娘は渡さない
朝夜２回更新予定です
よろしくお願いします
目の前のコスプレ宗教集団と自称王子は渋々頭を下げてお願いしてきた。
「・・・どうか我々に力を貸して下さい」
そう言われてもなぁ
「そもそも、転移とか魔法とか言うけど、全く信じられないんだけど？」
アニメの見過ぎ？ゲーム脳？現実との区別が付かないのかしら？
「分かりました。室内なので危険が少ない水魔法にしましょうか？」
ローブの疲れちゃった人が魔法を見せてくれるらしい。さっきからこの人しか働いて無いわね？
疲れちゃった人は自分の手の上に水球を浮かべて見せてくれた。何これ、どんな仕掛けのマジックなのかしら？
「どうやってるの？随分と手品が上手ね？仕掛けはなんなの？」
疲れちゃった人の出した水球をツンツンしながら尋ねてみたら
「いや、これは仕掛けは無いですよ？皆出来るレベルの魔法です。自分でやったら信じられますか？」
え？出来るの？本当に魔法があるの？
「どうやるの？」
自分で出来るなら確かに信じる？自分の手を見る。出来るのかしら？本当ならちょっとワクワクするが、ハッと気付いた。
隣にいた筈の瑠璃が居ない。私は、慌てて周りを見回した。疲れちゃった人が
「聖女様なら鑑定室に向かわれた筈ですよ？」
と教えてくれたので、
「疲れちゃった人、案内して頂戴！」
と、フードを掴み引きずりながら廊下に出たら
「私はシュラーフです！何ですか、疲れた人って！・・・案内しますこちらですよ」
疲れ・・・シュラーフ君はさっさと安心をしてくれた。何故娘は黙って着いて行ったのだろう。部屋の中に居る娘を見たら口が動いているのに声が聞こえて来ない？
「シュラーフ君、なんで娘の声がしないの？」
だから私気付かなかったの？誘拐じゃない。段々と娘を取り巻く奴等にイライラしてきた。
「防音の魔法ですね、お母様に何も言わずに行くのはどうかと思います。申し訳ありません」
シュラーフ君は常識人の様だ。話がわかる人ならありがたい。彼は集団に近すぎ魔法を解除指した様だ。
「おお！聖魔法！やはり聖女だ！」「さすがです！」「これで安心だ！」「・・・」
集団は騒いでるが、深夜の通販番組の様に取り巻きは大袈裟に騒ぐが、シュラーフ君はだ無言だった
「・・・貴方達、家の娘を勝手に連れ出すとか、誘拐よ？わかってるの？」
私は静かに怒っていた。だって娘の顔が私を見て助けを求めていたから
「さっきから貴様は僕の神聖な仕事の邪魔ばかりして、何様だ！」
コスプレ王子が、こちらに向かって怒鳴ってきた。・・・この、クソガキが
「はぁ？何が神聖だ？お前らがやってる事は拉致に誘拐じゃねぇか！犯罪だ！そんな事もわからんのかこのコスプレバカ王子が！しかも、年長者に向かって何様だぁ？あんたらが聖女だと言っている娘のお母様だよ！テメェこそ何様だ！ケツの青いガキが！偉そうに吠えてんじゃねぇ！」
遠慮なんてしてやるもんか！娘返せバカヤロー！
「イディオート様、さっきからこちらに非があります。無理に召喚したのです。お願いですから、聖女とそのお母様の気分を害する言動はお控え下さい」
シュラーフ君はバカ王子を嗜めている。ザマァみろ
その隙に娘を自分の側に回収して少しだけホッとした。
「おい、聖女を、こちらに渡せ。お前にも部屋を与える」
あー、このバカイライラするわ
「断ります。何処の馬の骨だか知らないけど、こんな常識はずれな奴らがいる場所に娘をひとりにするわけないじゃ無い。本当に頭悪いわね？私は絶対に一時も娘から離れるつもりは無いわ！」
特にバカ王子、危険な感じがビンビンくるわ
「なんだと？！」
バカ王子が憤り、こちらを暴力で強制的に言う事を聞かそうと拳を振り上げた瞬間
ドサリ
王子が膝から崩れ落ちた。え？死んだ？
良く見たら白目をむいてだらしない顔で寝ているだけだった。
「申し訳ありません、聖女様、お母様。お二人を別々にする事は致しませんのでご安心ください。度重なる失礼をお許しください。おい、今すぐ王子を部屋にいれて帰宅しろ。お疲れ様」
シュラーフはローブの二人に王子の始末を依頼して私達に謝って来た。
王子は、足を持って運ばれて行くが、あれは完全に嫌がらせだ。顔面が引き摺らたまま連行された
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