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聖女の祈りと棺の女性 

さあ、お仕事しましょうか?

シュラーフが国王に就任した。


本来なら即位式を

盛大に行う慣わしではあるけれど、


王族の不祥事を公表する事は出来ないので、


表向きは、王子が事故に遭い、

国王が精神的に病んだ事にし、自粛した。


実際は、とてもじゃないけど、

忙しくて、そんな事してる暇がないからだ。


今、特殊部隊が魔王討伐中なので、

帰還後に、お披露目をするなら、


その時"ついで"に顔出しするらしい。


そんな事でいいのか?


と、思わなくもないが、

たまに顔を出すらケルナーの疲労を見る限り


余裕が全く無いのだと思う。





今日も、平和に1日は始まり、

今は、「メシヤ」のランチタイムの時間


カランカラン♬


「いらっしゃい、今日も一緒なのね?」


扉から、リープとエーデルが現れた。

今日も、一緒に来た様だ。


「今日は、訓練が一緒だったんです」

と、エーデルがはにかみながら教えてくれた


「エーデル、いつもの席が空いてるよ」

リープは、席まで覚えていた様だ


リープに促され、2人で仲良く席に着いた。


2人は最近よく、一緒にランチをしに来る。

何となく、このまま上手くいきそうだ


何だか、嬉しくなりながら、注文の品を準備していたら、


カランカラン♬


「あら、今日は早いのね?」


いつもより早くに、ベーレンが現れた。


「ああ、今日はこの後から、忙しくなるから、早めに来たんだ」

ベーレンは、奥の2人を見て、フッと笑った


「あの2人、上手くいきそうよね?」

私がコソッと言ったら


「ああ、多分そうなるだろうな?」

と、ベーレンも、コソッと伝えて来た。


2人で笑った後ベーレンから、


「さっき、魔王討伐が終わったと、ケルナーから連絡が来た」

随分と早いじゃない


「得体の知れない女人を、保護したみたいだから、念の為、駆り出される事になった」

得体の知れないってどう言う事かしら?


「多分、トーコにも連絡が来るはずだ」


ベーレンは、食後の3倍パフェを食べながら、そう伝えてきた。


ランチタイムが終わり、お客様が落ち着いた頃に、私の通信具が光った


「トーコ、今お時間大丈夫ですか?」

ケルナーだ。わざわざ暇な時間まで、

待っていてくれたのだろう


「お疲れ様、ベーレンから連絡あるだろうって言われたわ。得体の知れない女って何?」


私は、時間短縮の為、

知っている事を先に話した。


「そこまで知ってるなら、話が早いですね。トーコに、聖女としての仕事の依頼です」


聖女の仕事、何するのかしら?


「何日後に、どの位時間かかりそうか、分かるなら、教えてくれるかしら」

店を閉めなきゃ行けないわ


「まだ、ハッキリとは言えませんが、もし、夜通し走られたら、明日にはお願いすることになりそうです」

え、そんなに早く着くの?


「随分近いのね?」

私は驚きそう言えば、


「特別部隊が特殊なだけで、本来なら3、4日、魔物が居るなら5日はかかります」

そんなに違うのね凄いじゃない


「あの子達って凄いのね?驚いたわ」

見た目ではわからないわ


「最強の部隊ですからね。お店はどうされます?瑠璃がやるなら、ベーレンを朝から護衛に置きますよ?」

どうかしら?


「ちょっと聞いてみるわ、待ってて」

私はケルナーを待たせたまま、瑠璃に尋ねる


「瑠璃、無事、魔王討伐終わったって」

まずは、気にしていただろう事を伝える


「え、早くない?そっか、終わったんだね」

瑠璃は、ホッとした後、複雑そうな顔をした


何か、思う事があるのだろう。


「それからお母さん、聖女の仕事があるみたいなんだけど、瑠璃がお店やるなら、ベーレンが護衛来てくれるって。どうする?」

今はとりあえず店の話だ。


「お母さんが、作り置きしてくれてるなら、プッツェンと2人で出来るから、やるわ」

瑠璃は、2人でやるつもりらしい。


「分かったわ。じゃあ、お願いするわね?」

そう伝えると、瑠璃とプッツェンは、

早速2人で話をしている。


「ケルナー、お待たせ、瑠璃が店開けるみたいだから、護衛お願いするわ」

私が返事をすると


「分かりました。明日か、明後日かは確定じゃないですけれど、お迎えに向かう時にベーレンを派遣しますね」

そう言ってケルナーは通信を切った。


私は、通信後に作れるだけ在庫を増やし、 日替わりメニューも作り置きにして

準備しておく事にした


翌朝、お店の開店前に、ケルナーが現れ


「トーコ、お願いします」

ケルナーは、約束通りベーレンを派遣してくれた。


「瑠璃、お店よろしくね?無理はしないで」

私が声を掛けたら


「大丈夫だよ。頑張って来てね!」

瑠璃と、プッツェンは張り切って私を送り出してくれた


「トーコの留守中、ルリには指一本触れさせないから、安心してくれ」

ベーレンが居るなら、全く心配無いわね?


「ベーレン、よろしくお願いします」

私は頭を下げてお願いした


ケルナーと2人で城に向かう途中、今日の仕事の話を聞いた。


「魔王の持っていた装置に、人間の女性が接続されていたみたいで、特殊部隊が回収して来ました」

装置に接続って・・・


「その女性は、かろうじて生きている様ですが、医務官達では難しいらしく、トーコに話が回って来ました」

まあ、聖女だし、そうなるわよね?


宮殿は、久しぶりに来たけど、何の思い入れもないからか、


特に何も感じなかった。


「ソージュ達は宮殿にまだ居るのかしら?」

戻っても、まだ忙しいわよね


「チャコさんに、何かあったみたいです。慌てて皆様、走って行かれました」

何かって・・・どうしたのかしら


「チャコちゃん、心配だわ。ところで、なぜ走ったのかしら?」

馬車じゃ無いの?


「詳しくはわかりませんが、帰還の話の途中から様子が変わり、ペリル様と2人で転移され、皆様がそのまま外に出て行かれました」


シュラーフはチャコちゃんに会えたのね


「私達も外に出ましたが、馬は後から取りにくるといい、荷馬車を鞄に詰めて・・・走って行かれました」


ちょっと意味がわからないかも


「何で馬を置いて走ったの?」

急ぎなら馬にのるわ


「聞こえて来たのは、走った方が速いと」

・・・馬より速い人達なのね


「特別部隊って存在そのものが特殊なのね」

私は思わず感心してしまった。


ケルナーに連れられ入った部屋には、

アル爺とゼーネンが待機していた。


部屋の中央に、ガラスの棺が置かれ、

中には、瑠璃と同じ位の女性が眠っている


胸が上下しているので、ちゃんと生きている


「・・・ワシらでは目覚めなんだ。トーコなら目覚めさせる事が出来そうなんじゃよ」


アル爺は、色々調べ様で、

手元には既に資料が束になっている


「分かりました。よく分からないけど、とりあえずやってみるわね?」


私は、彼女の身体の悪い所が治って、元気になって目覚める様にと祈りながら


パンパンっと柏手を打ち、

手を合わせて願いながら魔法を発動した


すると、棺に魔法陣が浮かび上がった


私の中から、

グンと魔力が引き出されたのが分かった


アル爺とケルナーが心配そうに見ているけどあれくらいなら平気だ。


魔法陣がフッと消えた後、


棺の中の女性の指ががピクリと動いた。

















ソージュ達は得体の知れない人を運ぶ為に

爆速で夜通し走り抜けます



次回は、待っていたのは私じゃないの?です


続きが気になったら、

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