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オカンの怒りは雷と共に

怒りは雷と共に落ちるんです

王宮が急激な雷に襲われた事で、魔族の攻撃では?と王宮がパニックになってしまった様で、ベーレンにあちこちから何度も連絡がきた様だ。


「シュラーフ様ケルナー様、場の収束の為、戻ります。何かありましたらご連絡下さい」

騎士団長だから大変そうだ。迷惑をかけてしまった


「ベーレン、ごめんなさい。貴方にかなり迷惑をかける事になってしまったわ」

私はスッキリしたが、後処理組は大変だ。


「トーコ、こっちの事は気にしなくていい。今から城に行くから、天罰が降りた奴らの顔でも見て来るよ。オマケのクッキーもご馳走様でした。失礼します」

ベーレンはサッとシュラーフとケルナーに敬礼をして去っていった。


「申し訳ない事しちゃったわね?」

私は、シュラーフに受け取った手紙を渡した。


「ベーレンは正直な男だから、本人がいった通り気にしなくていいですよ。トーコの天罰を見たらむしろ喜ぶんじゃないかな?」

シュラーフは渡した手紙に目を通したが、


彼も私同様"グシャ"っと握り潰した。


ケルナーによって皺を伸ばされたが、ケルナーも手紙に目を通したら、


"ボゥッ"手紙は炎によって一瞬で消えた。


——修復不可能だわ?


「証拠、要らなかったですか?」

色々な葛藤があるのだろう。眉間に皺を寄せて、いる2人にとりあえずリラックス出来るカモミールとレモンバームとラベンダーのハーブティーを出しておく。


無言のままハーブティーを飲む二人を見ながら、立場がある人は大変だなぁと見ていたら


カランカラン♬


「おやまぁ、主要なみなさんがお揃いとは都合が良いのう?」

アル爺が偉くご機嫌で入って来た。


外は既に日が傾き、日差しが窓から差し込み店内を夕焼け色に染めていた。


「アル爺、お疲れ様でした。随分とご機嫌ですね?何か良い事でもありましたか?」

アル爺は見るからにウキウキしながら、シュラーフとケルナーの隣に並んで座った。


「トーコ、わしにはりんごジュースをくれ」

アル爺は注文をするとシュラーフとケルナーに話し始めた。


私はりんごをグラスの上の空中に浮かせ、右手をぎゅっと握りしめた。するとグラスには綺麗に果汁が絞られている。氷を入れたら、果汁100%のりんごジュースの完成だ。


カランカラン♬


「お母さん、ただいま凄い雷だったねぇ?あれ?皆一緒に居るなんて珍しいね?」

買い物に出ていた瑠璃とプッツェンが戻って来た。瑠璃は何かあったの?と不思議そうだ。


「いやぁ、瑠璃ちゃん。さっきな?王宮で面白いものを見たんじゃよ!」

アル爺に隣に座れと促された瑠璃は大人しくアル爺の横に座って話を聞く


「王の執務室に立ち寄って話をしていたんじゃ、したら急にドカンと目の前の王に雷が落ちたんじゃよ?わし、年寄りじゃから心臓が止まるかと思ったぞ?アレはトーコの仕業じゃろう?」

あら、バレちゃってたか。


「どうしてそう思ったの?」

また魔力の性質を見ていたのかしら?


「ん?だって目の前じゃよ?普通の雷なら今頃わし死んどるぞ?普通の雷がそう都合良く王だけ狙えるか?」

確かに?でも、魔族の仕業だって思われてるのよね?


「魔族の仕業だと言われてるって、さっきベーレンが言っていたわよ?」

敢えて惚けて見せるが


「やったのはトーコかと思ったが?騒ぎになるのもまずいと思ってな?周りに魔族の仕業だと言ったのは、わしじゃよ?ベーレンの小僧にも口裏合わせる様に言っておいたぞ?」

アル爺の仕業だったの?口裏合わせまで、ありがたいわね?


「アル爺・・・なんでわかるのよ?まぁいいわ。愚王はどんな風になってた?現場を見た訳じゃないから気になるわ?」

私は興味本位でつい尋ねてしまう。


「カカカ、そうじゃろ?きっと気にしてると思ったから、下の者に全部丸投げして来たわ。今頃大騒ぎしているじゃろうな?」

アル爺が楽しそうに笑うので、シュラーフとケルナーは立場的に苦笑いした。


「そもそも、何で雷を落とす事になったんじゃ?」

証拠隠滅されちゃったから説明しなければならない。面倒くさいなと思ったら、シュラーフがきっちり説明してくれた。一緒に聞いていた瑠璃も渋い顔をしていた。


「んー、それならやられても文句は言えまい。・・・全く何様なんじゃか」

・・・このくにの国王様です。


「しかし、あの雷は見事じゃった。こう、ピカっと光ってな?眩しくて目を閉じたら、でっかい音がして、目を開けたら、目の前で国王が丸焦げで、白目向いていたんじゃ。即死か?とびっくりして診たら、ちゃんと死なん様になっとるから、トーコがやった事だとすぐわかったぞ?」

上手く出来たみたいね?瑠璃もケラケラ笑ってるし、やって良かったわ。


「・・・ちょっと聞いていいか?ターゲットから離れているのに、どうやって場所を、特定したんだ?魔力の調整も・・・そんな事が出来るのか?」

シュラーフは魔道具師だからやり方が気になっている


「どうやってと言われても・・・神様に、やらかした人達に、死なない程度の天罰をお願いしただけよ?天罰をイメージしたの。だって、魔法はイメージなんでしょ?」

シュラーフは頭を抱えている。そんなに難しい事かしら?


「とりあえず、雷が落ちた奴らはお互いの顔見たら誰がやったかわかるじゃろ。当分は大人しくなるんじゃないか?」

アル爺がザマァないわと笑い飛ばした。


「本当に、次から次へと・・・身内が申し訳ない。償っても償い切れないですよ・・・」

シュラーフは項垂れてしまう。ケルナーまで責任を感じている様だ。国を納める立場の者達の苦悩ね?


「・・・トーコさん、客が引いてるなら、ちょっと店を閉めてくれんか?後、瑠璃ちゃん、ちょっと爺いの話を聞いてくれるか?」

アル爺は瑠璃を連れて1番奥のボックス席に移動し、防音魔法を張った。


私が心配してアル爺を見ていたら、店を閉めるために、私の代わりに、サインボードを仕舞いに行ったケルナーが


「アル爺はこの国の医局長です。未だ彼を超える医者はこの国にはいません。フェルゼンの兵士にも、トラウマから過呼吸に陥る者が多数いる様です。ルリの状態を一度、医局長に診てもらえる様、ベーレンからお願いされました」

ケルナーから聞き、アル爺が一人で来店した本当の意味を知った。


「ケルナー、ありがとう。ベーレンにもお礼をしなきゃね?」


私は、何かある度に、仕事を後にしてまで謝罪しに来るシュラーフと、さりげなく根回しやフォローをしてくるケルナー。


普段は一歩引いているのに、肝心な事では必ず前に出るベーレン。本来の仕事を置いて、瑠璃の状態を診てくれているアル爺に対して


感謝の気持ちでいっぱいになった。


私の感謝の気持ちが魔力になって溢れて、店の中の3人と、王宮の混乱を平定してるベーレンにも癒しの魔力がが贈られた。


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