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働かざる者食うべからず

ここまで読んで頂きありがとうございます

第1章、ラストです。

私達に挨拶をした後、プッツェンは風の様に素早く去って行った。私達は、そのままら今後の生活や行動について更に話を詰めていく事にした。


「シュラーフ、城を出た訳だし、聖女としての仕事ってどうするの?」

私は本来なら聖女としての仕事をしなければならないわよね?


「それなんだけど、バカを生かす事にしただろう?余り大々的に聖女を公言すると、召喚した事を良しとし、バカの罪を軽減しろと口にする奴が出るかも知れないんだ。罪を犯さなければそのままアルツトと一緒に仕事して欲しかったけど、そうも行かなくなったんだよね」

んぁー、面倒くさいわねぇ


「わしとしては、わしでは手に負えない場合には助けて欲しいが、ただ待機するのも退屈じゃろう?2.3週に一回時間限定すれば良い。やる事がない日は自由にすれば良い。こちらも頼りきらなくて済むから若いもんの成長の為にもその方がいい」

アル爺は聖女の力に頼る気はない様だ。


「まあ、元から聖女の力は無いのが普通だから緊急時以外に頼ると居なくなった時に困るのは医官達だからね?アル爺の要請以外は聞かなくてもいいよ」

なら、暇ね?


シュラーフはケルナーのご用聞きの日程やらアル爺の要請の時間やらを相談しながら詰めている様だ。忙しいのにありがとうございます。


「瑠璃、貴方この世界で仕事するなら何したい?ここ、商店街だし薬屋でも開く?」

私は瑠璃がどうしたいかを尋ねたら


「薬屋は難しいと思うよ。さっきアル爺とお話ししたけど、私の薬は強力過ぎて、扱いが難しいみたい。後、この世界の人って基本的に魔法で何とかするでしょ?薬は魔法を使わない平民しか必要無いの。調薬も量産は出来ないと希少になるし、効力を考えたら金額的に平民が購入は無理じゃ無いかな?」


瑠璃は私の見ていない間にしっかり自分のやりたい事の情報収集を済ませていた様だ。我が娘ながら仕事が早い。


「そうなのね・・・瑠璃は何か他にやりたい事は無いの?」

今はお金に余裕がある様だから、瑠璃の好きにさせてあげたい。


「うーん、私、昔ね?お母さんと一緒に働くのが夢だったの。ほら、お母さんずっと1人でお店やっていたでしょう?だから私が手伝って楽になって欲しかったんだ。気が付いたら薬品に夢中だったけどね?」

瑠璃はふふふと笑う。いかん、感動で涙が溢れ出そうだ!


「もう、やめてよ、そんな嬉しい事言われたらまた涙が出るじゃ無い」

頑張った。私はグッと歯を食いしばり頑張って涙を止めた。


「もう、直ぐに泣くんだから。ここでやりたい事かぁ、今は思いつかないなぁ・・・」

瑠璃の瞳にフッと影が宿って感じた。ダメだ!泣いている場合じゃ無い!


「ねえ、だったらお母さんと一緒に何かお店やろうよ!経営は任せて?美容室はこちらだと魔法で何とかなっちゃうから要らないのよね。お母さんのキャリアも無駄だったわ」


30年以上頑張って来たので、今更何をすれば良いのかわからない。困ったわね?


「トーコ、私からの提案ですが・・・」


ケルナーが私達の話に参加してきた。シュラーフとアル爺との話は終わったのだろうか?


「何?何かアイデアがあるなら教えて?」

娘が、幸せに出来るなら何だってやるわよ?


「トーコは前に「ドリンクメニュー」を作っていましたよね?あの様に様々な飲み物を用意出来る知識がお有りならいっそその様なお店をやられてみては?」

ああ、喫茶店ね?確かに?悪く無いわね?


「お母さん、それ、いいじゃない!だってよく「おうちカフェ」とか言って休みの日色々作ってくれたでしょ?あれ凄く楽しかったし、遊びに来た友達も凄いって褒めてくれてたんだよ!」

あー、よくやったわよね?何だか既に懐かしいわ


「いいかもしれないけど、本気でお店をやるなら、商圏内を確認して、ターゲットになる客層を絞り込んで、お客様のニーズに合わせたサービスを考えないといけないから、おうちカフェとは全く違うものになるかもよ?」

私は自分で店を持っているからこそ、お金を頂ける限りお客様に対して手を抜きたく無い


「いいと思うよ?お母さん、料理好きでしょう?誰が食べても美味しいって言うと思うよ?それといま、仕事の顔をしてるね。やっぱりお母さんは仕事になると急に出来る人感が出るよね?かっこいいしなんか安心する。普段は泣き虫だけど」


瑠璃は小さな頃、私の仕事中をよくみていた。私はお客様の手前、構ってあげる事が出来ず申し訳なく感じていた。


もっと構ってあげたかったし、一緒にいる時間が欲しいといつも感じていたのに、そんな風に思ってくれていたんだね?なら、お母さん頑張るから


「瑠璃、お母さん頑張るわ。めちゃくちゃ頑張ってお店だけで生活できる様にするからちゃんと着いてきてね?」

瑠璃は嬉しそうに頷き


「私、結構仕事出来るのよ?だってお母さんの娘だもの」

なんて、嬉しい事言うから私はまた涙を堪えて


「シュラーフ!!ケルナー!!私ここで店をやるから、この場所で飲食店やる為に、お客様の移動範囲、住民のライフスタイル、男女比と年齢分布、周囲の平均価格、材料費の金額一覧、今すぐ調べて頂戴!!」


私はかつてアシスタントスタッフに指示を出していた時の様に声を張って指示を出した。


「「はい!」」

2人は余りの勢いに思わず返事をしていた。


実際は、相手は従者ではなく、王位継承権第一で、【実務的には王である存在】とその筆頭執事に対してだったけどね?


瑠璃はその姿を見てクスクス笑いながら


「お母さんのお店、楽しみだなぁ」


といい、何作ろうか?とか、これは入れてね?とか、本当に楽しそうだった。


あわよくば、このまま娘が楽しく過ごせます様に。私はそんな願いを込めながら娘に


「焼きそばは、そもそも麺があるの?」

と、とりあえずツッコミをいれた。



瑠璃、ここからまた2人で始めよう?

貴方が心の傷なんて忘れてしまうくらいに

お母さんと一緒に楽しい毎日を過ごそう?


〜働かざる者食うべからず〜


だけど、お母さんしっかり働くから、

どうせ食べるなら美味しい物を食べよう?

ここからまた、新しい毎日が始まるから



〜娘が幸せになれるならそれだけでいい〜




第1章 娘が騙されたら転移した 完


第1章終わりました!

ここまで読んで頂きありがとうございました!

沢山の人が見てくれた事、とても嬉しく心から感謝しています。


「オカン転移」は、異世界に娘と召喚されたオカンが、王子にキレて慰謝料をもらい、城下町で開いた食堂で、お客様の悩み相談にのりながら、娘の恋を応援する話です。


初めは短編予定でしたが、あれこれ書いていたら1章だけで40話・・・長くて早かったです。

やっと、食堂開店の準備が出来ました!


第2章からは、異世界食堂編です!様々な人との出会いや日常、ちょっとしたトラブル?

などもご用意させて頂きます。

営業開始まで今しばらくお待ちください。


これから先「オカンが誰かの背中を押す物語」がかけたらいいなと思っています。


第2章は、1日空けての投稿となります。

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