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爺のお節介

「トングが聖剣」(完結)も同じ世界線です。お暇があったら見てくださいね!

ここまで読んで頂きありがとうございます

開店してから数週間が経ち、ポツポツと、お客様が来店する様になって来た頃、珍しくアル爺とゼーネンが、2人で一緒に来店した。


ゼーネンは開店した日から、ほぼ日参している。仕事が忙しい時は店でお茶だけしてから仕事に戻って行く。皆勤賞までは行かないけど、トップクラスの常連だ。


因みにトップはケルナーだけど、彼は身内認定だから、実質の常連のトップはゼーネンだろう。次いで更生したネットとリープだ。


初日組は、まあ、瑠璃がお目当てなんだろうけど、良く食べ、良く飲み、紹介もしてくれるのでありがたい存在で、感謝している。


店内は、他に2組程で、ボックス席が空いているが、アル爺と、ゼーネンは迷わずカウンターに座り、私に直接注文をして来た。


「トーコ!ピザトーストとミックスジュースを2人分頼むぞ」

アル爺が、メニューも見ずに注文した。


「ゼーネンはそれでいいの?」

いつもはハーブティーとたまごサンドを注文するのだけど・・・


「トーコ、コイツは気にしなくていい。ほっとくとずーっと同じのしか選ばないから、たまには違うのを食べさせた方がいいんだ」

ゼーネンはアル爺に返事を遮られ、少しだけ眉が下がった。


「・・・医局長と同じでいいです。」

ゼーネンは紳士的だけど押しに弱い性格の様だ。確かにハーブティーもアル爺の勧めだし、たまごサンドは瑠璃のおすすめだ。


「全く、コイツ、仕事はかなり出来るんだがいかんせん自分の事に無頓着でな?・・・」

私はアル爺の話を聞きながら注文のピザトーストとミックスジュースを作り始めた。


厚切りのパンに、自家製のトマトソースを塗り、タマネギとピーマンのスライスにベーコンをのせて上からチーズをたっぷり乗せて、オーブンに入れた。


実は、トマトソースを作る時、魔法食材だったニンニクが弾けそうになった。ニンニクは水に漬けてからバラバラにしなければ弾け飛んであちこちに飛び散り大惨事になる。


ニンニクが膨らんだ瞬間、水魔法で包んだから間に合って良かった。危うく店がニンニクまみれになる所だった。洗浄出来るけど、そこは気持ちの問題。嫌な物は嫌だ。


「・・・コイツは薬草と骨格好きでな?他にはあまり興味がないんじゃ。バカ王子の担当医をしていた時も、バカには興味が無いから耐えれたし、なんとかなっていたんじゃよ」


アル爺はゼーネンの話をツラツラ話している。ゼーネンは、瑠璃と表の薬草の話をしていて、こちらの話は聞いていない。


「ここだけの話、ゼーネンの奴、瑠璃ちゃんに一目惚れしたんじゃ、トーコどう思う?」

アル爺が、私を呼び寄せこそっと伝えて来た


「・・・知ってる。見ていたら分かるわよ?薬草好きは、瑠璃と同じね?相性は良さそうよ?バカ王子の担当医が出来たなんて、ゼーネンは相当忍耐力があったのね?そこはポイント高いかも?」

私はアル爺に相槌を打つ。忍耐力があるなら瑠璃の気持ちを待ってくれそうだ。


「確かに忍耐力があるにはある、でもな、もう少し自分の意見を押し通してもいいはずなんじゃよ。実力者なのに、下の者に押し負ける。そろそろ医局長の立場を譲りたいんじゃが中々な?」


アル爺は後進の押しの弱さが気になる様で、ゼーネンを見ながらため息をついた。私は、アル爺の話を聞きながらミックスジュースを作り始めた。


ミックスジュースの果物も魔法食材のオンパレードだった・・・


・みかんは、揉まずに剥くと小粒がバラバラに弾け飛散する。


・バナナの皮は普通に上から剥くと、むいたそばから戻ってカチコチになって食べれなくなるから必ず下から剥く


・パイナップルは葉っぱを布で包んでから切らなければ、刃物を当てた瞬間、葉っぱが刃物となり、攻撃の意思を持って斬りつけてくる


相変わらずどれも一度はやらかしている。一見普通だから、魔法食材だと忘れてついやってしまった。そもそも食材全てが、魔法食材じゃ無いのが分かりにくいのだ。


既にそれぞれをカットして、バナナ以外はシロップ漬けにしてストックしてある。


ミキサーに果物とシロップとミルク、魔法で生み出した氷を入れて撹拌すれば出来上がりだ。少し大ぶりなグラスにたっぷり注ぐ。


焼き上がったピザトーストもオーブンから取り出し、食べやすいサイズにカット、チーズの焦げたいい香りだ。皿に乗せたら完成!


「はい、お待たせ致しました。ところでゼーネン、骨格好きってどう言う事?」

まさか、瑠璃の骨格に惹かれたわけじゃ無いわよね?


私はそれぞれの前にミックスジュースとピザトーストを置いた。


「コレも美味しいですね?次来たらたのもうかな?骨格好きは・・・骨が好き?なんですかね?」

ゼーネンはミックスジュースは気に入った様だ。彼は一瞬チラッと瑠璃を見たが、直ぐに目を逸らした。


「もしかして、瑠璃の骨格が好みなの?」

私はつい思った事を口走り、骨格が好みって何?と自分の言葉にツッコミを入れていた。


「トーコ、事を急ぐでない。ルリちゃんや、もしよかったら、この朴念仁に何とか言ってやってくれんかな?」

私はアル爺から注意されてしまったので、黙る事にした。


「え?骨格の話ですか?」

瑠璃、骨格とは違うと思うよ?


「骨格の事もじゃ、こう、男としてもうちっと我が強くても良いと思わんか?」

アル爺はなんとか喝を入れ、ゼーネンを動かしたいんだろう。


「うーん、仕事へのこだわりじゃなく、ただ我が強い人って、思考の柔軟性に欠けるから、ゼーネンさんはこのままでも良さそうですよ?仕事のこだわりすら無いなら困ると思いますけど・・・」

でも、将来的に医局長になるなら多少の我は必要かもしれないわね?


「なんじゃ、瑠璃ちゃんはゼーネンの味方か?こんなべっぴんさんが認めてくれて良かったな?ゼーネン。お前さんの自慢の薬草園を見せてあげたらどうだ?瑠璃ちゃんは薬草が好きだろう?」

アル爺はわざとゼーネンを煽る。揶揄われた彼は、顔を赤くして恥ずかしがっている。


「薬草園ですか?素敵ですね?」

瑠璃も恥ずかしがるゼーネンを見て、ソワソワしたけど、薬草園が気になる様だ。


何となく、若者2人がソワソワしていて、この場がお見合いの様な空気になる。後は若いお二人で・・・とはならない。営業中だから


「・・・瑠璃さん、今度薬草園に一緒に行きせんか?先程言っていた薬草もありますよ?」

まぁ!ゼーネン自ら瑠璃を誘ったわ?


「え?薬草園に行って良いのですか?」

瑠璃は薬草に目がないから、何も考えず食いついてしまった。


話していてデートに誘われたと気付いたが、瑠璃は、迷いながらも、流れで薬草園に行くことが決まった。


決まったのは良かったけど、大丈夫だろうか?実際、瑠璃はまだ立ち直っていない。今だに営業が終わるとボーっとしている時がある。


でも、私は心で願ってしまう。もうあの男の事などさっさと忘れて、素敵な人と恋をして、瑠璃には幸せになって欲しいと・・・


だから、私は瑠璃を応援する。頑張れ瑠璃!


オカンは、早く瑠璃の苦しみを無くしてしまいたくて、つい礼儀正しく、優しい好青年を見る度に瑠璃にどうだろう?考えてしまいます。

考えるだけで、瑠璃の気持ちが動かない限り見ているだけです。


基本「良いんじゃ無い?」としか言いません。


過去は嘆かず「恋愛の傷は新しい恋愛よね?」と口には出さず考えています。




続きが、楽しみだと思ってくれたら評価、ブクマ、反応、コメントよろしくお願いします!

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>過去は嘆かず「恋愛の傷は新しい恋愛よね?」と口には出さず考えています。 「女は上書き保存、男は別フォルダ」とか言いますしね
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