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礼儀知らずと不精者

まずは挨拶からでしょう?

出店準備の為に、今日の午後にシュラーフがやってくる。

店の建築物を魔法で再構築してくれるらしい。


瑠璃とプッツェンは2人で買い物に行くと出て行ったが、

びっくりする程直ぐに戻ってきた。


「随分と早かったのね?」

私は息を切らしながら、駆け込んできた2人に目をやった時


ドンドンドン


「ねぇ、逃げないで?折角の出会いだよ?せめてお茶でもしようよ!」


何だ?コレは?私は無言で扉を指差し瑠璃とプッツェンを見ると、

2人は知らないと首を左右にぶんぶん振っている。


何、ただのナンパ?


私は扉をガチャと開け、ナンパ男の前にズイッと出る。


「何か御用かしら?」

そこには筋肉が自慢なのか、

着崩すせいで、シャツのボタンが意味を成さない、


”使い古したホスト”の様な男達が2名居た。


「あ、今、可愛い女の子が入っていきませんでしたか?俺ら友達なんです」

挨拶すらまともに出来ないのか?


人の顔すら見ず、部屋の中を覗き込むとか、

いい歳して礼儀がなってないわね?


確かにうちの瑠璃は可愛いわよ?友達?嘘はよく無いわね?


「挨拶すら碌にできない不精者が、う・ち・の・娘に何かご用かしら?」

私はわざといやらしく、頭からつま先までをジロジロ見てやった。


「え?あ、お母さん?じゃあ彼女呼んでくれないっすか?」

ヘラヘラしながら、まだ娘にちょっかいを掛けるつもりらしい。


2人の顔をよく見るが、ヘラヘラ喋り掛けてくる男は、

明らかに軽薄そうな顔だし、何だか薄汚い。もう1人はさらに汚い。


正直不潔だ。


「貴方達、自分の事鏡で見た事無いの?女の子口説くなら、先ず自分の見た目くらい整えたら?あと、貴方達兵士よね?挨拶すら出来ないとか、頭悪く見えるわよ?軽薄な態度だと、信用も無くなって、軽薄な女しか寄ってこなくなるものよ?」


私は一切怯まず、軽薄な男に淡々と話をした。

怒って殴りかかるかもしれない。


でも結界を張ればいい。


「家の娘を見て、可愛いと言ってくれるのは嬉しいわ、ありがとう。貴方達見る目はあるわね?けど、今の貴方達に、娘を近づけたいとは思わないわ?嘘も駄目ね?友達になりたいなら、出直しなさい」


男達は初めは指摘されて「は?」ってイラついた顔をしたが、

私が静かに話すから、だんだん真顔になり、黙って聞いていた。


よく見たら、軽薄な男は、綺麗な筋肉をしているし、

不潔な彼も、多分訓練後の汚れだ。


2人とも兵士としては、真面目にやっているのだろう。

ちゃんと理解出来るかも?と口にしたのだ。


「・・・失礼しました。娘さんにも謝っておいて下さい」

話が終わると、2人は真面目な顔になった。話は通じた様だ。


2人は崩れた姿勢を正して、頭を下げた


「あら?ちゃんとできるんじゃない。普段から2人とも頑張ってるんでしょ?ハメを外すのもいいけど、自分を下げる様な行動は、折角の魅力も半減よ?2人とも、素材はいいのだから素敵な男になりなさいね?」

そう言って2人に、洗浄魔法をかけた。


「ありがとうございました。この歳で怒られるとか、何だか恥ずかしいです。でも、言われた通りなので気を付けます。自分を下げる様な行為だと認識出来てなかったです」 

洗浄してスッキリしたチャラい彼は、キチンとしていれば好青年だ。


「あの、失礼をした僕が言うのも何ですが、ひとつだけ、お伝えしたいのですが・・・」

黙って後ろにいた青年が、話しかけてきた。


「娘さん、かなりの美人なので、一人歩きは絶対しないでください。今日みたいに女性2人でも、娘さんは危険です。兵士の中には、粗暴な男も居ます。可能なら、認識阻害の眼鏡をした方がいいです」

え?そんなに危険なの?


「まさか貴方達も・・・」

襲うつもりじゃないでしょうね?と目を細めたら


「チ、チガイマス!僕達はただお知り合いになってから、あわよくば・・・」

うん、本音ダダ漏れね?まあ、順序は踏むつもりだったなら、まだ許すか


「家の娘はそんなに軽くないので、ちゃんと恋愛しない限り、あわよくばはないわよ?先ずは身なりと礼儀を整えなさいね?忠告ありがとうございました」

私が丁寧にお辞儀をすると


「いえ、こちらこそ、自分を先ず整えて、禊をしてからご挨拶に伺います。では失礼します」

2人は綺麗な敬礼をしてから走って行った。


「・・・面白い子達だったわね?」


私は走り去って行くその背中を見守り、心の中で"頑張れ!青年達!"とエールを送った


部屋に戻ると、瑠璃とプッツェンが

ソファから立ち上がり、心配して駆け寄って来た。


「お母さん!大丈夫だった?変なことされなかった?」

瑠璃、さすがに彼達も相手を選ぶと思うわよ?


「大丈夫、ちゃんと話をしたら、真面目ないい子達だったわよ?」

整った後が楽しみね?


「え?トーコ様アイツらと話をしたの?」

プッツェンも驚いている。全くあの子達、どんな声掛けしたのよ


「話したわよ?身なりと礼儀を整えてから出直すみたいね?」

私はソファに座り、クスクス笑いながら2人に伝えた。


「もう、お母さんにかかると、皆んないい子扱いになるんだから。私の心が狭いみたいで嫌だわ」

瑠璃が拗ねているが、貴女はまだ若いんだから、警戒は大事よ?


「そうだ、プッツェン、認識阻害の眼鏡ってどこで手に入るの?」

私はプッツェンに、先程聞いた話をした。


「確かに必要ですね?今すぐケルナー様に伝えます!」

プッツェンは通信具を使って、ケルナーに説明する為に席を外した。


午後になり、シュラーフから、

直ぐに認識阻害眼鏡を渡されるとは、思いもしなかった


おかんは、元美容師さんだから、

チャラい男の子の扱いには慣れてます。

皆いい子なんです。

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