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寄り添う心と揺れる思い 

その気持ちは、ありがたいわね

なんとなく、互いの距離感を測りながら、

ケルナーに娘の話を聞いて貰う事は



これで最後かもしれないわね・・・



そんな感傷に浸っていたら、

ケルナーの雰囲気が、急に力強くなった。



何があったのだろうか?



ケルナーの表情を見たら、

決意に満ちた顔をしている



「勇者チャコを、早急にこちらに呼び、ルリに合わせたいと思います」



ケルナーは、

そう言って通信具を取り出し



「夜分に申し訳ありません。シュラーフ様の執事の・・・はい、ケルナーです。唐突なお願いなのですが、勇者チャコ様を近日中にお借りできないかと・・・いえ、プライベートです」


チャコちゃんを借りるって事は、ペリルね?


「いや、そうではなく、ソージュ様との関係に対して、ルリにアドバイスを頂きたく」


ペリルなら、よく分かっていそうよね


「違います。いえ、違わないですね。私の為です。はい、私の望む事です」


ケルナーはペリルから何か聞かれている?


「私が、2人を失いたく無いんです。ソージュ様はオマケです。これで納得して頂けましたか?」



私はびっくりした。



まさかケルナーが他人に対して

直接的な言葉を吐くとは、思ってなかった。


「はい、ではよろしくお願いします」


ケルナーは通信を切ると



はあぁとため息をつき、

その場にしゃがみ込んでしまった



「ケルナー、大丈夫?」


私もとりあえず

しゃがんで声を掛けてみた



「・・・聞いていましたか?」


伏せた腕の間から、こちらを

チラッとみながらケルナーは尋ねてきた



「ちょっとだけ?」


駄目だったかしら?



「勝手な事言って申し訳ありません。でも、私は、何もせずに諦めたく無いんです」


そう言って立ったケルナーに、

腕を取られて私も立ち上がった



「ケルナー、私達の為にありがとう」


私が礼を言葉にすると



「聞いていなかったんですか?

—————-私の勝手な我儘ですよ」



ケルナーは、

フウ、と深呼吸をした。


私は答えに困ったので、

別の話を振る事にした


「なんで、連絡するだけで、そんなに緊張してるの?」


通信中、ケルナーは明らかに緊張していた。



「あの方は・・・ちょっと強すぎて、思わず畏怖の念を持ってしまうのです」


ペリルに?なぜかしら?


「チャコちゃんにデレデレなペリルよ?」


ある意味凄いけど・・・

私は、2人のキスシーンを思い出していた



「デレデレですか?」


ケルナーは、意外そうだ



「もうね、2人揃うと熱烈なのよ。みているこっちがドキドキしたわ」


通信中の甘い声も中々だったわね



「彼に、そんな一面が?」


ケルナーは心底驚いている


「あら、意外だったの?」


私は、そんな2人しか知らない



「かなり"冷淡な方"だと思って居ましたけど、考え方を改め無ければなりませんね」


ケルナーは、認識を改めるようだ


「ペリルもソージュも、人を思いやる気持ちがある優しい子達よ?」


仕事だと別人なのかも知れないわ



でも、そんな事、よくあるわよね?



「分かりました。特別な人だからと、今まで構えていました。今後は気をつけます」


ケルナーはそろそろ帰りそうだけど・・・



「・・・ペリルって、そんなに強いの?」


ケルナーが構えるほどって


一体どのくらいなのかしら?




「多分・・・あの方が本気を出せば、世界統一も可能かも知れませんね」



ペリル・・・それは畏怖されるわよ



「では、もう遅いので失礼します」


ケルナーが帰る様だ。



「ケルナー、ありがとう。おやすみなさい」


私が挨拶をしたら



「必ず・・・いえ、失礼します」



ケルナーは

言葉を飲み込み帰宅した




カランカラン♬


翌日、のランチ後、

チャコちゃんはペリルと一緒にやって来た


既に客は無く瑠璃と、プッツェンは

奥の座敷で休憩をしている


「ペリル、チャコちゃん、来てくれてありがとうね」

私が声を掛けると


「透子さん、私はどうすればいい?」


チャコちゃんは、私に尋ねて来た


「今のままだと、ソージュに気持ちを残したまま、元の世界に帰るって言い出すと思うの。すれ違ったままだと良く無いから・・・」



私は、どうしたいのかしら?



「とりあえず、誤解を解けばいいよね?ペリル、帰りは後から連絡するね」


奥、お邪魔します!と、

チャコちゃんは元気に裏に入って行った


「トーコはどうしたいの?帰りたい?」

急にペリルに尋ねられた



「私は・・・どうかしらね」

正直、わからないのよね



「僕なら迷うくらいなら、残るかな。

帰らないからって、今までの人生を否定する訳じゃ無いと思うよ」



ペリルは後ろ手に手を振り、去っていった



あの子、私の心が、読めるのかしら?



私は店を閉め、人数分のお茶を持ち

娘達のいる部屋に向かった



「だから、別にソージュは関係ないわ、たかが恋愛で、私のキャリアが無くなるのが嫌なだけよ!」



部屋に入る前に聞こえた言葉に

私は思わず立ち止まり、そのまま話を聞いた



「ねえ、瑠璃、ソージュは、瑠璃に何か悪い事したの?この前は仲良かったじゃ無い」

チャコちゃんは静かに聞いているが


「別に、仲が悪い訳じゃ・・・ちょっとヤキモチを妬いちゃって・・・」

瑠璃の返事を聞き


「瑠璃、ソージュから昔の話は聞いたの?」

と静かに問いかけた。


「少しだけ・・・チャコの話も」

瑠璃は気まずそうだ


「瑠璃は私にもヤキモチ妬くの?」

チャコちゃんに聞かれ


「チャコには・・・妬かないわね?」

瑠璃はあれ?っと言う


「不思議だね?妬くなら普通、私じゃない?」

彼女は、真っ当な事を言っていた


「どうせセリナさんが、ソージュがイケメンだって、チヤホヤしたんでしょ?」

と、スパッと言い切った


「ソージュは絶対、セリナさんは選ばないわ、そもそもソージュ、瑠璃に一目惚れしてたし・・・あ、言っちゃった」


チャコちゃんが

しまった!と焦っている


「何それ!知ってたの?なんで教えてくれなかったの?」

瑠璃が慌てているけど・・・


「瑠璃は、何に迷っているの?」

チャコちゃんは

気にせず真っ直ぐに話を聞く


「だって、遊びかなって思っていたし、ほら、初めはイケメンだから、ワンチャン有れば?位の気持ちだったのよ・・・」

瑠璃の声が小さい


「でもね?好かれてるのかなって思たら・・・

セリナさんと仲良く来たから、私の事はやっぱりその程度かなって・・・」


私の娘、誰に似たのか

本当に恋愛下手よね


「ねぇ、それこそ瑠璃の気持ちが、その程度って事じゃないの?」

チャコちゃんがいい切る


「え・・・違・・・」

瑠璃が言葉を話すより先に、


「だって、相手が自分を好きにならないからって、想いを捨てちゃえるなんて、そんなの、好きでもなんでも無くない?」


チャコちゃんにも思う事があるのだろう

珍しく強く言っている。


「好きでもないのに、瑠璃は、ソージュに気を持たす事をしたの?」

チャコちゃんは瑠璃を問い詰めた


「そんなつもりじゃ・・・」

瑠璃の声は泣きそうだ


「ソージュはね?たった1人を求めているの。気を持たせて、傷つけていい人じゃ無いよ?瑠璃見てると、なんだか以前の自分を見ているみたいで心配」

チャコちゃんは、言葉をかけた


「私の時と違って、瑠璃はちゃんと好かれてるの。気持ちがないなら、ハッキリ断って?ソージュが可哀想だから」


チャコちゃんは

瑠璃を煽っているのだろう


私は、部屋に入るなら今かな?と思い


「お茶を持って来たわよ?2人とも外まで丸聞こえだったわよ」

と言って、お茶を出す


「あ、ごめんなさい。私、興奮してちょっと言い過ぎました」

チャコちゃんは、ハッとして瑠璃に謝った


「チャコ、ごめん。私、最低だったかも」


瑠璃は素直に頭を下げて

チャコに謝っている


「ほら、2人とも飲みなさい」


私が勧めたお茶を2人で飲むも

瑠璃は下を向いたままだ。


「瑠璃、難しく考えず、自分の気持ちに素直になりな?過去は過去、瑠璃が今見ているのはどこなの?」


チャコちゃんの言葉に、

瑠璃は顔を上げた


「瑠璃、昨日確認したんだけどね?元の世界に帰ると、こちらでの記憶は全てなくなるみたいよ」


私がそう言うと、

2人とも目を見張った



「彼を忘れてしまっても、

———————-—後悔しない?」



私は娘にひと言だけ言葉を伝えた。

その言葉は、自分にも当てはまっていた。


ケルナーは、決して口には出さない想いを

沢山抱えています。

チャコも瑠璃の背を、押したくて頑張りました


次回は、その言葉しか出てこなかった です


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