瑠璃親衛隊発足
ブクマ60人まであと少し!
アル爺の計らい?で、ゼーネンと薬草園に行く日の朝の事、店は私とプッツェンでなんとかなるから大丈夫だと言っているのに
「本当に2人だけで大丈夫?」
と、瑠璃は心配そうだ。
瑠璃は、私達のことを一見心配をしているが、本当は自分が男と2人で出掛ける事が不安なんだろう。
「大丈夫よ?ゼーネンによろしくね?後、ちょっと髪型変えるわよ」
私は、ただ縛っているだけの瑠璃の髪型をハーフアップにし、毛先を緩く巻いたスタイルに変更した。デート仕様だ
「もう、お母さん、こんなに気合い入ってますみたいにしなくていいのに・・・」
瑠璃は文句を言いながらも、可愛くなった事に不満は無いようだ。認識阻害眼鏡が邪魔だけど仕方がない。そろそろ出かける時間だ。
カランカラン♬
「いらっしゃ・・・あ、ゼーネンさん。今日はよろしくお願いします」
丁度迎えに来たゼーネンに瑠璃が挨拶をすると
「うっ・・・・・・こちらこそよろしくお願いします。今日は、なんだか雰囲気が違いますね?可愛らしいですね!行きましょうか?」
一瞬何かに抗ったゼーネンは紳士的な対応をし、瑠璃をサラッと褒めてから2人で店を出て行った。
「2人とも素敵ですねー?ゼーネンさんも中々イケメン?ですね?」
プッツェンはイケメンの言葉を瑠璃から教わって、最近はよく使っている。
「ケルナーとゼーネンだと、(瑠璃には)どっちが良いかしら?」
私は考えていた事が、口に出ていた。
「ケルナー様一択ですよー、ケルナー様とシュラーフ様の同率一位は外せません!」
それは・・・プッツェンの意見ね?
お客様がまだいない店内で、プッツェンと誰がイケメンか?と話をしていたら
カランカラン♬
「おはようございます!今日は休みだからリープと朝から来ちゃいました!」
「おはようございます」
と、更生兵士のネットとリープが入って来た。
「あれ?ルリちゃんは?」
ネットは店内をキョロキョロ見ている。
「今日はプッツェン1人?ルリちゃんは?」
リープはプッツェンに話を振った。
「今日はルリさんはデートです!」
プッツェンは元気よく答えた。
「「は?」」
2人は綺麗にハモった。
「ちょ、トーコさん!どう言う事?ルリちゃんが・・・デート!って!」
ネット、うるさいわね?
「ネット、店内で大声あげるなんて、紳士的じゃ無いわよ?とりあえず座ったら?何にするの?」
カウンターに2人が座ると、プッツェンがおしぼりと水を2人に出した。
「失礼しました。アイスコーヒーと魔物バーガーをください」
ネットは水を飲み干し、手を拭きながら注文して来た。
「俺も魔物バーガーとアイスカフェオレで」
リープは軽く水に口をつけてから注文した。
「はい、バーガーはパティ焼くからちょっと待っていてね?」
私はコンロに火を入れは2枚のパティを取り出して焼き始めた。バンズもオーブンに放り込んで温める。
「ねえ、トーコさん、ルリちゃんがデートって・・・誰と?ケルナー様?」
ネットは聞きたくて仕方が無いようだ。
「ケルナー様じゃデートでは無いだろ?あの方はなんて言うか、別格だ」
リープはケルナーの立ち位置がよく分かっている様だ。私の中ではケルナーもありなんだけどね?
「・・・まさか?あいつか?」
ネットは思い至ったのだろう
私はパティをひっくり返してブランデーを少し振りフランベした。魔物肉はそのままだとちょっと香りがワイルドになるけど、ブランデーをフランベに使うといい具合に馴染む。バーガーにもってこいな食材だ。
欠点とすれば・・・魔素を含んで居るので、一旦浄化する必要がある。色も中々で、外側から内側に向かって、紫色からショッキングピンクのグラデーションの肉だ、挽肉にするとピンクパープルの挽肉になる。
食欲が湧かなくなる色だ。不思議なもので、焼くと普通の肉と変わらなくなる。しかも魔物の魔素を浄化する事で、純粋な魔力が残留するせいか、食べると魔力回復が見込めるらしい。兵士には人気のメニューだ。
「ルリさんは、今日はゼーネンさんとデートです!薬草園に行きましたよ!並んだ2人は紳士、淑女って感じで素敵でしたよー」
プッツェンは素直にお似合いだったとウキウキしている。
「・・・トーコさん、持ち帰りに出来ますか?」
ネット、貴方・・・
「僕も、持ち帰りで!」
リープまで・・・
「貴方達、邪魔するつもり?」
私はつい白い目で見てしまう。
「チ、チガイマス!ただ、ルリちゃん美人だから、アイツがよからぬ事考えない様に、俺とリープで、離れた所で護衛しようかと・・・」
見守りか・・・確かに心配だし、アリかも?
「ゼーネンは軟弱者だから、兵士に絡まれたら我々のルリちゃんを奪われてしまうかも知れません。我々ルリ親衛隊が目を光らせます。ルリちゃんが幸せなら邪魔するつもりはありません!」
リープは悔し涙を流しながらも瑠璃の幸せを願ってくれるようだ。ちょっと感心した。
私は手早く、温めたパンにオーロラソースを塗り、焼けたパティ、スライスしたチーズ、オニオン、トマト、レタスを挟み、先日、アル爺から貰った、大きめの薬包紙をミツロウでパラフィン加工した物で包んだ。
瑠璃と自分達様に幾つか作った蓋つきのステンレスタンブラーに、それぞれの飲み物を入れ、あらかじめ持ち帰り用に用意してあった紙袋に入れて2人に渡した。
「はい、いつも来てくれるから、お礼に中にあるタンブラーはあげるわ、今後来る時は、ドリンクをそれに入れてあげる。タンブラー持参したら、オマケのクッキー2枚にしてあげるわね?」
そう言って渡すと、
「うぉ、銀色だ!かっこいい!毎日朝晩飲み物を買いにきます!」
ネットはやっと笑顔になった。
「これって暖かい物も、対応しますよね?嬉しいなぁ」
リープもニコニコだ。
「2人とも、娘の護衛よろしくね?万が一娘の同意を得ずに不埒な真似したら、私に治せる程度迄ならやっていいわよ?」
彼等は、時間はバラバラだけど、ほぼ毎日来るので私が聖女だとシュラーフや、ケルナーの様子から気付いているようだが、敢えて何も言って来ない。ちゃんと弁えている。
「・・・加減が難しいな?蘇生は?出来ますか?」
ネットはやる気満々だった
「ホヤホヤなら何とか?時間が経ってしまうと無理ね?」
無理すれば出来るだろうけど、娘の許可を得ずに手を出した場合は助けたく無い。
「了解です!では、ルリ親衛隊、護衛任務に向かいます」
ピシッと敬礼した後2人は店を出た
カランカラン♬
窓の外の2人は一瞬で見えなくなった・・・




