恥じらう2人がもどかしい
今日は、三回投稿します!
隊長さんをガンガン使っていいと、名前も、呼び捨てにしろと言い捨てて、チャコちゃんとペリルさんはさっさと出て行った。
チャコちゃん、任せて頂戴
———-名前の提案は受け取ったわ
「とりあえず、ソージュ、私の事はトーコとよんでね?」
私は率先して呼び捨てにした。
「分かった。トーコと・・・ルリだな」
一瞬躊躇したが、ソージュは直ぐ呼び捨てに出来た様だ
「・・・ソージュ・・・さん?」
瑠璃は、つい敬称を付けてしまう
「・・・ソージュ」
ソージュは頑張っている。瑠璃は年下だし敬称付いていても、問題ない筈だが、呼び捨てにされたい様だ。
「・・・ソージュ!」
瑠璃、ちょっと恥ずかしいのか、一言名を呼びピャッと裏に入ってしまった。
ソージュは明らかに嬉しそうだし・・・
——-あぁ、歯痒くて、背中がモゾモゾするわ
私は悶えながら開店準備を始めた。
「瑠璃、ホールの整頓、ソージュに教えてあげて?」
私は遠慮なくソージュを使う事にした。
「はーい、ソージュ・・・こっちに来て」
まだ若干照れながら、瑠璃はソージュに備品の場所や、補充のやり方を教え、一緒にやっている。眼鏡が邪魔ね?
「ねえ、2人とも、ちょっと眼鏡外してくれない?営業開始の時は、かけなきゃだけど今は要らないわよね」
私は目の保養がしたいのよ
「いいけど、どうかしたの?」
瑠璃が眼鏡を外すと、隣のソージュがソワソワし出す。面白い・・・
「ソージュも、眼鏡外して・・・認識阻害って却って何だか落ち着かないのよ」
全く気にしてないけど・・・
「・・・わかりました」
ソージュがサッと眼鏡を取ると、不思議と周りの空気までが変わる
「瑠璃、ソージュはやっぱりいい顔してるわよ、勿体無いわね?」
私は瑠璃に同意を求めた。
「・・・そうね・・・驚く程綺麗な顔よね」
そう言って瑠璃がソージュを見つめると、ソージュはちょっと照れながら、瑠璃と目を合わせた。
「・・・」「・・・」
———2人とも、見つめあってるわよ?
とりあえず、2人を放置して手元のアイスティーを冷やそうと魔法で氷を鍋いっぱいに出した。
"ガラガラガラ"と音がしたら、2人ともビクッとした後、それぞれの補充を再開したけど・・・
「ソージュ、それ、もういっぱいよ!」
ソージュは、さっき角砂糖を砂糖壺に補充していたけど、壺は既にいっぱいなのに、まだ追加しようとしていた。
「はっ?いつのまに・・・」
——-貴方がつめたのよ?
それを見た瑠璃がクスクス笑い、自分の補充していた調味料のストックを棚に戻した。
「お母さん、植物の水やりはした?」
店内に飾ってある植物達の水やりは2日に一度やるが、今日はまだやっていない。
「まだよ、お願い出来るかしら」
瑠璃にお願いしたら、ソージュは砂糖を入れ終わったのか、瑠璃の後を付いて回っている。カルガモの雛にしては大きいわね?
ふと、高い所にある植物の水やりを、瑠璃が背伸びしてやろうとしたら、後ろからひょいとソージュが手を出してあっさり済ませた。
瑠璃がソージュの顔を見て固まる。ソージュも、思いの外近かった様で固まる。
——あの2人、うぶ過ぎない?
余計な事を言って水を差す訳にはいかないから、私は黙ってそのまま準備をした。
段々と2人は慣れてきたのか、見つめ合って固まる回数は減ったけど、ソージュがずっと瑠璃に着いて歩く。大きいから、ちょっと邪魔かもしれない。
「ソージュ、貴方はキッチンに入って」
私が指示をしたら、瑠璃もソージュも少しホッとした顔をした。
——-お互い意識して疲れたのだろう
サインボードをOpenにして、営業開始だ。
カランカラン♬
今日の1番目のお客様は・・・
「トーコさん、ルリさんご無沙汰してます!」
久々の親衛隊だわ・・・面倒な事にならなきゃ良いけど・・・
「もう、謹慎は解けたの?」
私がそう言えば、2人はカウンターに座り
「今日から自由で・・・」
2人揃ってソージュを見つめる
「・・・トーコさん、あいつ誰ですか?」
ネットは目が座っている
「手伝いのソージュよ、よろしくね」
私がそう伝えたら
「俺達がいない間に・・・ルリちゃんに近づくとは・・・おい、お前、どういうつもりだ!」
ネットはバカなんだろう。カッとしてソージュに怒鳴りつけた。
「ルリ、友達か?」
ソージュは、一瞬驚いたが、直ぐに冷静になって瑠璃に尋ねた。
「自称親衛隊らしいわ・・・騒ぐからちょっと迷惑かな?」
瑠璃はにこっと、笑って釘を刺した
「なっ、ルリちゃん酷いよ。こんなにルリちゃんの事が好きなのに・・・ゼーネンなんかより俺が一番ルリちゃんの事好きだと思うよ!」
と、食い下がり、ソージュをキッと見て
「お前、新参者の癖に、ルリちゃんを呼び捨てにするとか、何様なんだよ!」
ネットが理不尽にソージュに絡む。リープは隣で頭を抱えている。
私は黙って顛末を見ていたら
「誰って・・・顔を見たらわかるか?」
ソージュは徐に眼鏡を外した
「ヒッ!ア、アウスリーベン様?!」
「ななななぜ貴方の様な方が??」
ネットとリープは混乱し慌てふためいた
「お前達、兵士だよな?今の様な態度をあちこちでしているのか?」
ソージュは厳しい声色で2人に圧をかけた。
「あ、いや、知らなくて・・・」
ネットは知っていたら態度を変えていたのだろう
「お前、今すぐルリに謝罪して、今後余計な事をしないと約束して出ていくのと、俺が上に報告するのとどっちがいい?ああ、勿論、俺がここにいるのは秘密な?言ったら・・・分かるよな?」
ソージュは冷たい視線で淡々と2人を詰めた
「申し訳ありませんでした!金輪際、ルリちゃんに余計なチョッカイをかけないと誓います!トーコさん!お騒がせしました。まともな客になれたらお邪魔します!」
2人は頭を下げて、ダッシュで出て行った。
「申し訳ありません。兵士の教育が行き届いていない様だし、客を減らしてしまった」
ソージュが頭を下げてきた
「ソージュが、謝る事じゃないわ?あの子達は、ちょっとやり過ぎだから、ありがとう」
そう言って瑠璃を見たら
「ソージュ、ありがとう。あの人達、悪気はないのかもだけど、ちょっと怖かったから助かったわ」
瑠璃はホッとしている。
「役に立てたなら良かった。俺で良ければいつでも頼っていい」
ソージュは瑠璃に柔らかく笑った
瑠璃は慌てて顔を背けたが、耳が赤いので、照れてしまったことバレバレだと思うわよ?




