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騎士団長と着装と女兵士

甘い物好きなクマさんは厳しくて優しいクマさんです

カウンター席には、ハッとする美人がフルーツサンドとオレンジティーを幸せそうに食べている。カラカラとグラスに氷が当たる音が涼やかだ。


先程まで泣きべそをかき、服と髪型を私に変えられ、ご機嫌のエーデルは今ではすっかりご機嫌だ。


カランカラン♬


「こんにちは、外に休日とあったが、何か問題でもありましたか?」

身体が大きく、入り口が狭く見える男は、パフェに恋した熊さんのベーレンだ。心配して声を掛けてくれたのだろう。


彼は実は騎士団長で兵士の中ではとても偉い存在らしい。この店に来る皆は見て見ぬふりをしているようだ。


「ベーレン、心配してくれてありがとう!機材トラブルがあったんだけど、もう治ったから大丈夫よ。折角来たなら何か食べてく?」


私が声をかけると嬉しそうに入って来たが、カウンターにいるエーデルを見てギョッとしてワタワタしている。


「あ、こんな美人さんのそばには居られないからこっちの机でもいいか?」

ベーレンはちょっと離れたテーブルを指差した。


「ベーレン様、私です。いつも奥の壁際に座っているエーデルです。私がお邪魔してるだけですからカウンター座って下さい」

エーデルが声を掛けると、ベーレンは驚いた後


「エーデルか?元々顔立ちは綺麗な子だったが、はぁー女の子って随分雰囲気が変わるんだな?隊の奴らが見たら煩いだろうなぁ」

誰か分かったら安心したのかベーレンはカウンターに座った。


「ベーレン、パフェ?」

私が尋ねると


「おう、特盛で頼むよ。エーデル、またなんで今日はそんなめかし込んでいるんだ?デートか?」

と、ベーレンはニコニコしながら注文し、エーデルに話を振った。


「あ、そうだ、ベーレン!兵士の隊服って加工してもいいの?渡されたまま着ないといけないの?」

ダバダバなのがダメだと思うの


「ん?皆自分が動きやすい様に加工するぞ?エーデルはやってなかったのか?」

オッケー分かったついでに直そう


「エーデル、隊服に出来る?」

彼女はサッと隊服に変えた


「エーデル、これは今まで動き難かったんじゃないか?」

ベーレンはパッと見て顔を顰めた


「ベーレン、何がダメか教えて?」

私は兵士の動きは詳しくは無い。動き易さまではわからない。


「まず、布が余り過ぎている。余りブカブカだと動きを阻害されるだろう。丈もちょっと中途半端に長いか?長いなら長い方が邪魔にならんぞ?抜刀する時に引っかかるんじゃ無いか?」

流石団長だ。見るところが的確だ。


「・・・今まで自分の力量不足だと思ってました。そんなに変わりますか?」

エーデルは驚いてベーレンをじっと見た。


「なんだ、誰も指導しなかったのか?エーデルの所属は?」

ベーレンが仕事の顔になっている。怖い顔だ


「3番隊です」

エーデルはショックを受けていた


「エーデル、ちょっと弄るわね?」

私は隊服の余りまくる布を、ピッタリし過ぎない程度に始末し、ウエストはくびれさせ丈を膝上位に長くした。


「お、そんな感じなら動きやすいだろう?トーコ、店の前ちょっと借りていいか?」

ベーレンはエーデルを連れて店の前に出て行った。


チラ見するとエーデルの剣の振りを見ている様だ。面倒見が良い団長だな?と微笑ましく見ていたら、二人がニコニコしながら戻って来た。


「トーコさん!凄く動きやすくなりました!ありがとうございます」

余程嬉しかったのだろう。とても良い笑顔だった。


ベーレンはパフェを食べながら、折角の休みなんだから服を戻す様に言われ、彼女は女性的な服に変わり、残りのお茶を楽しんでいた


カランカラン♬


「トーコさん!今日は何で休みなんです?」

噂の男ネットとリープがやってきた。


「うぉっと、げ、ベーレン団長・・・え?女性同伴?マジか」

ネットは黙る事ができないタイプなんだろう


「おい、同伴じゃ無いぞ?彼女に失礼だ」

ベーレンがそう言った時、お茶を飲み終わったエーデルが、ゆっくり立ち上がりネットを真っ直ぐ見つめた。


ネットは急に圧倒的にグラマラスな美人が自分を見つめたので顔を赤くして挙動不審になった。


「・・・もしかして、エーデル?」

気付いたのはリープだ。顔は変えてないからちゃんと見たらわかるはずだ。


「ネット、リープお疲れ様です。筋肉だるまのエーデルです」

私は笑って吹き出しそうになった。痛烈なパンチだ。もっとやれ!


「は?え?エーデル?嘘、お前そんないい物・・・じゃ無い。いい身体・・・じゃ無い。そんなに美人だったのか?」

ネット、欲望がダダ漏れよ?うっとりしながら食い入る様に見つめている。


「トーコさん、ありがとう。私、もうちょっと色々頑張ってみるわ。ご馳走様でした。ベーレン様もご指摘とご指導ありがとうございました」


彼女は綺麗なお辞儀をして会計を置いて、背筋を伸ばし颯爽と出て行った。彼女は動いてこそ魅力が上がる。


ネットと、リープは信じられない物を見る様な顔をしていた。ネットに至っては無意識にゴクリとのどが動いていた。さあ、どうなるかしらね?


リープは直ぐに正気に戻ったけど、ネットはまだ夢見心地の様だ。


「ねえ、貴方達、兵士の女は筋肉だるまだってエーデルの前で言ったらしいわね?女の子泣かすとか最低ね?」

私が言葉を投げたら


「なんだと?お前達、ちゃんと指導しないどころかあんなに素直ないい子を泣かすとは騎士の風上にもおけん奴らだな?3番隊はちょっと弛んでる様だな?」

パフェを、食べ終わっているのでベーレンの顔は怖いままだ。


ネットとリープは思い当たる記憶があったのだろう。顔を青くしてベーレンを見つめブルブルしている


助けてあげるけど、2杯目のパフェを作り終わるまで、反省するといいわよ?


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