寝言は寝てから言え
この人の頭、何のためについてるのかしら?
私が口にした余りの罵倒に、ザンフト王もシュラーフも固まっている。
全く、ちょっと罵倒されたくらいで固まるとか、耐性なさすぎなのよ
「バカみたいに口を開けてないで、何とか言ったらどうなの?少しは、真っ当な意見の1つも言いなさい。それすら出来ないわけ?」
イライラするわね?
「あ、いや、私のせいなのか?私が、息子や皆を困らせたのか?」
ザンフト王が、シュラーフに
すがるよな目を向ける
「貴方以外の誰が居ます?"貴方の息子"ですよね?理解できてますか?息子に対して、責任取らないから、彼は"貴方の権利"を振りかざし、周りに迷惑かける。貴方が咎めないから、彼は更につけあがった」
——発端は貴方よ
「その結果、私の娘に、危害を加えようと企てた訳。これなら貴方の"スカスカな頭"でも理解出来たかしら?」
私はわざわざ、嫌味ったらしく伝えてやった
「・・・理解出来てます。しかし、この国の王子はあの子だけなんです。どうかゆる」
あーーー!!鬱陶しい!
「寝言は寝てから言え!バカじゃないの?許す訳ないでしょう?」
はなしにならないわ
「甘ったれんじゃないわよ!」
なんなのコイツ
「王子が1人だけ?さっさと作れば?43歳ならまだやれるわよね?若いお姉さんに奉仕して貰えば、出来るでしょう?」
反応さえすれば、何とかなるでしょうが
「そもそも何年経ったか知らないけど、その顔と立場で、何年もの間、誰にも触れてないとか、そんな訳無いわよね?」
絶対に、処理のお相手いるでしょうに
「潔癖でもないくせに"愛だの恋だの"煩いのよ。あなたはただ、責任取りたく無いだけでしょう?あなたの立場を考えなさい!出来るのにやらないのは「職務怠慢」よ?
あんなバカより、まともな子は、すぐに出来るわよ?ぐずぐずする暇があるなら—————————今すぐに女抱いて来なさい!」
全く持ってバカバカしい
「や、でも」
まだ言うか
「デモとダッテは、会話する時は禁止!」
あ、これは家のルールだったわ。
間違えた。
ザンフト王はへこたれている
「ザンフト王、私は今回ばかりは、もう見逃す気はありません。ちゃんと罪を償わせてください。トーコの言う通りです。それがアレの為です」
アレって、名前すら呼びたくないのね
「シュラーフ、私は間違って居たのか?」
しおらしくなっているが、見てくれだけだろう。
こうやって同情を引いて来たんだな
「ねえ、あなた国王なのよね?間違って居たのか?ですか?そんな事すらわからないなら、今すぐ国王やめるべきよ?」
皆が迷惑だわ
「全く"国を導く者"として向いてないわ?自分で判断できないの?可哀想な僕ちゃんですか?キモいわ」
あ、最後に本音出ちゃったわ。
ザンフト王はショックを受けたのか涙目だ。
くっと口元を引き締め、
腹を括ったのか謝って来たが
「シュラーフ、済まなかった。トーコさんも」
うわ、コイツに名前呼ばれるとか嫌だわ、
鳥肌が立つ
私は許す気も、仲良くする気もないので
「私、あなたと息子には、名前すら呼ばれたくないわ。気持ち悪い。いくら顔が良くてもナヨナヨして、自分の意思もない、自己判断が全く出来なくて、周りに頼りきりなくせに"自分が優先されて当然"だと勘違いしてる男に呼ばれるとか、何の刑罰よ」
物凄く嫌です、嫌いです、2度と関わらないでくださいと言う気持ちを込めた。
そして、ああ、気持ち悪い。
と鳥肌が立つ腕をさすった
「聖女様、大変申し訳ありませんでした」
なんだろう?謝罪が薄っぺらい?
シュラーフを見たら首を振っている。
やっぱり表向きだけか
「許しませんよ?好き勝手に召喚しといて、娘を性奴隷にされかけたんです。許すはずがないでしょう?逆に許されると思うのなら、説明してくださるかしら?」
やっぱりダメだこの人、
シュラーフを見る。
「やっぱり、シュラーフが国王になるべきだわ。じゃなきゃ、私がこの国潰すわよ?」
つい口に出たけど、
いいアイデアに思えた。
「トーコ、国を潰すのはやめて?罪のない人巻き込むのはやめようか?」
シュラーフは、困り顔のまま笑う
「じゃあ、国王とバカ息子と、その一派は跡形もなく消していい?」
ゴロゴロと不穏な音を鳴らして
空に雷雲が集まって来た
「待て待て待て!待ってくれ!いや、待って下さい!廃嫡に!廃嫡にします!そして直ぐに子を作ります!だから息子の命だけは見逃して下さい!」
ザンフト王は
私の足元にひれ伏して懇願している。
「口約束じゃ信用出来ません。後、廃嫡だけじゃダメです」
ま、権力取り上げれば
少しは大人しくなるかしら?
「廃嫡にして強制労働に落とします」
シュラーフは、さらっと一般的な刑罰を伝えて来た。
ザンフト王が何か言いだけだが
「本来なら主犯格は晒した後極刑よね?随分と甘くないかしら?」
私が極刑を望んでいると思ったザンフト王は
「聖女様、どうか息子に御慈悲を。命だけはどうか、どうか」
全く、そんなに大切なら
今まで何でちゃんとしないのよ。
「ザンフト王、今後、シュラーフの指示に従って下さい。あなたは"形だけは"王としてやって来たのでしょう?見た感じ、実務は丸投げですよね?実務を丸投げするなら、決定権をシュラーフに渡して下さい」
飾りの王なら飾りのまま居ればいい
「貴方の意見は要らないです。今まで通りでいいですから、貴方は、この先黙って下さい。それが息子の為だし、国のためだと思いますよ?」
ザンフト王は項垂れたがシュラーフを見て
「シュラーフ、それでもいいか?」
と、彼の意見を聞いた。
「・・・わかりました。まあ、トーコに言われた通り、実際あまり変わりはないですね」
ザンフト王は、シュラーフに更に追撃されて撃沈したが、
私は親としてのあなたを
許した訳じゃ無いわ。
責任はきっちり取って貰うわよ?




