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触れる距離、耐え忍ぶ理性

ほら、朝からいちゃついてないで、朝ごはん食べなさいよ・・・

襲撃の翌朝、俺は「メシヤ」の店内の椅子に座り目を閉じていた。襲撃犯は捕まえたが、本命ではなかったらしい。


後から王弟の執事である、ケルナーから情報を貰った。王弟が王となるなら、今後、彼と関わる事が増えるだろう。


いつ狙われるか分からないなら、と、店で待つ事にした。トーコは、部屋に入れと言うが、任務中は、2.3日眠らないのは当たり前だから問題ない。


一時部屋に入り、店に気配が無くなった後、俺は店の片隅に座り、目を閉じて周辺の気配を探っていた。目を閉じた方が、気配がリアルなので、そのままいたが・・・


裏に入る入り口から視線を感じる・・・


——-ルリだ


そう感じた瞬間、心が跳ねたが、今はまだ気配を探っていようと、そのままにしていたら、ルリがそろりそろりと近づいて来た。


眠っていると、勘違いしていそうだな?と思うと愉快な気持ちになる。目を閉じているからこそ、空気感で彼女の行動が伝わってくる


ルリは、こちらをみながらソワソワし、両手をグッと握り決意をした後、


——-俺の目に触れようとした。


俺は今、警戒し集中している。その為、手が伸びた瞬間


パシッ


瑠璃の手を掴んだ。


「ひゃっ!え?」

ルリが、驚き手を引くが、俺はしっかり握っている為手は抜けない。


「何をしようとしたんだ?」

理由を聞くまでは手は離せない。


「あ、ご、ごめんなさい。ソージュのまつ毛が余りにも長いから、ちょっと触ってみたくなって・・・」

俺の言い方が、強かったせいか、ルリが少し怯えてしまった・・・


———まつ毛が触りたいって・・・


瑠璃の可愛い要望に、俺は緊張感が抜けてしまい、手を離す


「触ってみますか?」


そう言って、目を閉じると・・・


「わぁ・・・本当に長い・・・ふさふさだわ?」

と、言いながら、俺のまつ毛をサワサワと人差し指で優しく撫でてるが・・・


———ルリ、近すぎる・・・


オデコに息が当たる。頬に髪が当たる。そろそろ、息をしても良いだろうか?


我慢ができず。そっと目を開けたら、目の前にルリの顔があった・・・


お互いバッチリ目が合い、俺は思わずヒュっと息を吸ってしまった。


——-ルリの纏う香りが脳内に焼き付いた


思わずパッと顔を背けた。ルリも同時に顔を背けた。ダメだ!危なかった!ホッと息を吐く


ルリをそっと覗きみたら、ルリも同じ事をした。返ってお互い恥ずかしい・・・


「あの、き、昨日は守ってくれてありがとう!」

取ってつけた様にルリが昨日のお礼を言ってきた。


「何も無くてよかった。この先も、ルリの事は必ず守るよ」

と、目を見て伝えたら、ルリが


「え?あっ、やっ」

と、声を上げて顔を押さえた。


——-怖がらせた?でも真っ赤?だな?


俺がルリの悲鳴に困惑していたら、トーコがカウンターから


「2人とも、いつまでも、イチャイチャしてないで、朝ご飯食べるわよ」

なんて言うから・・・


————2人で真っ赤になってしまった



慌しい朝から始まり、店の営業時間も平和に過ぎ、ランチタイムになった。


カランカラン♬


警戒のために、来客の度に客の確認をする。何かやろうとする奴は、空気感で分かるからだ。


———オリガンが来た。


オリガンは、特殊部隊の守りの要だ。


オリガンは、3日間の休息中だが・・・またナンパをしたのだろう。女連れで来店した。


俺は、顔を出した方が面倒だな?と、声をかける事はしなかった。キッチンの中で目立たない様に半歩下がった。


キッチンの中は店内より暗いので、あちらからは見え難いが、こちらからは丸見えだ。


あろう事か、オリガンは、連れて来た女性そっちのけで、ルリを目で追っている。あいつ・・・後から説教だな・・・


ふと瑠璃を見ると、さっきから、しきりに目を気にしている。何が入ったのだろうか?


その時、瑠璃は眼鏡をずらし、目元を擦った。一瞬、認識阻害が外れた。マズイか?と思い店内を確認したが、皆食べる事に集中していて気付いていなかった


———オリガン以外は・・・


オリガンは、分かりやすく、完全にルリに釘付けになった。もう、目の前の女性には目もくれない。


———厄介だ


そう感じた時、連れの女性が席を立ち、スタスタと出て行ってしまった。当然だろう・・・


オリガンは苦笑いしながら、ルリの元で会計をし、爽やかにルリに手を振り帰って行った


———とりあえずは、安心か?


その後も、時々ルリは目を気にしながらも、ランチタイムが終わる。


襲撃の心配があるので、客がいると危ないからと、情報が入るまでは店を閉めることにしていたので、今日はこれでおしまいだ。


———ルリはまだ目を気にしていた


「お母さん、なんか目に入ったみたいなの、取れなくて・・・ちょっと見てくれない?」

やっぱり何か入っていたのだろう。瑠璃がトーコに伝えたら・・・


「お母さん、老眼だから見えないわよ?ソージュに、みてもらって!」

と、こちらに飛んできた。


「ルリ?見せて?」


冷静を装いつつも、ドキドキしながら瑠璃の目を見ると、まつ毛が入っていたのか、目が赤くなっている。


そっと洗浄魔法で取り、癒しを掛けておく。


頬に手を当てて触れているこの姿勢は、余りにも至近距離で、思わずキスしたくなる


———耐えろ、俺!


「・・・もう大丈夫?」

グッと色々飲み込み、冷静さを保つ


「はい・・・ありがとうございました」

ルリは、頬を染めて伏目がちに礼を言う


——-俺の気持ちは、ザワザワと煩いな


「あ、お母さん、ハーブ摘んで来るわね」

ルリは、切り替えてハーブを摘みに出る。


さすがに1人は危ないからついて行こうとしたが、外になぜかオリガンがいた。


———なぜここにいる?


あろう事か、ルリはオリガンからナンパされている。ムカついたので、出ようとしたら


「さっき女性といましたよね?あの方は恋人じゃ無いんですか?」

ルリが冷たい声で対応している。


–––––少し待つか・・・


「違う、さっきの女はただの遊びだよ、君だけが特別だよ。俺は君に会うために生まれて来たんだ!運命なんだよ!」

オリガン・・・お前は俺に。いつだって本気だと言ってなかったか?


「最低。あちこちに手を出すとか、気持ち悪い。好意を持たれただけで気分が悪い。2度と顔を見せないで下さい!」

ルリの纏う空気がおかしい。


「ルリ、危ないから、早く入って」

オリガンが俺の声に気づくかと思ったが、投げられた言葉にショックを受けたのか、気付かなかった。


ルリは、俺に呼ばれたらパッと表情が明るくなり、さっさと中に入って来て


"バタン"と、扉を閉めた。


窓の外を見ると、オリガンがトボトボ歩いて行った・・・


———オリガン済まん、ルリは譲れないんだ


戻ってきたルリは


「もう、チャラ男は嫌いよ!あちこちに手を出すとか最低よね?」

と、俺に掴みかかりガクガク揺らされ、同意を求めてきた。


「俺は・・・1人だけ、唯一がいればいい」

ルリだったら・・・とは言えないが・・・


俺は自分の出生を気にしつつ————


——————-俺は一途だと心で叫んだ


瑠璃の恋心がじわじわ育って来ましたね?

オリガンはこの後特殊部隊の拠点に戻り、チャコとペリルに嘆き愚痴るも、自業自得とバッサリやられます。


次回は、遂に、敵の本命が来る!


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