連なる5国とハーレム
この国は、軍事国家だったのね?
私が急ぎ、与えられた部屋に戻っていた途中、リネン室の前を通ると、
リネン室で1人の男が、複数の棚を開け閉めしている。
不審に思って、そっと近づいてみた。
「・・・違う、コレも違う、そんなはず無いんだ。おかしい。何故減っていない?聖女が居るなら、リネンは減るはず。ケルナーが新しい侍女を連れていたなら、必ずここから使うはずだ」
ランドリーメイドの噂を聞いたのだろうか?
この男は、リネン室の各部屋の棚を開け閉めして、中身をチェックして
在庫の変動で、当たりをつけようとしたのだろう。
私の利用した棚も開けた様だが、
中は既に補充されていて、利用した様子は既に無い。
ケルナーが補充したのか、ランドリーメイドが優秀なのかはわからない。
後から聞いてみよう。
全ての棚を漁った後、その男は舌打ちをしてリネン室から出て行った。
ふと、食堂の登録をした事を思い出したけど、
とりあえず、ケルナーに報告する事を最優先にした。
周りに、人の目がない事を
しっかり確認してから室内に滑り込み、魔法を解除する
「お母さんお帰り」
瑠璃は手を止めコチラを見ている。
資材を心待ちにしていたのだろう。
「ごめん瑠璃、薬草庫には立ち寄れなかったわ。それ以外の資材はこの中にあるから、洗浄してから使ってね?」
私は瑠璃に、資材の入っている鞄を渡すと、
ケルナーの元へ行き、透明化の間に、見聞きした事を伝えた。
「ちょっとの時間なのに、情報量が凄いですね?バカ王子に制裁を喰らわす人材が増える事には賛成ですね。アルツトが振り回された事に、同情はしますが、結果はかなり良くなったので、トーコはお手柄ですね?」
あら、褒めて貰っちゃった
「メイドの話も、リネン室の事もよく拾ってくれました。厨房の棚の、登録は既に消してあるので、心配しなくても大丈夫ですよ。リネン室同様、痕跡は消してあります」
さすがですよね?
「この国、シュラーフが、国王になった方が良かったんじゃない?」
私は思ったまま口にしたが
「真相を知れば、誰しもがそう思うでしょうね?でも、シュラーフ様は王にはなりたくないみたいですよ?だから身分を隠しているんです。今は宮廷筆頭魔道士と、国王を隠れ蓑にして、裏で色々と動いてます」
暗躍するタイプなのか・・・
それなら自由に動けない国王は嫌よね?私は納得しながら
どうにかならないのかなと考えてみたが、中々良いアイデアは浮かばない。
「そもそも、王子が1人なのがダメなのよ。今すぐ国王に子供作らせたら?結婚はしなくていいから、血だけは増やした方がいいわよ?バカ王子に危機感を持たせる為にも、愛を分散させるべきじゃないかしら?」
私は大奥を想像した。あれ、なんて言ったかな?
「瑠璃、大奥みたいなやつ、王族のお手付きになるやつ、オアシスじゃなくてなんて言ったっけ?」
女の園的なやつ。
あー、出てこない。やっぱり歳かしら?
「ハーレムの事?オアシスは砂漠にあるやつよ?相変わらずね?」
娘に小馬鹿にされたところで
痛くも痒くもないわ?
「そう、それ、ハーレム!ハーレム!ケルナー、ハーレムわかる?」
私は言葉が分かり、スッキリしてハイテンションで、ハーレムを連呼した。
「トーコ、落ち着いて下さい。連なる5国には、巨大ハーレムを持つ国もありますから分かりますよ?」
私はケルナーに、連なる5国の話を聞いた。
アレクサンディ山脈に連なる5国は、元々一つの国で、5人の王子が土地を分けて国を起こした。今も互いに協力関係にある。
連なる5国は、
ゴルドファブレン王国
学問と研究の学園都市
瑠璃が興味を持ちそうね?
ヴァルド王国
癒しと治癒の国。貴重な薬草も育つ
まあ、瑠璃が好きそうな国ね?
フェルゼン王国
軍事国家、魔族の国が隣接。住民はほぼ兵士
常に警戒している
この国、軍事国家なんだ?知らなかったよ
ヴィント王国
魔導師国、魔道具の生産国
シュラーフが戻る前にいた国ね?
ナトゥーア
自由恋愛と芸術の国。芸術や娯楽に長ける
巨大なハーレムがあり美男美女しかいない
巨大ハーレムって、自由恋愛ってなんか凄そうね?
ケルナーから聞いた話では、学園で最初に習う事らしい。
関係性も良好で、持ちつ持たれつで、
本当に上手く繋がっている国なんだな
「ねえ、そのハーレムの国の王様と、ザンフト王は仲が良いの?」
仲が良いなら、協力してくれないかしら?
「仲は悪くないはずですよ?シュラーフの方がヴィント国に居たので、よく会ったみたいですが、年に一度5国の集まりがあるので、皆様良い関係ですね」
シュラーフなら呼べるかしら?
「だったら、ナトゥーアの王様に、ザンフト王の考えを変えて貰ったら?片や独り身、片や巨大ハーレムの王でしょ?その人に女性の素晴らしさでも、語って貰えばザンフト王も、その気になるんじゃない?」
ほら、男の人って、仲良く連れ立ってキャバクラ行ったり、風俗行ったりするじゃない?
のんびりとした王だし、影響受けそうじゃない?
「トーコ、面白い事考えますね?でも、一考の価値はありそうです。この後、先程の話の報告と共に、シュラーフ様に、ナトゥーア王の訪問を、提案してみましょう」
ケルナーはこの後、薬草庫にも立ち寄ってくれるらしい。
また、明日持って来てくれる。と言って部屋を立ち去った。
私はケルナーを少し待たせて、疲労回復のハーブティーを作り、
シュラーフと、2人で飲む様に伝えて見送った。
ずっと静かだけど、瑠璃は何をしているのか?
と様子を見たら、沢山の薬品用のガラス瓶を作成していた。
成分抽出をしては中に詰めて、ラベリングもしている
瑠璃は辛かった事を忘れる為か、一心不乱に薬品を作っている。
する事が無くなるのは不安よね?
でも、お母さんは、瑠璃に少し休んでほしいわ
瑠璃は何かしていないと自分を保つのが難しくてひたすらに薬品作ってます。
次回は、バカに眠りを です
おたのしみに!
ナトゥーアのハーレム王は
「ハーレムの王子様」で、詳しく書いてあります。
お時間があれば覗いてみて下さいね?
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