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歓喜と噂話

あら、仲間が増えたわよ?

 国王は、周りがピリピリしているにも関わらず、アルツト医局長が辞めるのは困るのか、うんうん唸りながら考え始めてしまった


「アルツト、気持ちは痛いほどよくわかるよ。でも、君が居なくなるのは本当に困るんだ。聖女召喚の話は、どうせ聞き及んでいるだろう?」


 既に皆知っているようね?


「その一件で僕とケルナーと聖女は、癒しが可能な範囲なら何をしても構わないと、王印付きで書状を賜った。其方も連名にするので、どうか気持ちを収めてくれないか?」


 あら?シュラーフは躾ける仲間を増やしたい様ね?


「ちょ、シュラーフ?余り非道な事はさすがに…」


 国王がシュラーフを止めようとしたが


「ザンフト様、貴方が甘い対応だから、貴方の息子はあの様になっています。いい加減に自覚して下さい。アレでは野生の獣と変わりません」


 あら、獣に対して失礼よ?


「私だけは、何とか対応出来て居ましたが、先程伝えた懸念もですが、このままでは、取り返しのつかない事態になりかねません」


 あの怪しい部屋を見たら、王子の考えが危険だとわかるわね


「信のおける者に権限を与えるのは、イディオートの為です。一度甘え切った心を折る必要が有ります。どうかご理解ください。そして、今すぐここにアルツトの名を追加してください」


 シュラーフは有無を言わさず、ザンフト王にアルツトの名を記載させた。


 なるほど?シュラーフがゴリ推ししたのね?


 これ、国王交代した方が良いのでは?


「アルツト、確認してくれ。これで一旦は収めてくれないか?あ、ザンフト様、もう3枚、僕と聖女とケルナーの分を今すぐ、書いてくださいね?」


 シュラーフはアルツトに、自分の王命書を渡して

 残りを早く書く様に急かした。


 ザンフト王は渋ったが、シュラーフの圧力に負けしぶしぶ書いていた。

 王命書を確認したアルツトは


「シュラーフ様、助かります。バカ王子の教育のやり直しをする為にも、何かあったら、利用させて頂きます」


 アルツトは、ホクホクしながら部屋を去ろうとした。


 私も着いていくが、疲れた顔のザンフト王とシュラーフが気になったので、癒しを飛ばしておいた。


 シュラーフにはバレるだろうが、気にしない。医官達は部屋を出ると


「やった…やっと、やっとやり返せる…」

 と震えるアルツトに対して


「おめでとうございます!」

「良かった!」

 などなど、歓喜に沸いていた。


 私はここに来る途中に、衣装部屋があったのを思い出し、

 彼達から離脱する事にした。離れる際に癒しを飛ばしていく。


「…聖女?」

 アルツトは、感じた魔力に気付いた様だが、姿が見えなかったから

 その場で祈る事にした様だ。


 周りは何もわからないが、きっと神の思し召しだと誰かが言い出して

 皆で祈り始めた。


 衣装部屋に向かう間に、

 王子に会ったら仕掛けるための魔法を幾つか考えた。


 シュラーフが折角取り付けてくれた王命書だ、

 しっかり有効活用しなければならない。


 周りをしっかり確認してから中に滑り込む。


 先程は人に着いて行ったから、扉の開閉に気を使わなくても良かったけど、

 1人の時は気をつけなければならない。


 勝手に扉が開閉したら、オカルトの話になるか、透明化がバレたら

 それこそ問題になるだろう。


 簡単に考えてはダメだ。気を引き締めて行こう。


 私は、シュラーフに言われた様に、吊るされている衣装では無く、

 壁側に高く積まれている箱の中から、2箱ほど鞄に詰めた。


 中は確認していないが、なんとかなるだろう。


 ふと目の端に引き出しを見つけたのでちょっと中を見てみると、

 布切りや糸切りのハサミや定規、多分アイロン?などが入っている。


 そこそこの数が入っているが、やめておく。


 大体の事は魔法で出来てしまうから、素材としてはあってもいいけど、

 他の物でも対応可能だ。


 もう、ここには用はないなと、扉を出ようとしたら、

 "ガチャ"っと扉が開き、侍女達が入ってきた。


 私は慌てて壁に張り付いた。


「ちょっと聞いてよ、もう、本当に嫌になるわよ?王子付きとか素敵、なんて考えた私がバカだったわ」

「今度はまた、何をしたのよ?」


「あのバカ、聖女を我が物に!とか言って、中に居ると意識が混濁する魔法を仕込んだ部屋を作ったの」

「え、それってまずいじゃない」


「その作業に駆り出された子が、倒れたの。医官長様はその子の癒し中に、王子の具合が悪いと呼ばれて、わざわざ来てくれたのに、罵声を浴びせて追い出したのよ?」


 どうやら王子付きの侍女は、愚痴を言う為にこの部屋に入って来た様だ。

 仕事をするでも無く、ひたすら文句を言っている。


 可哀想に


「それに、聖女を汚そうとした挙句、横暴な振る舞いばかりだから、神様のバチが当たったんだわ。さっきから、ずっと足をぶつけて叫んでばかりよ?ざまあみろだし、神様に感謝だわ」


 侍女はそう言って祈りを捧げた。


「でも、王子ってまだ聖女を諦めてないでしょう?さっきランドリーメイドの子が、王子の取り巻きに絡まれたらしいわよ?とりあえず知らないと言っていたけど」


 まずいな、既に動き始めてる?


「そうなのよ、今日はシュラーフ様に張り付いたけど、明日はケルナー、同時に、取り巻きにシュラーフ様と、食事棚に見張りを置くって。ダメなら棚の管理をするランドリーメイド達を、1人づつ拷問にかけるってバカな事を言っていたわ」


 …最低ね?


「まぁ、シュラーフ様に止められると思うけどね?あ、そろそろ戻らないと、面倒になるから行くわよ」


 不穏な話が出てきたけど、とりあえず一旦共に外に出て、

 今聞いた話を一刻も早くケルナーに伝えなければと思い、


 薬草庫には行かずに私は戻る事にした。


 早く瑠璃の生活を、安心安全で、不自由じゃない環境にしてあげたいわ

医局長も限界でした。

きっと、何してやろうか、ウキウキしながら

考えてるはずです。


次回は 連なる5国とハーレム です。


少しずつ評価していただけたり、反応を頂いたり、ありがとうございます。

少しでも皆に楽しんでもらえる様に頑張りますね

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