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溢れる気持ちと託す想い 

まぁ!どうしましょう?

話の後。迎えに来たペリルと

共に帰るチャコちゃんを見送り。


瑠璃とカウンターでコーヒーを飲む


「お母さん、私どうしたらいいのかな・・・」

瑠璃は迷っていた


「それは帰還の事か、それともソージュとの関係のどちらの事かしら?」

返す言葉は「好きにしなさい」だけど


瑠璃は、今までの人生と

これからの人生を天秤にかける事になる


娘はどちらを選ぶのだろうか


「本当に忘れちゃうのかな?」


ああ、瑠璃は本当に

思い出だけ持って帰るつもりだったんだ


「お母さんが生きて来た限り、聞いた事すらないわね。来た人に記憶があったら、今ならネット上にでも拡散されてる筈よ」


似たような時代から

呼ばれているなら尚更だわ


「そう・・・だよね」


瑠璃はそう言って、

カウンターに顔を伏せた


「瑠璃がソージュの事が好きなのは、わかってるけど、彼を選ぶなら頑張ってきた仕事は出来なくなるわ。それはいいの?」


娘が全力で挑んできた事だ。

後悔して欲しくはない


「仕事か・・・私ね、前に仕事し過ぎて、振られたじゃない?その後、仕事に身が入らなくなって・・・結婚に逃げようとしたのかも知れない」

そんな状況だったのね


「知らなかったわ。瑠璃が辛かった時、気付いてあげられ無くてごめんね」


私は、ちょっと能天気すぎたわね


「お母さんは悪く無いわよ?ただ、私は薬草が好きなだけで、仕事自体は、薬草に関われるなら、なんでも良かったって話」


そうか、なら


「こちらにいても構わなかったの?」


仕事が出来なくて、不安になったのは

私だけだったのかしら


「仕事は、今も楽しいわよ?娯楽は無いけど、魔法も楽しいし、お母さんと働けるし」


私は思わず泣きたくなった


「じゃあ、お母さんと一緒にここに残る?」


私は瑠璃がいるなら

こちらでも全力で頑張るわ


「正直迷ってる。ここでの事、忘れたくは無いの。でも・・・」


ソージュの事だろう。

瑠璃は、また顔を下げてしまった


迷わなくても、彼は貴方のことを、

大切に想っているのよ?




カランカラン♬




いきなりの来客に驚き振り向くと



「あら、ソージュいらっしゃい」



ソージュが、

丁度いいタイミングで現れた



瑠璃は驚き、思わず立ち上がっている



彼は瑠璃に近寄ってきたが

瑠璃は慌てて裏に逃げようとして



ソージュに捕まった、

壁際に追い詰められている



–––––あれじゃ逃げれないわね



瑠璃は両手首を

壁に押さえられ固定されている





「瑠璃頼む、俺の話を聞いてくれ」



瑠璃は多分、

思考回路が容量オーバーしたのだろう



掴まれた腕を見て、

混乱したまま、ソージュを見ている



–––––瑠璃、頑張って



私は静かに見守ろうと思ったら









「好きだ」









シンプルな告白に瑠璃は驚いたのか、

固まっている



思わず私までドキドキする

なんて、真っ直ぐな言葉だろう。



その言葉は必ず瑠璃に届く筈だ







「この先ずっと、俺の隣にいて欲しい」







ソージュは必死だから気付か無いけど

それはもうプロポーズよ?



私はソージュの必死さが嬉しくて

思わずふふと笑う



–––––微笑ましいわね



でも、もう少し

気持ちを伝えないと、



女心は掴めないわよ?



でも瑠璃は、

明らかに顔が赤いし、嬉しそうだ



あの顔を見られたら、

瑠璃の気持ちなんかバレバレね?







「あ、あの」



瑠璃が何かを言いかけたけど





ソージュに掴まれ、壁に貼り付けられた、

瑠璃の手が、心配だから、



そっと声を掛けた



「お話し中にごめんなさい。2人とも大事な話をするなら、立ってないで座ったら?」

落ち着いて話をした方がいいだろう





私が声を掛けると、2人して

「見ていたの?」って顔をして



お互い顔を見合わせ、

ちょっと気まずそうにしながら



大人しく近くの椅子に座った



ソージュは瑠璃の椅子を引く

育ちがいいのか、紳士的な行動をする



–––––瑠璃、素直になるのよ



私は暖かいコーヒーを淹れ

2人の前に差し出し





「ソージュ、さっきの、プロポーズの言葉よね?ちょっと急ぎすぎじゃないかしら?」





と、ソージュに意地悪を言う。



だって、瑠璃を悩ませたのよ?

瑠璃の心がしっかり満たされるくらい





愛を伝えて貰わなくちゃね?





私はソージュに目だけで笑いかけた。

応援してるから頑張って







「すまない、やり直す」




そう言って、瑠璃に向き合うソージュは

本当に素直な人だと思う。


瑠璃を見ると、

「お母さん助けて」と目が訴えている


多分、緊張し過ぎて

不安になり怖くなってきたのだろう


瑠璃の誤解を解く為に

私からソージュに話を振ってみた


「ソージュ、この前来た時、かなり嫌そうだったわね?セリナは苦手だったの?」


瑠璃が気にしているのは、

きっとこれだけだ。


「苦手と言うなら、俺の感覚では全ての女性は苦手ですね。あの日、任せる事が出来る者が居なくて・・・」


ソージュは

思い出すのも嫌なのか、顔を歪めた


「でも、仲良さそうだったじゃない」

瑠璃はそれでも納得出来ないのだろう


「あれは・・・好きな女性の前に、任務とは言え他の女と並ぶのが嫌で、距離を置いていたら掴まれて・・・気にしてくれたのか?」


ソージュは、瑠璃の不機嫌が

ちゃんとヤキモチだと認識した様だ


「あの時、瑠璃は全くこちらを見なかったから、キスした後、仕事したのがダメだったのかと落ち込んで居たんだ」


あら、いつの間に?


「ちょっと、言わないでよ。仲良く腕組んで居たから、見たくなかっただけよ」


——-大丈夫そうね?


私はそっとそばを離れた



瑠璃、見えていなかっただけなら

ちゃんと話を聞かなきゃいけないわよ


「彼女は、闇落ちした実績があるから、下手に刺激すると、周りに被害が出る可能性があったんだ。だから拒否出来なかった」


顔にはしっかり出ていたけどね?


「じゃあ、なんで来てくれなかったの?」


瑠璃、あなた、随分とソージュに

甘えられる様になったのね


「それは・・・ごめん。俺の弱さだ」


私はあの時、瑠璃が

「来なくていい」と言った事を知っている



——-瑠璃のせいにはしないのね?




ソージュ、あなたに


私の大切な娘を、任せてもいいかしら?






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