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事の真相

あの引き摺られ方・・・随分と嫌われてるのね?

私達は鑑定室から

引き摺られていく王子を見ていた。


あのままだと、部屋に着く頃には

人相が骨格から変わりそうだ。


「お2人には、お見苦しい物を見せてしまい、誠に申し訳ありませんでした」

シュラーフがしっかり頭を下げている


「先程、取り急ぎシュラーフと名乗りましたが、やっと落ち着いたので、ご挨拶させてください」 

彼、苦労が多そうね?


「私はフェルゼン王国の宮廷魔導師筆頭のシュラーフ・ミューディッヒです」

よろしくお願いしますと深々と礼をされた。


「とりあえず、ちゃんとこちらが納得出来る話をしてくださるかしら?」


私は、シュラーフの話なら、聞いても良いか

と感じたので切り出した。


「一応、お部屋の準備があるので、そちらで聞いて頂いてもよろしいでしょうか?」


シュラーフが、先程、瑠璃の能力の鑑定に利用した、板の様な物を仕舞おうとしたので


「ねぇ、それは何が分かるの?」

とりあえず、状況把握の為にも聞いてみた


「これは鑑定装置です。魔力から"適性や性質"などを鑑定出来ます」

魔力ねぇ・・・


「お嬢様は、聖魔法の使い手の様ですが・・・

お2人共、もう一度やってみましょうか?」


シュラーフはそう言って私達を部屋に案内してくれた。


どちらにしろ、直ぐは帰れなさそうだから、一旦気持ちを切り替え、現状を把握しよう。


案内された部屋は、なんだか・・・


"無駄にギラギラ"していて落ち着かない


何となく、嫌な空気も感じたので


「ねぇ、シュラーフ、別の部屋じゃダメ?」

と、尋ねたら


「・・・これは、この部屋はやめましょう。別の部屋に参りましょう」


シュラーフは"何か"を感じ取ったのだろう

即座に扉を閉め、無かった事にし移動した。


「申し訳ありません、客間の準備をする迄、お時間が掛かるので、話をするのは、王宮に賜っている私の自室でも良いですか?」


シュラーフは、意外と有能なのだろうか?


バカ王子の話だと、王宮に住めるのはステータスの様だ。

アイツがいる時点で、マイナスな印象しかないけど


さっきから廊下には、メイドや従僕が行き来しているが、

皆シュラーフを見ると立ち止まり頭をさげている。


宮廷魔導師とは偉いんだな・・・


「あちこち移動させてしまい、申し訳ありませんでした。こちらです。どうぞお入りください」


シュラーフに案内されて入った部屋は、

高級なホテルのスイートルームの様に豪華だ

センスが良く、落ち着いた部屋だった。


「どうぞお掛けください」

勧められるままソファに座る。座り心地は中々良い。


黒いローブのフードを外したシュラーフは

グレイベージュの髪に、鉛色の瞳の派手では無いけど、端正な顔立ちの男だった。


「先ずはこちらの都合で、急遽転移させてしまった事と、王子の、度重なる無礼な行為をお詫びします」

この人、謝り慣れてるわね


「言って聞かせてあった筈なのですが、どうにも我儘が過ぎて・・・と、アレの事はどうでもいいのですが・・・」


どうでもいいって、

仮にも貴方の国の王子じゃないの?


私達からすると、バカ王子の事など

確かにどうでもいいけど


「勇者召喚は"呼ばれる側の負担"が大きすぎる為、国として、基本的には行わない方針になっていたのです」


ダメなのに、呼んだの?


「それを奴が、勝手に部下と行ったのが、今回の顛末なのです。私の管理不行き届きです。謝って済む話ではありませんが、申し訳ありませんでした」


シュラーフは、

机に頭を擦り付ける様に頭を下げている。


「要するに、全てあの"おバカさん"の仕業で合ってる?」

私は、シュラーフは被害者なのを理解した。


「・・・はい。第一王子なので権力のあるバカで、こちらも困っているんです」

・・・タチが悪いわね


「魔王が討伐されたら、ゲートが開くので元の世界には帰れますが・・・」

何かあるの?


「通常だと召喚後、2.3年修行期間を設けた後に討伐なので、直ぐには無理なんです」

それは・・・そうね、


——転移後直ぐに戦うとか無理ね


「転移召喚は、大掛かりですが、王子達の動きに違和感を感じた時には、魔法陣は起動済みでした」


なぜ、そこまで放置したのよ


「しかも、転移を勝手に行った者達がら余りにも未熟だったので、陣は中途半端な動きをしてしまい、危うく転移者が"バラバラ"になるところでした」


———転移者って私達よね?


「ギリギリなんとかできましたが、本来共に召喚される勇者は居ないし、同行者は出るし・・・」

彼の疲れはピークだったのだろう。


だからあの時


「・・・やっと帰れる」


という言葉が漏れたのだ


——シュラーフが居なければ、私達は今頃


「とりあえず、今すぐに帰れない事は分かったわ。聖女だけいても意味はないでしょう?私達を、 どうするつもりなの?」


返答によっては、今すぐ出て行ってやる。

仕事は・・・なんとかなるだろう。


「それに関しては、特に強制するつもりはないのです。好きに過ごして頂いて構いません。必要があれば何でも言ってください」


あら、意外と好意的なのね


「出来れば王宮に居てくれたら、有事の際に助かるのでお願いしたいです。でも、あの部屋を見た限り、少し考えを変えなければ」


シュラーフは、難しい顔で考えていた。


確かにあの部屋はちょっと・・・


———かなりおかしかった。




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