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王家の打診はお断り〜天罰を添えて

オカン、反撃

瑠璃が倒れて以来、何かが変わったかと言うと特別な変化は特に無い。強いて言えばちょっと大人組(ケルナー、ベーレン、アル爺)が瑠璃に対して過保護になったくらいだ。


ベーレン曰く、ケルナーがかなり怒っていた様で、自称親衛隊のネットとリープ、それとゼーネンに対して瑠璃を倒れさせた原因だからと、1週間の自宅謹慎とその間は瑠璃に近寄るどころか「メシヤ」に近づく事すら禁止させたらしい。


ベーレンはケルナーから騎士団長として、彼達の守るべき弱き物への配慮の無さや、兵士としての在り方を叱責されたらしい。


アル爺には医局長として、ゼーネンは医官でありながら、前兆を見過ごすどころか、2人で出かけたにも関わらず、瑠璃の状態を見落とし、結果倒れさせたのは罪だ。と辛辣な対応だったらしい。


「いやね?その時のケルナー様が怖くて怖くて・・・医局長と2人でどうするか必死で考えたよ。実際ケルナー様の言っている事に間違いはないしね?」

ベーレンがパフェを食べながらあの日の夜に呼び出された話を教えてくれた。


あの日から誰よりも変化したのはケルナーかもしれない。彼は明らかに変わったと思う。元からマメで丁寧な人だが、なんて言うか、瑠璃に対して更に優しくなった。


最初は、ついに瑠璃の魅力に惹かれたのか?と感じたけど、違う。あれはどう見ても父性が溢れている。娘が可愛くて仕方がないパパモードだ。なぜそっちに向かった?


「ケルナーは、今じゃ瑠璃の父親の様な存在だから、娘の為に怒ったのでしょうね?」

瑠璃にパパって呼ばせ・・・いや、ダメだな違う響きになっちゃうわ


「・・・ケルナーが父親なら、トーコは母親か?」

ベーレンが恐る恐る尋ねて来たが、何を当たり前な事を聞いているのだろうか?


「私以外が母親なんてある訳ないわよね?」

私は戻された食器に洗浄魔法をかけながら答えた時


カランカラン♬


久しぶりに常連である官僚のゲナウが入って来た。ゲナウはいつも窓際に座るのに、珍しくカウンターに座って


「プリンアラモードとアイスコーヒーをください」

と、カフェオレを飛ばして注文した。


「ゲナウ、最近貴方の顔見なかったけど、お仕事忙しいの?」

水とおしぼりをとりあえず渡してプリンアラモードを作る。


魔法食材のキウイは、こちらの世界では青紫色だ。攻撃はして来ないけど、食欲なくなる様な色なのだ。このままだと、ちょっと見た目が悪いから加工をする


青紫色のキウイはハチミツレモンをかけるとなぜだか鮮やかなグリーンに変わるので、カットした後ハチミツレモンを馴染ませて色を変えてから使っている。


プリンを高足が付いた器の真ん中に置き、ホイップクリームで周りを飾りながら、スライスバナナに飾り切りしたりんごと、魔法で薄皮を剥いた、シロップ漬けのみかんとキウイをバランス良く並べる。


「トーコはもしかして・・・いえ、今日はあるお方からこちらを預かって参りました」

ゲナウは懐から一通の封書を渡して来た。


プリンアラモードと引き換えに受け取り、宛名を確認するも、なんの記載もない。紙が上等だろうな?くらいしか解らない


「一体誰が・・・?」

と内容を見るが、中を見て、余りのバカバカしさにグシャっと丸めてしまった。あ、証拠品潰しちゃダメよね?私は魔法で手紙にアイロンを適当にかけた。


「トーコ、どうかしたのか?」

ベーレンが気にしている。彼なら見せてもいいやと、手紙を渡したら


「・・・は?なんだこれ?なんでお前がこんなもん持って来たんだ?」

と、やっぱり呆れてながらゲナウに尋ねる


「あの・・・私もよく解らず預かったのです。どうも聞いた話では、大臣達が噂を拾い集めて、トーコさんの店の所在を特定した様で、私が通っている事を知り、封書を預けたそうです。何人もの手を渡り、わたしの元へ来た感じでした。ご不快な物だったなら申し訳ありません。お渡ししても大丈夫でしたか?」


ゲナウは落ち込んでいるが、そもそも彼は巻き込まれただけだ。彼には全く非はない


「ゲナウは気にしないでいいのよ?仕事が忙しいのに、変な事に巻き込んでごめんなさいね?」

私は、ベーレンから手紙を返却された。2人には心配掛けたお詫びにとクッキーを一枚ずつ渡した。


手紙には、要約すると


・王がお前に目を留めた。誇りに思え。

・明朝、迎えに行く。遅れることなく従え

・これは、平民には過ぎた栄誉だ。


と、書かれていた。


バカにしているのか?それともバカだからわからないのかしら?私は鼻で笑い飛ばす。


落雷でも落としてやろうか?と考えたが、城にはシュラーフとケルナーが居るから、煩くて可哀想かしら?と、思っていたら


カランカラン♬


「トーコ!今、話を聞いて、慌てて来た!兄達が勝手な事ばかりして済まない!」


シュラーフ、ケルナーが勢いよく来店して来た。話を聞きつけたのだろう。とても良いタイミングだ。


「大丈夫よ?今天罰を下すから!」

私は満面の笑みでにっこり笑い、神社の参拝の様に"パン!パン!"と大きく柏手を打つ


店の外が一瞬光に包まれた。店内の者は皆驚き、一斉に外に目をやった瞬間


ガラガラドォーン!バリバリバリ!!


空が裂ける様な音と衝撃が周りを包み込んだ。ちょっとやりすぎたかもしれない。


「トーコ!!城には罪のない者が!」

シュラーフが真っ青になって進言して来た。流石に罪のない者に手にかける趣味はない。


「シュラーフ安心して?流石に愚王と、共に計画した大臣達にしか、雷は落とさないわ。雷も死なない程度の威力しか無いわよ?」


愚王と馬鹿な手紙を寄越した大臣に天罰が降る事を私は願っただけだ。


まぁ、周りもびっくりはしたでしょうね?


次回、久々にアル爺が・・・


面白いと感じたら、評価、コメント、ブクマお待ちしてます。

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― 新着の感想 ―
>これは、平民には過ぎた栄誉だ。 実際は「平民」じゃなくて「聖女」だけどなw 「一国の王」や「大臣」程度と「世界を救う役割を持つ聖女」だと、どちらが「上」なんでしょうかね?
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