶すらまともに飲んでなかったな


「問題ありません」

そう言って、ハーブティーを入れてくれた。


コレは、トーコのハーブティーだな?


「いつのまに?先日切らさなかったか?」

在庫が無くなって、ガッカリしたところだ


「昨日、夕方にトーコが配達しに来てくれました。正直助かりました」

ケルナーが穏やかな顔で笑う

 


——こいつ、こんな笑い方したっけ?



一瞬、考えたが、ハーブティーの香りに気が逸れて、すぐ忘れてしまった


「シュラーフ様、今は多忙で通りますが、粛正が終わり、落ち着き始めたら、そろそろ言い訳出来なくなります。どうされますか?」


分かっている・・・だけど・・・


「貴方は今、どう考えていますか?」

ケルナーは、姿勢良く佇み話を聞いている。


僕の意見を、最優先にするつもりだろう。


「ケルナーは僕の片想いを知ってるだろう?

こんな事になるなら、思い出だけでも作れば良かったかな?」

まだ、好きなんだよな・・・


「今でも彼女の事を?」

ケルナーは、否定はせず聞いてきた。


「正直、諦めきれずにずっと好きだったよ。

だけど、いい加減、国の事を考えなければならないのは分かってる。彼女以外なら誰でも一緒だ、ケルナー相手を探しておいてくれ」


ケルナーなら、

適当な相手を見つけてくれるだろう


「畏まりました。実は、既に、日程をくんであります。釣り書きをみますか?」

ずっと待ってくれたのは分かるが、


ケルナーの割り切りの速さに

苛立ちを覚えた。


「いらん、1人にしてくれ」

ケルナーから受け取った見合いの絵姿を

ソファから投げ捨てる


「・・・失礼致します。何がありましたら、隣に控えておりますので、お呼びください」

スッと礼をして、釣書を拾い

投げ飛ばしたマントをスタンドに掛けて


拾った釣書をソファのテーブルの上に

そっと、丁寧に広げて置いて行った


「わざわざ広げるとか、嫌がらせか?」


と、不貞腐れながら仕事に取り組む。仕事に没頭したため、すっかり先程のやり取りを忘れ


資料を持ったままソファにすわり


ふと、机の上の姿絵に目が留まる





パサリと手から資料が落ちた




僕は、震える手で、


恐る恐る姿絵を手にした


そこには・・・




「アルゼ・エンゲ・アウスヴェーク」


と、名前が書いてあり、


どう見ても、僕の片想い相手の、

魔道具師アルゼの姿絵だった



アウスヴェーク?

ペリル様の縁者だったのか?



僕は混乱して、




「ケルナ———!!!」





と、叫んでしまった。




シュラーフ頑張れ!

アルゼはこちらには詳しく書いてないけど、

ペリルの異母妹で、ちゃんと籍もあるし、実家は勿論ペリルと一緒です。けど、本人の希望で平民として生活してます。


次回、娘の結婚前夜です






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